新メンバーのご紹介|大久保亮
2020年6月1日付にて、新メンバー大久保亮さんがDNXにジョインしました。
大久保さんは、直近はDNX Venturesの投資先でもあるスタートアップ株式会社カケハシのマーケティング部門、その前は10年以上にわたってキヤノン株式会社に在籍されていました。今回、次のステップとしてベンチャーキャピタル・DNXへ参画いただきました。DNXでは大企業経験とスタートアップの両方の視点を生かし、Director of Partnershipとして、これまで日本に不在だったコーポレートLP様のサポートを行います。
実は、かつてキヤノンUSAで、経営企画兼新規事業創出を担っていた張本人。10年にわたり米州子会社出向中に、VCへのLP出資やオープンイノベーションの推進も担当されていました。DNXと大久保さんとは、そんな前職時代からの長いお付き合いです。事業会社のスタートアップ協業や新規事業創出の難しさも課題もよく知る新メンバーの参画を、チーム一同心より歓迎しています。
今回は、大久保さんのこれまでのお仕事のお話、事業会社のLP出資についてなどを伺いました。
大久保 亮
国際基督教大学(ICU)卒業後、キヤノン株式会社へ入社。米HP社向けのプリンタのOEM事業を担う周辺機器事業本部にて、新製品の開発〜量産までのHP社に対するプロジェクトマネージメント業務に従事。その後、米州の販売を統括する子会社へ出向。約10年間、ニューヨークの米国本社にて経営企画で中期計画策定やCEOの補佐業務に加えて、新規事業育成・立ち上げ業務にも携わる。その間に、シリコンバレーのスタートアップと数多く接する中で、スタートアップのスピード感に魅了され、直近では株式会社カケハシにてマーケティング部門に従事。
東京都出身。サウジアラビア王国で幼少期を過ごした後に帰国し、日本にいつつもアメリカンスクール・イン・ジャパン(ASIJ)にて教育を受ける。国際基督教大学(ICU)では教養学部社会科学学科にて経営を専攻。また在学中は、約3年間契約社員として株式会社伊勢丹・吉祥寺店にて勤務。
2020年6月1日付でDNX Venturesにジョインしました大久保亮です。
DNX Venturesでは、ご出資いただいている事業会社LPのみなさまとと共に、VCとしての戦略的リターンをinnovateする、Corporate LP Successを日本オフィスで担当して参ります。
この度DNXに参画させていただいた理由は、3つあります。
事業会社LPの戦略的リターン実現へ挑戦するDNXの姿勢に共感
1つ目の理由は、DNX自身がベンチャーキャピタルでスタートアップに投資をする身でありながら、DNXもまたスタートアップとしての挑戦を続けているところにあります。一般的なベンチャーキャピタルでは、機関投資家からの出資を母体にファンドを組成し、スタートアップに投資。投資先スタートアップの評価額の向上を通じて、フィナンシャルリターンをお返しするビジネスモデルとなっています。一方で、DNXでは機関投資家からのご出資に加え、日本を代表する事業会社からも多くのご出資を頂いています。フィナンシャルリターンはもちろん大切ですが、加えてご出資いただいている事業会社の皆様へは戦略的リターンも重要になってきます。
私は新卒で入社したキヤノン株式会社から、10年間、米国・ニューヨーク州にある米州統括販売子会社のキヤノンUSA経営企画部門へ出向した際に、新規事業創出とその中枢を担う部門の立ち上げを経験しました。右も左もわからない私がゼロからの立ち上げは難しく、パートナーが必要でした。大手戦略コンサルやアカデミア、アクセラレーターなど様々なパートナー候補を検討しましたが、最後は迷わずVCをパートナーにしようと上司へ答申しLP出資を決めました。その理由は、VCは唯一利害が一致するパートナーだと思えたからです。
VCは上述の通りスタートアップに投資し、ハンズオンで成長を支援することで評価額を向上させEXIT(M&AやIPO)を目指します。特に顧客がつき始めるアーリーステージのスタートアップにとって、事業会社はプロダクトの顧客となり得るため、事業の急速な立ち上がりに寄与することも少なくありません。また日本ではまだ数は少ないですが、ゆくゆくはEXITする際の有力なM&A先となり得ることもあります。イノベーションを推進する事業会社側にとっても、スタートアップの事業を共に育てるVCからの学びや、スタートアップコミュニティへのアクセスが得られることは、もちろん戦略的リターンとして魅力的です。
