上方修正投資法
◆はじめに◆
企業の予想利益、売上高の上方修正やアナリスト予想の上方修正で株価が上昇するということはよく経験することです。
私は、このような上方修正を投資に利用しています。これを利用することで、より安定した長期投資が行えます。
今回は、グロース株、割安株どちらにも応用可能な上方修正投資法についての説明です。
どのように上方修正を利用すればよいのか、より安定した運用を目指すにはどうすればいいのか、実際に上方修正を利用して利益を得られるのか?アナリスト予想と会社予想の違いなどについて、実際に過去に発表された論文を読み解きつつ解説していきたいと思います。
※有料noteになります。投資は不確定要素が多いため,私のnoteを購入しても必ず儲かるわけではなく,損する場合もあるということを理解した上でご購入ください。また、投資助言業にあたる可能性があるため個別銘柄の推奨や投資判断については書いていません。ダイレクトメッセージでの質問も全てには答えられないのでご了承ください。
◆企業による決算上方修正の株価へのインパクトについて◆
会計情報(決算)よりも企業から出される予想利益の方が,株価に対するインパクトは大きいと言われています。予想利益の中でも,決算の公表予定日に近い予想利益の方がインパクトは強くなります(Pownall [1989])。
企業自身による業績予想はそれ以前のアナリスト予想より精度が高く,企業による業績予想の発表以降のアナリスト予想に大きな影響を及ぼすことが指摘されています(Ruland[1978])。
◆上方修正と株価の反応,アナリスト予想への影響◆
企業が発表する予想利益に対しては,財務が良い企業の場合は市場はプラスに反応して株価が上昇しますが,財務の悪い企業の場合は,業績修正に対する信頼性が低いため,強気予想に対して市場はあまり反応しません。
また,企業が強気予想を出す場合も,検証可能な補完的情報(予想売上高,予想営業利益など)とあわせて開示される場合のみ株価は上昇し,アナリストの業績予想の修正に影響を与えます。しかし,補完的な情報がない場合はほとんど影響を与えません。
弱気な予想を出す場合は,補完的情報がなくても株価は下落し,アナリストの業績予想に影響を与えます(Huton[2000])。
この結果から、弱気すぎる予想を出す企業は投資対象としてはあまり魅力的ではなさそうです。
◆アナリストによる業績予想修正◆
アナリストの利益予想と実際の利益との誤差を調べた研究では,この24年間の利益予想の誤差は平均44%でした。(David Dreman[1998])
(KAPPA. エビデンスに基づく株式投資(EBI)のすすめ(東大卒医師が教える科学的「株」投資術 復刻版,FRIDSON, Martin S. Contrarian Investment Strategies: The Next Generation (a review). 1998.より引用)
詳細は割愛しますが,アナリストの業績予想は実績との差を見ると、上方修正した銘柄も下方修正した銘柄も、利益予想は過大であることがこれまでの研究で判明しています。
さて、ここまでの話では、アナリストは楽観的な予想を出しがちなので注意する必要がありそうで、あまり投資の指標にはできなそうですが、果たしてそうでしょうか?
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