駿河湾から富士山に登ったはなし(富士山紹介編)

 東名ツーリングの話が完結する前から、また別の旅行記です。
 ロードバイク買ったらやってみたいシリーズのひとつに、富士山を標高ゼロから登るチャレンジがありました。標高ゼロというのは、わかりやすいところでは海岸です。海抜ゼロメートル。今回は駿河湾の田子の浦からのスタートでした。
 山に登るときは通常、登山口から登るわけですが、多くの場合、それは山の中腹から始まります。富士山ではよく知られた登山道が4つあり、上級者向けの御殿場口を除くと、いずれも標高2000mから2400mの間に登山口があります。(下図)富士山の標高が3776mなので、既に半分ほど登った標高から、文字通り五合目登山口から多くの登山者は山頂を目指します。

 毎年富士山に登っていますが、いつも五合目登山口からしか登っていませんでした。それが一般的なルートであるからとか、駐車場がちゃんとあってアクセスしやすいからなど、理由はいくらでも並べられますが、何よりも楽だからそうしていました。ある程度高いところまで乗り物で移動して、そこから楽に登れるからです。
 乗り物で楽ちんできる山はけっこうあって、立山・乗鞍・木曽駒ケ岳などの3000m級の大きい山でもバスやロープウェイ等である程度の標高まで行けます。関東では筑波山・高尾山、関西では伊吹山・六甲山なんかは山頂まで乗り物で移動できるので出かけたことがある人も多いのではないでしょうか。いずれも観光地化された山ということで、多くの人が気軽に山の魅力を味わえるようになっています。
 そういう分類をすれば、みんながよく登る富士山の5合目登山口というのは、やや観光地化された登山口なのかなと思います。実際、富士山の5合目登山口に向かう各道路は、登山向けに有料道路として整備されていて、かなりアクセスしやすくなっている山です。開山期は山小屋やトイレも多くて補給のしやすさも前述の山々に引けをとりません。
 こういう山は登りやすくて楽しみやすい良さがあるのですが、しかし何度も登っていると、もっとその全体を味わってみたいと思えてくるものです。夜の野球ニュースのようなもので、だいたいの人はそれを見て満足するけど、好きになってくると1回表から9回裏まで一球一球全部見たいと思うでしょう。とりわけ富士山はやはり特別な山ですし、いわば日本シリーズなんです笑
 じゃあ富士山の最初の登り始めはどこからかというと、諸説ありますが、0合目、1合目と呼ばれる場所は、富士山麓の浅間神社だったりします。これはいわば文化的な側面から来ているものです。浅間神社はいくつかありますが、富士山麓の町、富士宮には、街の名前のとおり、浅間神社総本社の富士山本宮浅間大社があります。ここはすごい量の水が湧いていて、多くの人がここの禊場で身を清めてから富士山に拝登していたそうです。
 あとはもっと地理的な側面でいえば、標高ゼロメートルが登り始めという見方もあります。標高ゼロメートルとは、言い換えて海抜ゼロメートルであり、波打ち際の高さからということになります。山と海って場所が全然違うイメージがありますが、富士山のふもとの富士宮市、富士市の市街地を抜けると駿河湾があり、太平洋が広がっています。

 今回はそんな、富士山を全部楽しむ行程として、標高ゼロメートルの駿河湾田子の浦から標高3776mの富士山山頂を目指すことにしました。今日はもう日付跨いじゃったので寝ますが、また明日以降続きを書きますね。



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