感情エンジンとラブコメを終わらせる女について

 今日は二乃の話をします。五等分の花嫁において突如虎口攻めを選択し、全てを殲滅せんとするラブコメ界の姫武将です。今日はいかにコイツが“白州ダイナソーズ並みのノースサウスゲームを展開しようとしているか”について喋っていこうかなと思います。パソコン使えなくて仕方なくスマホで叩いてるんで読みにくいところあったらすみません



感情エンジンの優秀な女

 こいつは本当に序盤から怒ってばっかりです。俺の勝手な印象論にならないようにコミックス漫喫で読み返しました。怒れる女です。序盤はこいつが出てくると結構詰められるので、四葉の無邪気な優しさに死ぬほど救われてました。共感性羞恥の呪いのせいです。

 だけれど話が進むごとに、喜怒哀楽の表現が増えていくごとに、「こいつは相当優秀な感情エンジンを搭載しておる」と思うようになりました。 

 “感情エンジン”ってのは俺が勝手にラブコメとか読む時に使ってる概念で、勝手に名付けたので多分そういう本物の用語あります。ざっくばらんに言えば、“感情という燃料を燃やした推進力をギアに伝達する力”とでも言いますか。二乃はとにかくこれがメチャクチャ優れてる。

 怒り、笑い、恥ずかしがり……表に己の感情を表現するのが上手い。こういう女、同じ時期にマガジンで見ませんでしたか??



ラブコメを終わらせた女

 御存知、化物語の戦場ヶ原ひたぎです。大暮維人の描く泣き顔ヤバくないですか?? 漫画は画力じゃないけど、画力が無きゃ表現出来ねえ事ってあるんだなって思わされましたよね。

 こいつは別に表情がコロコロ変わるタイプではないですが、やりたいこととやるべきことがあり得ない精度で一致してます。躊躇いが無い。一切ない。もし戦場ヶ原がモジモジしたりマゴついたりするタイプだったらラブコメになってんですよ、化物語って。羽川も加えた三角関係モノに。本当にそんな隙一切与えないで掻っ攫っていきましたね。トンビか貴様は。


ラブコメを終焉に導く力とは

「レベルを上げて物理で殴る」これに尽きます。

 俺はこの歳まで恋愛する間も惜しんでラブコメとか読んできたから思うんすよ。魅力値をブチ上げて真正面から殴りかかれば大抵のバトルは終わらせられるんすよ。勿論ラブコメは最短距離をブチ抜かれたら終わっちまうので、色んなワインディングロードを楽しみながら、恋の鞘当ては延長戦……って終わらせたって全然いいわけです。高橋留美子先生に習ったから間違いないです。高橋留美子は絶対。

 二乃はこの迂回部分を“照れ”や“ためらい”の代わりに“キライ”で終わらせてしまった訳です。あとは爆速でギアチェンするだけ。

「あんたが私のことを好きじゃないなんて知ってるわ。ずっときつく当たってきたんだもの。でも、まだ決めないで」「私がどれだけフータローを好きなのか、ちゃんと知ってほしいの」

 この台詞を言えただけで勝てたであろう、敗れ去っていったサブヒロイン達がどれだけ居ようか。 

「魅力を上げる」「魅力を伝える努力をする」「その為に時間を欲しい」 

これは宣戦布告だ。貴方と私で歴史を共有したいという、高らかな宣戦布告だ。


誰が二乃を止められるのか

 ルール違反の速度で戦闘力を高める二乃を止められるのは一体誰なのか。ここまでの話を踏まえればわかっていただけると思うんですが、マジで三玖だけです。

 まず所持エピソードが強いです。メチャクチャ強いです。歴史の共有という一点においてはまだまだ3馬身以上は離してます。

 次に心が強いです。マジでどんどん強くなってる。彼女の強いところって「自分を変えて好きになってもらう」という結論にかなり早い段階で辿り着いてる点ですね。地道に努力して、魅力という掛け金を上乗せしようと決意している。


誰かと被る女

 それに比べて一花選手、まだまごつきパートを脱していない。誰かと被るんですよ、トンビに油揚げ掻っ攫われた羽川翼ちゃんにさ……

 恵まれた胸キュンエピソードから迂闊過ぎる躊躇い。この勝負、そろそろ本気出さねえと勝てませんよ。本当にエンスト起こしてる感じがして、見ていてもどかしいですね……。今から勝つ方法なんですけど、燃料撒いて引火させるのがおススメです。エモーション大爆発です。本当の殲滅戦になってしまいますが、それくらいの勢いがないと取り戻せない遅れが。二乃と三玖が二人の勝負みたいな空気醸成しちゃうとお姉さんの君は遠慮しちゃうじゃないか。それじゃまずいんだよ!!


暴走ラブトレイン脱線シナリオ

 長々と二乃という暴走機関車について喋ってきましたが、先日友人と話した時にメタ的な示唆を得ました。彼はこう言ったんですよ

「ラブコメを読む時、サブヒロインのその後を考えると胸が苦しくなってダメだ」と

 その時は流石に感情移入しすぎで生きづらくない??って思ったんだけれど、ちょっと考えるとあり得るなぁと思ったんですね。

御存知?“あの子には俺が必要なんだメソッド”です。これラブコメにおける判官贔屓としては結構強固な理屈だと思ったんですよ。あ、沙村広明の『波よ聞いてくれ』マジで傑作漫画なんで日本語読める人は是非読んでください。

 この理屈に則ると一番不安定に見えるのは一花で、次に三玖。俺の推すところの二乃はこの視点からすると最下位です。彼女、自分の舵を自分で取れる女じゃないですか。割と読者ストレスという理屈の中ではヒエラルキー下位かもしれないなぁ、なんて 。


終わりは必ず来るものだ

 五等分の花嫁は終わりを想定した作品だ。必ず誰かと結婚する事が最初から示されている。ここに至るまで勝手気儘に誰が強い誰が弱いって喋ってきたけれど、僕は春場ねぎ先生を信頼してるので、きっと誰が花嫁の位置に収まっても僕を納得させてくれて、祝福する側にしてくれると思う。最後に一つだけ言いたい


それでも、それでも俺の推しは二乃だって!

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