当時の私は米国のスタートアップを中心に見ていましたが、最近では日本のスタートアップコミュニティも非常に活発です。実際にそのうちの一社であるKAKEHASHIのマーケティング部門在籍時には、スタートアップならではのスピード感・緊張感を味わいつつ、日々成長するためにどうすれば良いかインプットとアウトプットを繰り返していました。
DNXは、そんな日米スタートアップエコシステムにおけるプレゼンスを活かし、事業会社LPのみなさまと共に戦略的リターンを、スタートアップや大企業を日米のエコシステムを相互に巻き込みながら形作る新しいベンチャーキャピタル像を描こうとしています。そういったアントレプレナーシップある新しい形作りの挑戦の一翼を担う経験は、DNXだからこそ出来ることだと感じています。
強い個人の集合体に自らも刺激を受け、進化し続けたい
2つ目の理由は、DNXを構成する人です。前々職でDNXとお仕事を一緒にさせていただいた時から、個性豊かな圧倒的に強い個人が集まったチームだという印象を持っていました。全員が、常に視野には未来を捉えていながら、決して足元の課題から目を逸さずに、深い知見と経験に裏付けされた思考を展開する姿が印象的でした。また全員が現状に満足せずに、日々研鑽を積み成長をし続ける姿勢に刺激を受けていました。そういった強い個が集まる集団に身を置くことで、自分自身も立ち止まることなく進化を続けることができると思いジョインしました。
自分のルーツ「日米を繋ぐ」と交差したクロスボーダーVC
3つ目は、自分のルーツと共感する部分を強く感じたからです。私は日本生まれの日本人ですが、父の仕事の都合で幼少期の数年間を中近東で過ごし、帰国後は高校卒業までアメリカンスクールに通いました。その後は、日本人として日本に貢献したいとの思いから国内で進学・就職、その後のキャリアにおいては「日米を繋ぐ事業」に携わってきました。
DNXのコアバリューの一つに、シリコンバレーと日本をつなぐ日米クロスボーダーのVCであることが挙げられます。事業会社とスタートアップ、日本とシリコンバレーを始めとする米国市場やコミュニティとをつなぐことで、日本全体の成長ドライバーになることを目指しています。こういった価値観や目標感と私のルーツとが交差する場所がDNXです。
事業会社LPの皆様への戦略的リターン・サクセスを目指して
冒頭でも触れましたが、私のDNXにおけるミッションは、ご出資いただいている事業会社LPの皆さまの戦略的リターンをDNXならではの形で創出し、各々の目標達成(サクセス)へ向けて伴走することです。DNXを司る強い個の英知を結集し、クロスボーダーであることによる裾野の広い視野とcapabilityを活かして、みなさまと一緒に新しい時代を切り開いていきたいと思います。
もちろんその道のりが決して平坦なものではないことは理解しています。なにより私自身が、前々職時代に米州本社にて10年間経営企画兼新規事業創出のミッションを担い、直近では日本でヘルスケアSaaSを展開するスタートアップに在籍し、両方の視点を経験してきました。これらの経験をみなさまと共有しながら、簡単ではないこのイノベーションに挑戦していけることを楽しみにしています。
コロナ禍表面化する課題解決にこそビジネスチャンス
最後に、現在コロナ禍においては、同時多発的に、且つ急激なスピードで様々な変化が起きています。中には不便が生まれたり、今まで目を背けてきた課題が改めて浮き彫りになったりしています。だからこそ今の世の中には、それらの課題を解決するニーズのもとにビジネスチャンスに溢れているとも考えています。特にグローバルに共通する課題も多いからこそ、日本の課題解決はもとより、日本発のグローバルで闘える企業が増えていけばと願っています。
以前の上司が、「変わりたいと思うことは簡単だが、最も難しいのは自己否定。ただ自己否定が出来なければ実際に変わることはできない」と教えてくれました。私自身も、日々成長し続けられるよう、改めてこれまでの当たり前を自己否定することを恐れず、簡単ではないですがしっかりと将来を見据えて進化していきたいと思います。
(文:大久保 亮、編集・写真:上野 なつみ)
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