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富山訪問3日目 ~市内交通~

交通と人々の集い 本日も読んでいただきありがとうございます.富山大学4年の村中です.普段は水理についての研究を行っています.富山訪問の3日目は富山駅から280円エリアが対象となる「市内電車・バスふりーきっぷ」を使って中心部を散策しました.本記事では交通に焦点を当ててレポートしたいと思います.

当日の大手モール.

先ず一行が向かったのは「大手モール」.ここは2009年に開業した区間で,日本で始めての上下分離方式の路面電車となっています.上下分離とは設備の保有者と運行会社が別の事業者であるものを言い,ここでは線路や車両など「下」の部分を富山市が保有し,運行サービスである「上」を民間企業である富山地方鉄道が担当しています.

「軌道」と書かれた蓋には富山市の市章が描かれている.


そんな大手モール,我々が向かった日にはトランジットモールの社会実験が行われていました.トランジットモールとは道路に入れる車両に制限があり,一般的に路面電車またはバスしか入れない道路,また歩行者が自由に道路の全幅員を歩けるものを指します.ここ大手モールではかなりの頻度で休日にトランジットモールの社会実験が行われているようです.

トランジットモールの社会実験とイベントの様子.

しかし,日本ではまだまだトランジットモールが定着していないせいか,こんな看板が……

路面電車の線路は跨げない………

「本当の」トランジットモールとは路面電車の軌道敷も関係なく自由に歩行できるものを指すのです.実際に私は高校時代にドイツのライプツィヒに1年留学しており,路面電車の線路の上を歩けるのは当たり前だと思っていました.トランジットモールの社会実験も次の段階へ行くように期待したいものです.

富山大橋と路面電車.
インファンド軌道.

さて次に我々が向かったのは有名な写真が撮れるところです.この日は富山にしては珍しく快晴でした!ここは富山大橋.2014年に土木学会デザイン賞奨励賞を受賞しています.こちらは先程の大手モールと違い県道ですが,照明柱と架線柱が中心に一体化(センターポール)されていて立山がよく眺望でき,また路面電車の軌道もU字線路こそ用いていないものの,富山市が敷設した線路と同じく「インファンド軌道」を採用しているなど富山市の規格と同じように作られているように感じました.インファンド軌道は線路の周りをゴムで固めてる軌道で,普通の枕木のある線路よりもメンテナンスの手間が省けたり,乗り心地が良かったりという特徴があります.実際に富山大学の学生達を訊いてもインファンド軌道ではないところは揺れがすごいと評判です.初期投資が高いのでなかなか広がりませんが,2006年に開業した富山ライトレールの軌道線は未だに開業以来線路の修繕を行っていないようです.かなり長持ちして乗り心地もいいのでぜひ広がってほしいものです.


バスにも乗ってみる.

さて,土木系学生の一行は富山大橋で色々話していると新幹線の橋梁が目に入ってしまいます.その橋梁の話は別の回で....その場所まで市電とバスを乗り継いで行くこととしました.バスは路面電車とは違ってラッシュ時とそうでないときの本数の差がとても大きいです.乗客は往復で数名,それでも1時間に1本は確保しているようで公共交通としてのがんばりが見えます.


料金がわからない.

ところで,富山地方鉄道には自前のICカード「えこまいか」があります.このカードで乗れば市電は210円から180円に,鉄道線も約12%割引で乗ることができます.おそらく同じようにバスでも料金表から割引されているのでしょう.実は筆者はふりーきっぷ使わずに同行しておりました.なぜかといえば!市電に3回乗るとそれ以降市電は何回乗っても無料になるのです!そんなわけでバスにもえこまいかで乗車しました.2停留所の移動ですが,料金は210円です(後日料金表確認しました).しかし実際に決済されたのはなんと110円.帰りはもう少し乗って240円が170円に.一体どうなっているのか....地鉄バス普段乗らないのでなぜこんな値段なのかはわかりませんが,現金の料金表だけではなく,えこまいかの料金表も欲しいところです.これだけ安いと住民がわかっているのであればそれだけでもっと利用者は増えるのでは...そう思いました.


富山地方鉄道富山港線.

さて,富山の路面電車といえばやはり「ライトレール」でしょう.一応公式的には「ポートラム」というのが愛称ですが,ついつい「富山ライトレール」と未だに言ってしまいます.15分に1本は流石に本数少なすぎか,満員電車でした.どうやら車両を増やそうにもこれ以上車庫のスペースが無いようです.

東岩瀬の町並み.

ここで昼食を取って環水公園まで船で.....船の話も別の回で!東岩瀬の町並みは殆どが再建されたものです.それを「歴史的な町並み」としていいのか議論に.ドイツに留学していた身からすると,ドイツも戦争で失われたものを再建しているので,もとに復元するにはいいと思いますが皆さんはどう感じるでしょうか.

電鉄富山駅から南富山駅まで.

「市内電車・バスふりーきっぷ」という名前がついているものの,実は市電に並行して走る普通電車にも乗ることができます.せっかくなので乗ってみることとしました.本数に違いがあるのか,また市電でも所要時間が殆ど変わらないのか,5分に一本来る市電に比べるとお客さんは少なそうです,逆に5分に1本も市電を走らせているのに,毎回それなりに乗客がいるのが驚きです.さすが全国の営業係数TOP10の路線です.鉄道線の方も,山間部を抱えながらも営業係数が109前後とかなり頑張っています.

富山市役所展望台

路面電車,バス,普通鉄道と富山地方鉄道の3種類を見てきましたが,路面電車だけが注目されているのか,乗客がそこにしかいないような感じがしました.官民連携してえこまいかを普及していけばもっと市電の走る中心市街地以外にも公共交通の利用者が増えていくと考えました. まとまりのない文章ですがこれにて報告を終わりたいと思います.最後までありがとうございました.