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ミュージカル「忍たま乱太郎」第11弾 初演/再演 〜忍たま 恐怖のきもだめし〜ネタバレ感想(再掲)


ミュージカル「忍たま乱太郎」第11弾 〜忍たま 恐怖のきもだめし〜

※この感想は、当時書いたものに加筆修正し、再掲したものです。

忍者にとっての名前とは


忍ミュ第11弾。荒れ屋敷を舞台に肝試し!と忍たまお約束のどったんばったん大騒ぎ!ではあるんですが、その傍ら、「忍者の名前」について考えさせられた作品でもありました。

物語は長次と一年生たちが、武将の幽霊たちと出会うところからはじまります。
武将たちは名乗りを上げます。そして、それに答えて長次は名乗ります。中在家長次と。

そう!11弾は、忍ミュで初めて長次がメインのお話です!!

そこから、荒れ屋敷への調査、きもだめしと、お決まりの騒がしさも見せつつ、後半物語は急激に展開していき…
いつもと違う様子の長次。幽霊に操られるように仲間たちに対して刃を向け始めます。
11弾は過去の忍ミュの中でも特にシリアスな展開が多い作品だったかもしれません。

先生の台詞では、長次と武将たちの間にリンクするものがあったのだろうという話がありました。また、他の六年生が幽霊たちに呼びかける時は話しかけてはいけない!と止めようとします。
なので個人的に、長次が幽霊に取り込まれてしまったのは、在り方の重なりと、名前を名乗った事の両方がキーになっているかな…?と思いました。(前者が主だとは思います。じゃないと、名乗りを返したドクタケたちはなぜ無事なのかということにもなるので…)

ラストシーン、長次は武将たちに懇願します。あなたに勇気を感じたと。だからこそ武将らしく成仏して欲しいと。
そこでふと気づきました。
忍者は名前が残らない。
目の前にいる武将たちは、文献にも名前が残るほどの武将です。最後こそ無念な形ではありましたが、華々しい功績が残った武将です。
では、忍者としてプロを目指す長次は?この先どうなるのか。きっとどこかのお城に仕えて、プロ忍として働くのだろうけど、それが歴史に残ることは、よっぽどのことがない限りないでしょう。
だからこそ、傷を誉とし、名を残し、強く逞しい武将たちに憧れ、ある意味未来の上司的な存在でもある武将たちの最後が、未練のないものであってほしいと長次は願っていたのではないかと。そう思えて仕方なくて、見ていて涙が止まりませんでした。
とても切なく、愛しく、力強い、長次らしい良いシーンでした。
ひとつ大きな希望を感じたのは、あの武将たちはきっと、長次の名前を覚えているだろうという事。中在家長次という忍者は存在しているのだと、彼らの中に刻まれているといいなと願います。
もちろん、忍術学園の仲間たちもいますけどね。
何度聞いただろう、仲間たちが長次の名前を呼ぶのを。今までこんなに誰かの名前が叫ばれた事、あったかなぁ。
忍の名前を呼ぶ事を、こんなに愛しく思ったのは初めてです。

そして今回!あのドクタケたちに!名前が!つきました!!!おめでとう!おめでとう!!!!
その事からも、今回の裏テーマは「忍者の名前」なのではないか?と私は思っています。
ドクタケだって忍者です。名前が歴史に残ることはないかもしれない。名前すら必要なかったのかもしれない。けどしっかりと覚えられるでしょう。
そう、特にドクタケの女たちに(笑
ドクササコたちがめちゃくちゃ悔しがりそう。抜け駆けかよ!!つって。

他にもたくさん楽しかったこと笑ったこと驚いたことはあったんですが!!!!
取り急ぎ、思った事を書き留めておこうと思います。

六ろをもっと絡めて書きたかったな!正直衝撃が強すぎてあまり覚えてません!!!私何をみましたか!?!?感謝しかねぇなおい!!!忍ミュ最高〜〜〜〜〜!!!!!!


