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女性専用車両の議論の争点と解釈

{7月3日追記、追記部分は{}で括ります}
≪7月12日金庫の例えを分かりやすく修正、≪≫で追記≫

こんばんわ、DNFです。

女性専用車両をめぐる議論はちょくちょく起きます。
関心の高い話題であり、広く議論なされているがゆえに色んな意見を持つ人が居るので「こういった意見はどこから来たのだろう?」「どちらが正しいのだろう」と疑問が芽生えることも少なくないでしょう。

今回はそういった数多の意見をなるべく理解するべく、考え方や実際の判例などを整理しながら考えていきます。
(前半は事実の羅列、法的な話が多く、後半は私の主張が多いです)


"違憲"という考え

女性専用車両への批判として「男性差別である」という声があります。

日本国憲法第14条において、差別は禁じられています。

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

上記URLより、日本国憲法第14条文

この場合は「女性は全ての車両に乗る権利があるが、男性は乗る車両が限定されている(一部車両から男性は排除されている事は差別だ)」という解釈になります。

鉄営法34条の考え方

国土交通省が管する鉄道営業法にはこんな条文があります。

第34条
『制止ヲ肯セスシテ左ノ所為ヲ為シタル者ハ十円以下ノ科料ニ処ス』
『婦人ノ為ニ設ケタル待合室及車室等ニ男子妄ニ立入リタルトキ』

上記URLより、鉄道営業法34条

なぜ条例文がこんな古い表記なのかというと明治時代に作られた法令であり、その後改正されていないからです。

条文としては第二項の『婦人のために設けた待合室、車室等に男子が立ち入るとき』を以って第一項の『制止に応じずその行動をしたら80円の罰金』が適用されるというものです。

※罰金等臨時措置法により上記の罰金は、2万円以下の罰金として読みかえられます。

もし鉄道営業法のコレに該当するのであれば、女性専用車両は法令に則った措置という事になります。

しかし日本国憲法が導入される前の明治時代の法令であるため、古い法令は矛盾しており鉄営法34条自体が違憲であるというものです。

日本国憲法は国の最高法規であり他の法令よりも強い効力があると定めているので、優先されるのです。

第九十八条
この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

上記URLより、日本国憲法第98条

以上を根拠とし、女性専用車両は違憲とする考え方です。

"合憲だが協力義務無"という考え

女性専用車両は合憲である。しかし男性の協力の義務もないという声です。

鉄営法34条の考え方

そもそも現在の女性専用車両はコレに適用しないという考えになっており、それは鉄道会社が「任意であり協力をお願いします」という文言で徹底しているからです。

男性が乗れないという文言は無く、また「協力」であって強制ではありません。強制=罰則があるような鉄営法とは関係がなくなり、ゆえに協力しないことが違法にならないという考えです。

協力が強制ではない以上(もし強制排除した場合、違憲と見做す方針となる)、あとは道徳感であったり義理を感じるかの問題となるでしょう。

これらの考えは多くが感情的なものを理由にしており、お互いの態度であったり歩み寄りで解決することはあるでしょう。

"合憲だが協力必須"という考え

強制(または事実上強制)ではあるが合憲であるという考えです。

即ち、鉄道会社には経済的自由権(一般的に憲法22条職業選択の自由、憲法29条財産権などの合わせ技で主張される)を行使した裁量の範囲として保障されるべきだと主張するものです。

経済的自由権とは、基本的人権における自由権の一つ。

人の経済的な活動を人権として保障するのが目的である。これは、自立した個人であるためには、経済的な活動基盤を獲得することが前提であるので、それに対する国家や権力からの干渉を制約する必要があるためである。

上記URL、経済的自由権より

つまり鉄道会社は、国家から=憲法の制約に厳格に縛られることなく自由にする権利もあるのです。一部の顧客のニーズにターゲッティングしたサービスを提供するというのは自由です。鉄道会社に限らず女性専用のサービスを行う企業は他にもたくさんあり、顧客を選んだり律する行為が認められていると解釈できます。


大きく分けてこの3つの主張で陣営が分かれてると思われます。
{もちろん、それぞれの中でもまた細かく意見が分かれていることでしょう}

女性専用車両を巡る争点


それぞれの主張の際に争点になる主な部分をあげます。


鉄道営業法34条の対象か?

もし本当に34条が適用されるのであれば罰則等もありますが現在の女性専用車両は対象外の人が搭乗しても罰則はありません。

どの鉄道会社もそうですし、国土交通省も「協力をお願いしている」というスタンスで統一されています。よってこの部分に関しては明白に「鉄道営業法34条は関係がない」と言えます。(あくまでも今現在の方針です)

憲法14条に違反しているか?

