テーマパークと遊園地は違う(USJ行ってきた雑感)
年の瀬なんで今年のまとめなり、見た映画や本のランキングなり付けてみようかなぁなどと思いましたが性に合わないのでやらないことにしました。前者は単に面倒くさく、後者は最近の自分が「作品と自分の間で発生した何かについて無理矢理数値化するのって不自然だよね」と感じている為です。同一直線上に作品評価を落とせるタイプの人間ではないんだなぁ、と。このページは自分の備忘録として使うのが第一の意義なので、半月ほど前に訪れたUSJのはなしを書くだけ書きます。
きっかけ
俺は実家だけはそこそこお金のあるボンボンクソ野郎なので、まれに親から使わない株主優待を貰ったりする。今回はどっかの旅行会社の優待券で、USJの半日ペアチケットなるものをゲット。こいつは『19時以降一般人がハケた後も遊んでて良いですよ』という半貸切効果のある代物だった。女の子でも誘えれば割とサマになっただろうが、困ったことに俺が異常独身男性の為断念。友人の一般独身男性(恋人あり、婚約予定)を誘い、一路大阪へ向かった。
そこは“テーマパーク”だった
入口で笑顔の係員さんに迎えられる。これだけ常にウェルカムなオーラを出し続けるのは大変だろう……。この空気は全ての施設で通底しており、お客様を夢から醒めさせない為に最大限の力を使ってることがわかる。
『ジョーズ』のコーナーに到着し、遅めの昼飯を取る。友人はサメ肉フライのサンドイッチ、俺はシュリンプサンドイッチだ。二人合わせて3,300円なり。バブルだ。売り場のお姉さんが笑顔で言う
「2点合わせまして、3,300ジョーズです!」
3,300ジョーズ!?こんなところでも“日常”を排除しにかかるのか!?サンドイッチの値段や味よりも、パーク全体に通底するこの意識の高さに僕らは一生驚かされ続けた。
その後、僕らはハリーポッターゾーンに向かった。各種アトラクションは、寒風吹き荒ぶ中、1時間以上の待ち時間であったが、会話と周囲に溢れる“世界観”のお陰で退屈しなかった。東京ディズニーランドでも屈指に並ぶ『プーさんのハニーハント』のことを僕は思い出していた。行列に並ぶ人間を飽きさせない、単なる待ち時間にならないように計算された作品の世界の情報。
館系のライドアトラクションを終えて建物の外に出ると、既にどっぷりと日は暮れていた。
そして“世界観”が襲いかかってきた。
窓、街頭にあかりが灯り、路地は人であふれ、時折どこかの建物から魔法の火が上がる。
あまりの寒さの中求めたバタービールの屋台。魔女のお姉さんから渡された甘く熱い飲み物で活力を取り戻す。あの世界の一部になる。アトラクションよりもなによりも、この瞬間こそが値千金だと感じた。これが“テーマパーク”なのだ。これを壊したくなくて、全てのキャストが細心の注意を払ってここを維持しているのだ。
オタクなのでそんなことを感じながら、イスカンダルの宝具みたいだなぁと思ったのはここだけの秘密だ。
夕暮れに合わせて強風となり、コースター系の乗り物はかなり中断してしまった。その影響を受け、残ったアトラクションに僕らを含む優待券ユーザーが集中した結果、アトラクションに素早く乗れる時間を有効に使うことは出来なかったのは残念だった。僕らは寒風吹き荒ぶ中、ウォーター系のアトラクションに2連続で乗り込み、激烈な勢いで寿命を減らした。
終了間際に、ハリウッドの夜の街並みを煌びやかに彩るネオンを観た。この異世界から離れることが名残惜しくて仕方ない、そう感じた。
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