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貴女たちはどう生きるか

ゆうです。
あたしが通ってる大学のお友達にマミノ(通称:マミ)という人がいるのね。
27歳。東京生まれ東京育ち。彼氏いない歴 5年。
マミは女子力が高くて、いろんな男からこくられまくってるんだけど、ことごとく断ってる、という変わった人なの。
しかも、臨床検査技師の資格と宅建の資格をもってるのに、まともに働いたことがなくて、今も大学院で人類学の研究してるような変人なんですよ。
 
でも、着てる服とかバッグとか見れば、相当カネもってることがわかる。
男に貢がせてるわけでもないのに、なんで?って思ってたんだけど、じつは実家がすごいお金持ちらしいんだわ。
ただ、お嬢様って感じでもないんだよねぇ。
23歳のときに一人で韓国に行って整形したんだって。
「どこをいじったの?」って聞いたら、
「目を大きくして、鼻を細く高くしただけだよ」ってサラリと言ってのけた。
 
マミの関心の 50%は美容のことみたい。
化粧水や美容液にも相当いいもの使ってるし、ボディメイクのためと称してフィットネスジムに通ってたりもする。
でも、彼氏が欲しいわけでもないし、そもそも男にまったく興味ないって言うの。
キレイになりたい。スタイルを良くしたい。若さを保ちたい。
なりたい自分になりたいからやってるだけだよ、とマミは言う。
あたしには、頭のいいマミと目的もなく美容に邁進するマミがどうしても結びつかないんだよなー。
 
もうひとつ、結びつかないことがあってね。
マミの関心の残り 50%は、ジャニーズの推し活なんだわ。
へいせいジャンプとかいうグループの、いのお君(☜ 字がわからない)というメンバーが好きだそうで、ライブには万難を排して馳せ参じるらしい。
男に興味ないんじゃなかったの?
マミいわく、いのお君はいのお君であって、男ではないんだそうです。
 
あたしはジャニーズ事務所の例の問題にはあえて触れないでいたんだけど、いのお君がタッキーの事務所に行っちゃったらどうしよう、ってマミが言ったの。
 
「え? なんで? どこの事務所に行っても応援すればいいじゃん」
「へいせいジャンプはジャニーズじゃなきゃダメなんだよ」
 
これ、どういうことだかわかりますか?
ジャニーズの良さはライブの楽しさにあって、芸能プロダクションとしてのジャニーズのライブ演出力がすごい、ということらしいのです。
ジャニーズ事務所はタレントだけではなく、コンサートの凄腕制作陣や裏方を支えるスタッフなどを抱えていて、それらの総合力で唯一無二のライブを創り出しているんだそうな。
 
ライブでファンをとりこにする。
ファンはライブを楽しむために CD(アルバム)を買わなければならない。
そういうビジネスモデルだったのか、ジャニーズって。
なんかいろいろ腑に落ちました。
 
こないだ、うちのゼミの先生(社会学教授)とマミの話になったんだよね。
「マミノさんですね。知っていますよ。私の講義にも来ていました」
「マミって美の追求がハンパないんですよね」
「綺麗なほうが何かと得をすることが多いと本能的にわかっているのだと思います。頭のいい人ですから」
「でも男には興味ないって言うんですよ」
「彼女のターゲットは男性ではなく女性でしょうね」
「レスビアンってことですか?」
「そうではなくて・・・。同性から注目されたりリスペクトされたいのですよ。そのほうが難しいですし、より大きな恩恵を受けられますからね」
 
「マミはジャニーズの推し活もやってるんですよ、いい歳して」
「ジャニーズファンの年齢層は極めて広いですよ。推しの母親くらいの人までいます」
「ライブがめちゃめちゃ楽しいんだそうです」
「力をもらえるのでしょうね。お祭りや祈りとも似ています」
「一種の神事ですか?」
「そのようなものだと思います。宗教的熱狂というやつです。現代人が忘れかけているものかもしれませんね」
 
「マミのような生き方を先生はどうみますか?」
「美を利用して恩恵を受ける。そんな世の中に嫌気が差したらジャニーズのライブで力をもらう。そしてまた美を追求する」
「循環していますね」
「まさにサステイナブルです」
「マミって・・・」
「生きづらい今の世をうまく生きている人だと思います」