残滓

自分で別れようと決めたものの、別れるのはいささか寂しい。毎日いっしょに居たのに、急に一人ぼっちに戻ってしまうなんて、信じられない。でも、この選択をとったのは自分だから、寂しがっても仕方がない、と言い聞かせるようにしている。

本当は別れることなく、仲良く付き合っていたかった。でも、付き合うと確実に「結婚したい」という思いが溢れてきて、今は結婚する気がないという彼に思いを押し付けて、仲が悪くなる未来しか見えない。

一緒に居続けることを選ばなかったから、一緒にいると埋まる寂しさとふたたび付き合っていくことになる。脳味噌を雑巾を絞る如く、ぎゅうぎゅうに絞って出した決断が”同棲解消”だった。

雑巾を絞り終えるときに出てくるチロチロとした水のようなものが、「ひとりぼっちは寂しいな」とか「彼と一緒に暮らすの楽しかったな」という思いに相当するのだと思う。きっと、離れて暮らして時が経てば、思い出として美化されて「あぁ、同棲してた頃もあったな」という遠い過去になるのだろう。

同棲を継続することを選んでいたら、今よりも重たい荷物を背負ったまま、ふたたび葛藤を抱えて生活継続することになっていたのだろう。そう思うと、この程度の未練で済んでいるから、同棲解消を選んで良かったのだと思う。

同棲解消後の暮らしを考えて少しルンルンしている。久しぶりのひとり暮らしが楽しみ。ひとり暮らしの部屋に引っ越したら、彼を部屋に呼んで引越しパーティーを開きたい。そして、定期的に私の行きたい居酒屋へいっしょに行くのに付き合ってもらって、近況をワイワイと話したい。…とはいってもこのご時世、居酒屋は難しいだろうからzoomかなぁ。

同棲解消後、結婚ありきの同棲以外は行わない予定なので、人生最初で最後の同棲はこれでお終いになるだろうな。楽しかった。同棲が終わりになるまで、同棲の綺麗な面をすくって、ここに書き残していこうと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?