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高級レストランでのチック症状:発達凸凹の家族の体験からみえた社会的課題

発達凸凹の親の会の茶話会で聞いた話です(掲載許可済)。

春休みにちょっとお高めのレストランに行ったときのこと。
小学5年生になった子どもがチック症状で声を出してしまっていたら、スタッフから「お子さんを静かにさせてください」と言われたそうです。

高級な店だしスタッフの立場もわかるけれど、子どもがわざと声を大きくしたわけではないのに…。
春休みの旅行で特別な食事だったので、本当にショックだったのでしょう。
その時の気持ちが話から伝わりました。

幸いなことに、子どもは委縮したり凹んだりはしなかったといいます。
そして、その子はそのスタッフに向かって「うるさくしてごめんなさい。でも自分にはチック症があり、声が出たり変な動きをしてしまうんです」と謝罪と説明をしたそうです。

話を聞いた茶話会のメンバーは、無理解による悲しい思いを経験をしている人が多いため、話を聞きながら怒っていました。
そして、話をしてくれたお母さんと同様に、「なぜ宿泊施設に付属するレストランの従業員が、チック症のことを理解していないのか」という疑問を持ちました。(チック症についてはこちらをご覧ください)

親としての学びはあっても…

子どもから話をきいたスタッフさんは、そのお母さんにむけて「事情をはなしていただければ、個室をご用意することもできます」と言われたそうです。
合理的配慮を受けることができたんですね。

そう言わると、お母さんの方も「そうよね…」と思ったり、自分の見通しがたらなかったことを反省されたそうです。

確かに、他にお客さんもおられるし、それが特別な食事をする店ならなおさらスタッフさんがとった態度は正当だったのかもしれません。
しかし、です。
スタッフさんにチック症や発達障害に関する知識があったら「子どもを静かにさせてください」という声がけにはならなかったのと思うのです。「何か困っていませんか?」などの気遣いを感じる声がけができるのではないでしょうか。

発達凸凹の子を育てている保護者には、社会生活の中に大小の困りごとが多々でてきます。
この出来事にしても、後から考えたら「こうできかも…」という対処ポイントはいくつもあります。

今回の場合であれば「個室を用意してもらう」などの合理的配慮を要求するなど、いつもとは違うことをするには、予定を観ながら見通しをたてる等の準備や、各所での環境調整が必要なことを知る機会となりました。

当事者であるお母さんやお子さんだけでなく、話をきいた私たちにとっても、この出来事は学びになりました。

でもね
でもね…です。
一般的でない言動をする子どもたちを育てる親からしたら、「またか…」なよくあることとはいえ、社会との小さな衝突であっても、衝突がある度にダメージがあるんです。こころがきゅっと苦しくなるんです。

合理的配慮は令和6年4月から義務化されました

4月1日に「改正障害者差別解消法」が施行され、民間の事業者も障害のある人の求めに応じて合理的な配慮を行うことが義務づけられるようになりまし
た。

さまざまな障害がある中で、発達障害はみえにくいわかりにくい障害ゆえに、合理的配慮のみならず、全般的に支援をもらいづらいという課題があります。2004年に発達障害者支援者が公布されて20年になりますが、発達障害の理解という点では世の中の理解がまだまだ進んでいないことを痛感する出来事でした。

公教育の学校でも、まだまだ調整がうまくいってないといわざるを得ない合理的配慮です。

そんな合理的配慮について、これはわかりやすい!という資料が出されていました。
美術館へ行きたい!という障害を持つ方への対応ケースが提案されているモノです。
こちらの「合理的配慮のハンドブック」がとてもわかりやすかったので、ぜひご一読ください。

①要望 ②対話 ③合意の三段階で合理的配慮を受けられる流れを具体的に紹介してくれているので、自分の事例の際に落とし込みができると感じました。特に「声かけのポイント」はわかりやすくて好きです。やさしさを感じるホっとする言葉です。

親の学びも必要

さて。
今回の話の中では、保護者や家庭の側にも学びが必要なことを感じました。

親がどんなに頑張っていても、子どもが新しい経験をするたびに、その場に応じた支援を不足から学ぶ体験が必要なのだろうな…と。
これは、親の努力不足でないのです。
社会との間のできてしまう壁を感じる体験ともいえるのでしょう。 

こうした体験を子どもがすることで、親としては「失敗しちゃった…」や「子どもに悲しい経験をさせてしまった」と、気持ちが凹んだり悲しくなったり、さまざまなことに怒りを感じたりします。

ですが、こうした経験こそ学びになります。
親の目が届くところで困ってくれる出来事に遭遇することで、親子で対策を考えることができるのです。親は支援の方法や在り方を学び、子どもは自分が社会の中でうまくやっていく方法を学べるチャンスとなります。

ですから、今回のレストランでの出来事は、嫌なことではあったけれども「ある意味ラッキー」という思いに変換してもいいと私は思います。

さらに、こうした親の学びがあることで、「子どもの環境」に大きな大きな違いがでてくるものです。
発達障害の原因は親にはなくても、親が適切な学びをするのか否かで、子どもたちの成長への影響は大きくことなります。
私は、親は子どもの環境そのものだと思っているので、親として学びを仲間とともに深めていこうと意を新たにしました。

「親は環境そのもの」ってなに?という方は、下の投稿も合わせて読んでいただけると嬉しいです。

https://note.com/dobabee/n/ne99decaea57f

#子どもたちが幸せでいられる社会にするのが私の夢です

最後までお読みくださり、ありがとうございました。


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