九条林檎No.5の看取られSS

九条林檎No.5が最強バーチャルタレントオーディション~極~に敗退したif世界の看取られ台本です。無論、二次創作。なんでも赦せるディナー向け。



しかしまあ、よく来てくれたものだ。
インターネットで知り合った人と会ってはいけない、と習わなかったのか?

ははは、全く。頭の軽い人間もいたものだ。

顔さえ見せていない自称「吸血鬼」の言う話を鵜呑みにして、
嘘かもしれない、実在するかさえも知らないような住所に来てしまい、
そして自ら血肉を捧げようという気になるとはな。

しかし…………、礼を言うぞ。

なんとも憐れで浅ましいことに、
我は貴様の血がなければ生きてゆくことができない。

はは、一生の不覚だ。

そこに寝転がるといい。

(しばらくの間)

まさかこんなことになろうとはな。
人間界なんぞに来るんじゃあなかった。

貴様も知っての通り、
我はこの世界での『九条林檎』を決めるための戦いに敗北し、

そして……、貴様らは知らないだろうが……、
ははは、言っていないのだから当然だな。
我は、人間界に取り残されてしまった。

何故だかは知らん。何故だかは知らんが、
魔界と人間界とを繋ぐ道が閉ざされてしまったのだ。

お父様に見限られたのか、お母様に見限られたか。
或いは家臣か? 親戚か?
ははは、どれもありえんな。

しかし現に、こうしてこの我、九条林檎は……、
いや、もはや『九条林檎』ですらないのかもしれんな。ははは。

まあそういった経緯で、
自らを『九条林檎』だと思い込んでいるこの不気味なバケモノは、

文字通り血に飢え、死にかけ、
そして人間相手に命乞いをしているというわけだ。

不思議だな。
本来なら命乞いをするのは貴様で、されるのは我のはずなのにな。
……皮肉なものだ。

(しばらくの間)

話が長くなってしまったな。

この我があとどのくらい生きていられるかは定かではないが……、
しかし貴様のことは決して忘れないことをここに誓おう。
文字通り『一生』だ。

せめてもの手向けだ。力を抜け。
吸血鬼の唾液には、ある種麻酔のような成分があってな。
きっと楽に死んでいけるはずだ。

では、徐々に血を抜いてゆくぞ。

貴様はこれからだんだん意識が朧げになって、ある時気を失うだろう。


それまでの間、羊でも数えているといい。

(ここだけ音量小さく)いい夢を

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