子供に詩を書かせるな!
ジュネーヴには日本人学校がありません。
11歳の長女は、インターナショナルスクールに加え、日本語補習学校というものに通っています。
インターは水曜が半日なので週 4.5日。
補習校は水曜午後(日本語・算数)と土曜午後(理科・社会)の週 1日。
合わせて週 5.5日ですが、それ以外は何も習わせていないので、無理のないスケジュールだと考えています。
長女 “かず” が通うインターナショナルスクールには ”No Homework Policy” があって、教師が生徒に宿題を課すことは禁じられています。
かず本人だけでなく、親である私にとってもありがたい校則です。
かたや、日本語補習学校の先生方は容赦なく宿題を課してきます。
授業が週 1日しかないのでやむをえないのでしょうが、穴埋めクイズのようなしょーもない宿題を与えるのはやめてもらいたいです。
先週あたりから、かずが体調を崩し気味でしてね。
朝起きられず、学校に遅れたり、学校から帰ってくるとすぐベッドに倒れ込み、そのまま朝まで部屋から出てこなかったり。
思春期きたかな?
くらいに思って、あまり心配していませんでしたが、おととい、妻から話を聞きまして。
補習校の先生から「かずさんだけ宿題が未提出です」と連絡があったとのこと。
へぇー。親に言いつけるんですか。
無視しろ、と思いましたが、妻によると、最近かずはその宿題のせいで夜遅くまで起きてたみたいなんだよね、と言うのです。
部屋にこもって夜な夜な宿題をやっていたって?
それでも提出できない宿題って、いったいどんな宿題なんだ?
「作文らしいよ」
と妻が言いました。
ふーむ・・・穴埋めクイズよりずっと有益な宿題だな。
授業でも作文を書く時間をもつべきだと思います。しかし・・・。
自分の小学生時代を思い出しました。
嫌いな宿題トップスリーは、
1. 読書感想文
2. 作文
3. 絵日記
でした。
ましてや、11年の人生中 10年を海外で生きているかずは、作文など書いたことがありません。何を書けばいいのかわからないし、書き方も知らないでしょう。
かず、それで毎晩悩んでいたのか。
でも、書かなくていい、とは私は思いません。穴埋めクイズや算数ドリルはやらなくてもいいけれど、作文は書くべきです。嫌な宿題だけど。
日本語のレベルが低くても、いや、レベルが低いからこそ、かずは作文を書く練習をしたほうがいい。
にしても、なんで独りで悩むかなー。
私「書けへんのやったら、相談してくれたらええのに」
妻「性格だよね。あの子プライド高いんだよ。誰かさんに似て」
はい?
そして次の日(昨日のこと)。
かずの部屋で、妻がこんこんとかずを諭していました。
妻「なんでもいいから書けばいいの」
うしろからのぞくと、かずが向かっている原稿用紙は白紙でした。
(1行も書けないのか・・・?)
妻が私を向いて言いました。
「作文じゃなくて、詩なんだって。宿題」
はあ??
詩・・・? ポエム?
11歳の子に詩を書け、と?
詩なんぞ、大人でも書けないのに?
子供に詩を書かせていったい何を育てようというのだ?
まずは普通の文章を書けるようにするのが先ではないのか?
英語を学びたての小学生に英語の詩を書けと言うか?
先生方よう。おまえたちは何がしたいんだ?
まあ!子供たちの感性って、なんてみずみずしいのでしょう!
とか言って感動したいのか?
文章力未熟な子供のほうが感性豊かだとでも言いたいんか?
ほななにか?
萩原朔太郎や高村光太郎や中原中也は普通の文章が書けへんのか?
ヘンテコな詩モドキを書かせられる子供は、自尊心を傷つけられるんだよ。
ちょっと頭の良い子は、アホを演じてわざとヘンな文を書こうとする。
もっと頭の良い子は、大人たちにウケそうなフレーズや技法をどっかから引っぱってくる。
そんな駄文を書くのも人に見られるのも死ぬほど恥ずかしいんだよ。
日本の学校関係者どもよ。ふざけるな。
子供をオモチャにして遊ぶな!
「かず。詩なんか書けなくていい」
かずは、白紙の原稿用紙をじっと見ている。
「詩なんてパパでも書けないんだよ」
そもそも「詩」の意味がわからんよね、と妻が言った。
そうやろうな。
詩、というのは・・・
YouTube で観てるような歌。あんなのでいいんだよ。