ブルーピリオド12巻雑感、あるいは俺の芸大女子への偏見
凄いやつがきた、と思った。
俺は芸術に人並み以下の知識と造詣しか持たんし、なんなら絵画については幼稚園の頃に同級生の女の子に馬鹿にされて以来、徹底的に忌避してきたクチだ(記憶に無いのだが母親曰くそうらしい)。だから絵を描ける人間というのをほぼ例外なく尊敬している、崇拝してるといってもいい。
同時に“奇人なんだろうな”という偏見も抱いている。完全に俺軸の偏見だが、あんなに(俺が)恐れているイラストという作業を楽しんで、こんな素晴らしいクオリティになるまで鍛え上げているのは一体なんなのキミたちは?みたいな感じ。
そこから考えると、『ブルーピリオド』における芸術家の卵たちは案外とまともに、等身大に悩みにぶつかって前に進んでいく。なんというか、思ったより普通に青春して、普通に熱血したら悲しんだり、しているように思える。きねみちゃん、きねみちゃんとかそうじゃん。桑名さんとかもそうじゃん?
そこに来てこの女ですよ。俺の芸大の女への偏見が脳から抜け出してきたような女。奔放で、天才肌で、他所から何かを推し測ることを避けるようでありながら、周囲を誘蛾灯のように惹きつけてやまないタイプ。周囲を駄サイクルに巻き込み、スポイルしながらも、彼女自身は彼女の才能で助かってしまうようなタイプ。
我らが主人公、八虎くんは良くも悪くも感化されやすさにその特徴のある男だけれど、彼は果たしてどうなっちまうのか。
パワー系油絵マン、犬飼教授は多分「積み重ね」「筋肉」「地層」そういった苦闘そのものが芸術家を強くすると確信しているように思える。堕落と克己、八虎の前に広がる光景は果たしてどちらか。このシリーズを読んでいて初めて感じるタイプの緊張。
あ、「私実質フジさんみたいなもんですよ」って感じの芸大生居たら僕と出会い厨しましょう。僕の人見知りゲージが下がりきってる時なら鳥貴族くらい奢りますよ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?