端々で語られる忍者のあり方

忍者の名前の話もなのだけど、今回特に感じたのは彼らの『忍者として生きる姿、覚悟』について。
劇中、一見突然語られる『忍者の心得』
怖がらない、侮らない、迷わない(聞くたびに雷蔵…って思う笑)
これも今回のキーワードだったように感じました。
6年生たちは、もうほぼプロに近いからその辺は乗り越えてる…はず…はず…なんだがそうでもなかったな そうでもないけど心得はあるはずで。
個人的には長次ももう6年だし、プロ忍目指してるし、忍者としての覚悟は既にできているという解釈だったから今回自分の弱さを語ったのは意外ではありました。
作品に寄り添って解釈するのであれば、長次の過去にあんな事とあんな思いがあったのだとしたら、今回みたいな事がきっかけで仕舞い込んでいたものが溢れてしまったのかもしれないなと。(尼子先生の言葉を借りるなら)まだ15歳だし。
でもきっと覚悟自体はあっただろうしそんな長次だから、みんなは長次に思い出せ、お前は忍だ、と言ったし、目を覚ましたらすぐに幽霊に立ち向かってああやって語りかける事ができたのかもしれないよね。
そういう長次を理解できてなかったら、小平太はお願いという形を取らなかったと思う。長次に何をした!ってぶち倒しに行ってもいいはずなのに。それでも小平太は、戦ってる周りに加勢するでもなくまっすぐ長次に向かっていくし、連れて行くなとお願いする方法を取った。長次なら、って信じてないとできないんじゃないかなぁ。
これまで、後輩が増えて、6年は頼れる先輩として描かれる割合も増えてきたし、戦ったら強いぞ!って感じがあったけど、今回は忍としての精神的な強さの成長を描いたんだなと。最後は話し合いで終わるなんて大人でもできない人いるぞ。

まだ完璧じゃない所もあるけど、仲間がいるから、大丈夫だ。身体も、そして心も一緒に強くなろう。一流の忍者に。そういうお話だった。  

忍びの魂震わせて 天辺目指して風になれ
選ばれし者になるために 心通わせ 鼓動合わせ 若獅子のごとく駆け抜けろ

ミュージカル「忍たま乱太郎」11弾 「心願成就」より

ラストシーンは、歌詞にもあるけど、4.5年含め忍者として生きると覚悟した男たちの姿だった。今まで見てきた忍ミュとはまた違う、地に足のついた強さがあった。

そういう忍びとしての側面を考える事ができたので、11弾、すごく好きだなと思いました。

10/23が2度目の観劇で、そこで感じたことでした。
あと何より…!!全員揃ってるのもだけど!新井くんの演技の熱量が上がってて凄かった…!!!
元々ポテンシャルの高い役者さんだとは思ってたけど、長次は寡黙なだけに今まで出し切れてなかったろうし(10弾での細かい演技もめちゃくちゃ好きです)、ここでこんな熱演見せてもらえるとは…!と凄く嬉しかったです。待ちに待った6ろメインでもありますし!!まんまと毎回泣かされました。

引っかかってるのは、貧乏神の立ち位置くらいかな…もう少し存在理由感じられると良かったけど。
神様もお化けも人間もいるんだよってことなのか…?
あと最初の平家物語と琵琶法師(めちゃくちゃかっこよかったのにあそこだけなのもったいなくない!?!?)ももう少し分かりやすいフラグになればなーとは思いましたが。平家物語は深読み部分で色々繋がる気もしますが、琵琶法師は、うーん、どこから来たの。本落としたから出てきちゃった感じ?
曲がめちゃくちゃかっこよくて一気に引き込まれた!もっと見たい。
あっむしろそういうこと…?平家物語、つまりあの屋敷での不思議な世界へ引き込む役割かな…?そういう意味ではすごく大事な役割かもしれない。

追記:そもそも平家物語は琵琶法師によって語り継がれてきた歴史も(おそらく)あるでしょうから繋がりがあるのは当たり前といえば当たり前ですよね…
とにかくあそこだけなの勿体無いくらいかっけかったなというお話



ミュージカル「忍たま乱太郎」第11弾 再演 〜忍たま 恐怖のきもだめし〜

竹本さん脚本になってから、再演は追加エピソードと追加曲を入れ込むのではなく、物語をもっと濃くするための変更をするという感じですね。
9弾までのような追加エピソード系もオイシイ内容だったのですが、演出の変更でよりグッと深みが出る10弾再演の変更が凄くツボだったのもあり、こういう再演もいいなと思っています。

11弾再演で感じる事の大枠は、初演で書いた感想とそこまで大きくは変わらないのですが、長次の演技の静と動…いつもの長次と、取り憑かれた長次、長次の感情、などが前回よりはっきりしていて、長次の優しさがすごく出ていたなぁと思います。
長次のソロの歌、結構急で、異質だなと思ってしまうくらいの流れで入ってくるんですけど、それが長次の竹虎様への感情で、他の人達と違う部分の現れだなと。最初から長次は竹虎様を悪い幽霊と捉えてないようにも見えて。
新井さんの長次の演技、見るたび変化と発見があって、長次らしさも増していて、元に戻ったときの第一声を聞くといつもの長次だ、とすごく安心できました。
竹虎様への語りかけも優しくて、最後の名乗りもずっと竹虎様の方を見ている。長次の想いをすごく感じられる、前からもだったけど本当にいいシーンです。
竹虎様も、キャストが変わられたというのもあるのですが、語りかけ方が前より優しく感じるんですよね。ふたりとも、見た目は怖いけど優しい人なのだ…。
小平太との熱いシーンも増えて、毎回手に汗握って見守ってます。というか「ろくろてぇてぇ…」で限界化しそうなところを言葉を振り絞って今これを書いている。 褒めて欲しい。

