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ゴジラSP1回目視聴メモ

 オタクとゴジラについて喋るので視聴に際して感じた事をざっくり纏める。ネタバレとかもある。あくまで一周で捉えられた情報についてのみ扱い、深堀していくことはしない。生で把握できた状態そのもののを保存するための覚書。


 円城塔は手加減をする気はないのか? いや最大限わかりやすくしてくれたのかもしれないが

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これは嘘だろ! 俺はこの作品を他人に勧めるシーンが来たら絶対に躊躇してしまうと思う。色々理由はあるんだけど、人間が何を求めてアニメ作品を見るの?って話あるじゃん。この観点からだとゴジラSPはマジでニッチな作品だと思う。

 “ゴジラ”というパッケージの中に何が含まれるか、そして何を視聴者が求めてるかは結構バラつきがあると思う。おれはだいぶうろ覚えだから間違ってるかもだけど、VSシリーズには大抵怪獣プロレスという要素が含まれていて、ここに例えばビオランテだったら博士の執着や情愛といったドラマ、デストロイアなら幼体がもたらすパニックホラー的な要素が含まれていたりする。アニゴジ三部作はゴジラというパッケージでありながら、含まれた内容は“ハルオの復讐の帰結”が殆どであったりもする。

 SPの中に、じゃあ何が含まれてるの?って話をするなら俺は9割“SF”だと思うんですよ。そしてその為に“ドラマ”的な要素はバッサリカットしてる。意図的なんじゃないかって思うくらいカットしてる。俺の友人は結構ドラマ部を求めて物語を摂取する人間が多いのでこれはなかなか勧めるのに苦労する。

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 途中で死ぬリー博士の下りが象徴的なんだけど、マジで藁のように死んだんですよね。あんなにドラマと愛のない死に方した主要人物中々いないと思うよ。話に何の関係もねえ猫助けて消えたの。

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こいつもOPでめっちゃ主要人物みたいな空気出してるけど普通に居なくても成り立つよねって思った。なんというか、チェーホフの銃的な話を意図的に排除しようとしているというか、ゴジラという結末の前には人間の重みの差など無いと言いたくてこういうドラマ的必然性を排除しにかかってるのかなとすら。

ドラマ部をバッサリカットして入れたSF部分は本当に緻密に出来ていて驚かされる。おれが思うにSFとは何かって、超常が我々の未来に地続きであると信じさせる営為そのものなんすよね。その点に関しての力は随一なのではないかな。ただ、緻密が故にめちゃくちゃ咀嚼しづらいモノに仕上がってるような気もするが……


ジェットジャガーは徹底してアンチゴジラとしての役割を全うしたようにおもう。ジェットジャガーPPって多分SPに対するモノだから、pluralって事だよね。SFにおいて使われるシンギュラリティは技術特異点を指す場合が多いみたいだけど、ことこの作品に関してはミスリードで、特異点そのものである唯一無二(singular)のゴジラ、という意味合いが強い。時を繰り返し、偏在し並立する無数の個性を以ってゴジラと並び立つ存在となったジェットジャガーが恐るべき対称性に至り、おそらく過去も未来もない終末として待ち受けるゴジラを起点にpluralな未来を創る、というプロットはめちゃくちゃ良くできてる。ただ、これら一連の事象が音速で駆け足するから初見で置いてかれる人多いんじゃねーかなぁ。俺も後でつらつら考えた結果こういう話をしてるわけで。

 キャラデザは正直かなりいいと思う。メイの野暮ったさと可愛さの中間に位置するポップな空気感、一見やる気のないユンの秘めた強い責任感を表現出来てる。

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青エクの人らしいんだけど俺はオタクではないので良くわかんなかったですが、BBのデザインは確かにこの人だ!って思わせる感じある。あとBBの娘めっちゃ可愛い。このアニメでペロ2の次に可愛い。

 時や法則そのものに関する深い考察はSF作家円城塔の面目躍如と言ったところではあるんだけど、この作品を読み解くにあたっての副読本となり得るのは間違いなく通常のアニメ作品やゴジラ過去作ではなく、時や光といった要素を扱ったSF作品になると思う。それこそ映画ならTENET、小説なら三体が直近読んだ本だと感覚的な把握には役立ったかな、といったところ。

 明日の会話の中でより理解を深めたいなーと思いつつメモの結びとします

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