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あなたの上司はあなたが思っているほど悪くないですよ

最近、チームのメンバーから相談を受けることが多いんですよ。
チームのヘッドであるシネムのアドバイザリーとして、私は相談しやすい相手に見えるのでしょう。
私は誰の上司でもないですからね。
それに、シネムにものを言える唯一のメンバーと思われているのでしょう。
 
今日は、相談者の相談内容と私の回答を皆様に共有したいと思います。

ケース1
実地棚卸のエビデンスを紙ベースで保存せよ、と監査人に指摘された件。
次回の実地棚卸時に改善することは了解したが、万全を期すために前回の実施分についても紙ベースで保存してください、とシネムは言っている。
はっきり言って、意味がわからない。すでに報告済の実地棚卸結果について、今さら過去に遡って紙化する意味があるのか。たいした手間ではないが、それをやるベネフィットを部下たちに説明できない。

回答:
部下に説明できないことをやらせるべきではない、というあなたの考えに100%賛同します。
あなた自身が「無意味だ」と思う作業を、あなたの部下に納得させることは不可能です。
シネムは、その “遡り作業” を「意味のあること」と思っているからあなたにお願いしているのでしょう。彼女は、監査人がある日突然やってきて「前回のエビデンスを見せよ」と要求してくるリスクを恐れているのです。その可能性は 2%くらいだと私は思いますが、発生可能性が 2%のリスクを心配したくなるのが VP というポジションなのかもしれませんね。
本件は、あなたが悩むことではないと思います。
その作業をあなたは無意味だと考え、シネムは意味があると考えている。ならば、シネムがあなたの部下に直接説明すればいいのです。シネムにとっては部下の部下になりますが、直接対話する良い機会ともなるでしょう。
シネムは実際の作業者を説得する経験を積むことができ、あなたの部下たちは上司の上司がどういう考えの人かを知ることができます。
こんな些細な問題であなたが板挟みになる必要性など皆無です。

ケース2
見積書の最終版を〇〇からメールで受領したが、どう見ても修正前のバージョンだった。〇〇に問い質したが、ムニャムニャ言って要領を得ないので、技術チームに直接問い合わせて正しい見積書を入手した。
後日、〇〇はシネムに「コミュニケーションのルートを無視された」と言って泣きついたようである。私はどうすればよかったのか?

回答:
私があなただったら、同じアクションをとったでしょう。
最初のアクションとして、〇〇から見積書を受領したのですから、コミュニケーションのルートは間違っていませんよね。〇〇から受領した内容の不備について問い質すことも当然です。で、ムニャムニャで埒があかないときに次善の策をとることも賢明な判断だと思います。まあそのときに一言「技術チームと直接話してもいい?」と言っていれば、面倒なことにはならなかったかもしれませんね。
〇〇はシネムと仲良しですが、シネムは私情に流される人ではないので心配は無用です。
〇〇に対しては、何事もなかったかのように、ごく自然に接するのがいいと思います。

ケース3
仕事の割り振りに納得ができない。
コアビジネスであるプロジェクトA は△△にアサインされ、新規参入事業のプロジェクトB は▢▢にアサインされた。一方、自分は先細りが見えているプロジェクトC の担当に据え置かれたままである。自分は△△にも▢▢にも劣っていると思わない。△△も▢▢も女性というだけで不当に優遇されていると感じる。現状ではモチベーションを維持できず、この状態が続くなら、辞めたいと考えている。

回答:
現行のプロジェクトのアサインメントは、私も気になっていました。
重要度の高いプロジェクトに、経験の浅い△△や▢▢を起用することに関してです。これについてはシネムと雑談ベースで話したことがあります。
△△にはビジネスパートナーと友好的な関係を醸成する柔らかさがある。
▢▢には BD(事業開発)とリーガルのバックグラウンドがある。
決して、根拠のない起用ではないということです。
ましてや、女性だからということもありえません。
あなたが担当してきたプロジェクトC の事業量が減少傾向なのは事実ですが、それは先細りを意味しません。この製品は現在もなお最大の利益ドライバーです。A や B の存続は C が稼ぎ出す利益にかかっているのです。シネムは、最も信頼できるマネジャーに C を託しているのだと私は理解しています。
もし、本気であなたが他のプロジェクトに移りたいのであれば、あなたの思いをシネムに直接ぶつけることをおすすめします。そのときは私も同席して彼女を説得します。