一番のテコ入れはやはり貧乏神部分ですね。
あの辺は結構疑問に思ってる人も多かったみたいなので、描写が変更&追加されてよかったなと思います。
(ビショビショなのも理由あるのかと思ってましたが、中の人ネタということで尼子先生が感謝祭の対談でフォローされてました笑 内輪ネタは扱いを気をつけないと諸刃の剣になると個人的には思う…)

確認はできてないのですが、灰の中から出てくるという部分は絵本からみたいですね。
初演は千兵衛さんたちに憑いてたところから陸に取り憑く…?という流れでしたが、今回はみんなに愛されたいという行動理由もできて、忍術学園に協力する意味合いも強くなったため、最後までの流れがわかりやすくなったなと感じました。
11弾に出てくる貧乏神は太ってますが、もうあれ貧乏神としての力取り込みまくってて福の神になってるん違うかって思い始めてるんだけどどうなんでしょう…。だからかどうかはわかりませんけど、千兵衛さんと小梅さんにかけられる最後の言葉でだいぶスッキリしたな〜。
ただ、ドクタケスピンオフは初演だけの話になってしまったかな。ドクスピも再演あって…ええんやで…。

あと、はっきり語られてはいないですが、あの荒屋敷自体『そういう場所』だったんだろうなと思います。不思議なもの、幽霊、おばけ、神様、琵琶法師、そういうものが集まってしまうような場所。ろくろくびも出たし。貧乏神もその中の一つなのでしょう。

キャラクターそれぞれ細かい変更があったり、アドリブ部分も増えて毎回見る時の楽しみでした。
個人的には、勘右衛門が滝夜叉丸と三木ヱ門を止めるシーンが、座って眺めて静かになったあと「はい、二人が静かになるまでに12秒かかりました」の流れが面白すぎてツボだった。

初演の最初は、長次の竹虎様への語りかけを観るたびぼろぼろ泣いてたんですけど、彼らの忍として生きる覚悟ってのを改めて感じてから、心願成就の4年パート、忍びの魂震わせて、ーーー若獅子のごとく駆け抜けろ で涙腺崩壊するようになってしまった。しのびになると こころにちかった わかものたち…!!!!ブワッ

大変な状況の中公演をやってくれること、そして忍ミュを守ろうとスタッフキャスト一同が尽力してくれているであろうこと、感謝しかないです。
ありがとうございました。


最後に

忍ミュ11弾、六年ろ組が好きだった自分にとっては待ちに待った2人がメインのお話でした。

メインだわーい!と呑気に見に行ったら、とんでもねーもん出て来ちゃったよ

ろくろの民みんな大丈夫でした?大丈夫じゃないよね。私もそう。

本当に本当に素晴らしい公演だった。

けれど、この公演はコロナ禍の影響を大きく受けた公演にもなりました。
緊急事態宣言の真っ只中にあり、中止も多く、地方公演がほとんどできていません。

私はそれがすごく悔して、ろ組のあの素晴らしい演技を、たくさんの人に見て欲しかった。あの2人だから作り上げることのできたお話で、絶対にもっとたくさんの人に見てもらうべき公演だったと心から思っています。

きっとカンパニーのみんなも同じ気持ちで、悔しい思いをたくさんして来ただろうと思います。
大変な中、配信への対応など、全力で届けてくれた事、本当に感謝しています。
ありがとうございました。

そして、今回の座長、長次役の新井さん。
最後に彼は、このコロナ禍で忍ミュが終わってしまうのでは、と不安な中やって来てくださった事、でも自分たちはこの場所を守りたい、繋げたいと思っている事を話してくれました。
なんて素晴らしいキャストに恵まれてるんだ忍ミュ…
この人を一生大事にしてくれ忍ミュ 頼むぞ

正直、すごく安心しました。キャストが変わったり、忍ミュも色々変化してきましたが、今のキャストがこんなに忍ミュ愛してくれてることに。公演と一緒に、想いも繋がってるのですね。

11弾、大好きです!!!

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