見出し画像

本当につまんねえ『ドミノ』への悪口

 風呂上りだけど悪口なら音速で書けそうなんで書いちゃいますが、おそらく俺が2023年に見た数少ない映画の中ではぶっちぎりでつまんなかったです。じゃあ何がつまんなかったかっていうともうこれは脚本ですよね。
 俺はベンアフレックも普通にめっちゃ好きだし役柄にも合ったチョイスだったと思うんですよ。もう本当に脚本がダメだった。いやもしかしたら俺が馬鹿なだけで本当は超面白い作品である可能性も全然微粒子レベルで存在するんですけど、せっかくなんで雰囲気的に近しいところのある名作『インセプション』を例にとって腐していこうかなって思います。ひいては、映画という枠の中で僕たちが何を手掛かりに作品を鑑賞するの?って話を自分なりに掘っていければ。以下バレありです。












・僕らは何を信じればいいのか


 ドミノの世界って大体催眠術じゃないですか。主人公物語の半分は白昼夢の中じゃないですか。映画の内容としては軍需的に組織された催眠術師たちが、催眠術師のサラブレッドである主人公夫妻の娘を狙う話なんすよね。ただ、それにあたって夫妻は娘の情報を隠匿するために、自分たちにも催眠術をかけて認識を変えてる。その主人公の脳を精査するために敵の催眠術組織も主人公に催眠術をかける。謎に催眠術をかけられて思わず仲間のはずの女を刺しそうになるけどそれも催眠の中で、終盤も催眠術バトルしてスーパー催眠術師である主人公の娘が能力に完全覚醒して催眠術で敵を皆殺しにしたと思ったら実は敵の偉い奴は催眠術を駆使して生き残っててEND。何の何の何??????

特記戦力

 こいつらずっと鏡花水月かけあってんですよ。だから視聴者側は一生作品世界の“実は催眠術だったんだよ”に付き合わされることになる。これはつまんねえよ。俺たちは卯ノ花隊長じゃあないから死体のわずかな違和感からそれが夢幻であることに気づいたりは出来ないの。もしかしたら映画の中の細かい部分を検分すれば一定の法則が見えるかもしれないけど、シークバーでいちいち確認しろってか?バーカバーカ!自害しろ。

 催眠術もこの映画の中ではウルトラ能力として描かれていてもう何が何だかわかりません。ヨン様ですら『鏡花水月解放の瞬間を見せる』って条件がちゃんとあるのに、この映画の中の催眠術は何をされればかかるかも全くわかんねえ。結局“ヒュプノシスパワー”がつええやつが勝てるように出来てんの。考える必要もうここでお亡くなりになるでしょう。考えるのが難しいことと考えるのがナンセンスであることのあいだには広くて深い河が流れてるじゃん。解れ!

 ちなみに俺の中で“説明する気がない能力”の代表格といえば垣根帝督のダークマター。“法則が明らかならざること”をメインギミックに持ってきてしまうと本当にロジックとかどうでもよくなる。最新まで追えてないんだけど色々明らかになった??


 インセプションってその点すげえよな。この映画、深層心理をハックして侵入していくにあたってドミノと同様の超現実合戦が起こるんだけど、術者自身が“今自分が現実にいるか確かめる方法”をちゃんと物語に組み込んでる。

おなじみのあのコマ

 深層心理のn層に潜れば潜るほど現実との時間が乖離し、時の経過が圧縮されていくギミックといい、コマの判別方法を視聴者に了解させたうえでのあのラストシーンといい、仕組みと物語がきれいに共鳴してるじゃないですか。これらの話がしっかり重なることによって、夢か現実かの判別が少なくとも彼にとってナンセンスなものとなったことを我々は理解するわけじゃないですか。最初からナンセンスなものとして扱ってないんですよね。

 選択的に選び取るのでなければナンセンスは物語の劇薬になり得る。なんでもアリは何も語ってないことと大した距離がない。『ドミノ』という物語の中で疑いようがないものは恐らく“家族の絆”であるはずなんですよね。ただ、全編を通してあらゆるものがまやかしとして扱われて、その上で“これだけはホンモノだよ”って差し出されても俺はちょっとわかんねえなって感じです。


エフェクトだけは神映画

 俺が唯一高校の授業をサボって観に行ったクソ映画『ジャンパー』は、さも続編がありそうな空気で終わったが続編は出ていない(調べたらドラマシリーズが出てるらしいが……)
 この『ドミノ』も“悪役がまだ生きてた!”って感じでさも続編やりたそうな雰囲気出してるけど、早々に歴史の闇に葬られた方がいいんじゃねえかな。ロバートロドリゲスにとってもベンアフレックにとっても……。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?