差別という言葉の定義に人それぞれブレがあるのですが、憲法14条で言われる【差別】の"法的解釈"とは「合理性がなく、一部の人間に不利益を与えること」になっています。(過去の判例など参照)
要するに明白な不利益、人権侵害がなければ憲法14条に違反しているとはされてきていません。

違憲を訴える際には、女性専用車両の問題で男性がどのように差別されているのか、不利益を被っているかというのを主張することになります。

私人間効力は適用されるか

憲法とはそもそも国家と国民の契約毎のようなものです。しかし国民と国民であればそれは直ちに適用されるのかといえば、そうとは限りません。鉄道会社も私鉄であれば私人という括りになりますから、顧客とは私人間(しじんかん)の関係になります。

国家であれば国民に対して約束していますから、約束を破れば違憲になります。しかし国民同士だと、自分が違憲を訴えても相手も訴え返す事があります。

つまり人権の衝突です。

鉄道会社は大きな存在ですから意識していない人もいらっしゃるかもしれません。しかし鉄道会社側の人権、すなわち経済的自由権等を行使できる権利があります。

大企業と個人の衝突で私人間効力がどのように働くか注目された有名な事件に「三菱樹脂事件」があります。

掻い摘んで説明しますと、社員を採用した試用期間中にその社員の学生運動が発覚し、それを理由に試用期間終了後に解雇したものです。

社員は「信条の自由」を侵害されたと主張し、
会社は「営業の自由」等を主張しました。

結果は会社が勝っています。
つまり会社は思想、人種などの理由で解雇しても、会社の裁量として妥当な範囲だとされ違憲になりませんでした

女性専用車両が違憲だと主張する際には、会社側の権利との衝突も考え、それに勝る正当な理由を主張しなければならないということです。

実際の判例

下記のwikipediaは日本の女性専用車両についてわかりやすく書かれています。今回は下記をクリックすると判例の段落に飛ぶようにしています。

上記の記事では、最終的に裁判所が「妥当性・合理性が認められることから、憲法14条の違反とはいえない」と示した事が記されています。


この記事では、男性側が「居住・移動の自由(憲法22条1項)」に反していると訴えたものです。

が棄却され、裁判所は憲法22条を侵害しておらず(格別の不利益ではない)、経済的自由権の裁量の範囲内だとしています。


上記記事の件と同件を取り扱っていると思われる別記事もあり、下記URL中央辺りにより丁寧に書かれています↓

{下記引用追加、ただし「事実上禁止"したとしても"」という仮定の文であることに留意。実際には任意の協力のため禁止されていないが、事実上禁止もしくはそう感じる人間が居たとしても問題がないという事になります}

Yは健常な成人男性の乗車を事実上禁止しており、当該行為は憲法で保障された居住・移転の自由を侵害するとともに法の下の平等に反し、不法行為に該当すると主張した。

中略

"健常な成人男性の乗客をして他の車両を利用して目的地まで乗車することを困難ならしめるものではないから、健常な成人男性の乗客に対し格別の不利益を与えるものでもない。"(判決)

中略

本件は、鉄道会社が女性専用車両が健常な成人男性の利用を事実上禁止したとしても、憲法で保障する居住・移動の自由(憲法22条1項)を侵害するものではなく、法の下の平等にも反しないとしました。

法エールVol.109


また、上記記事には、一部の「専用車両という名称は男性の乗車を禁止していない事実と反する行為である」という主張に対する回答も出ています。

女性および小学生以下または身体の不自由な人(その介助者を含む)が乗車するための専用車両であると掲示したことをもって女性専用車両の表示に関するYの裁量権を逸脱した違法なものと評価することは相当でないし、これが社会的相当性を欠いた、男性の乗客に対する不法行為を構成するということもできない。

法エールVol.109

女性専用車両の周知のためにこの言葉を使うのは問題ないようです。
※ただ、優先車両と名前を変えている鉄道会社も出てきています。


判例で出た結論まとめ


・女性専用車両は憲法第14条に違反していない。
 "女性専用車両"が存在しても問題がないとされています。

・女性専用車両は憲法第22条に違反していない。
 男性が乗れない車両がある事は問題がないとされています。本来の移動の目的は他の車両に乗れば果たせる事から、侵害とは言えないとの判断のようです。

・"女性専用車両"は経済的自由権による裁量として認められる。
 "女性専用車両"は企業のサービスの一つとして、名称含め問題ないと判断されたことになります。

ちなみに女性専用車両に乗った健常な男性に対して、駅員が直ちに排除することは基本的にありません。刑罰化されていないものを公権力を持たないものが排除する法的根拠はないからです。(国土交通省も、駅員が直接排除したような事実があれば鉄道会社を指導すると発信してます)

これは憲法による私刑の禁止であったり、刑事訴訟法が理由です。

何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。

日本国憲法第31条

現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる

刑事訴訟法第213条

取り押さえ等の行為をできるには、213条により「現行犯人」でなければいけないので、法的罰則のない女性専用車両に乗っただけを以って手出しすることはできないのです。

企業や商店が迷惑行為をしたお客様に対して「お引き取りください」と言い続けるような状態で、相手の善意を限界まで確認します。著しく従わず{トラブルを起こす}顧客は業務妨害罪不退去罪(移動を命じられた顧客が長時間移動しない場合に適用される)に当たる可能性が高く、そこで企業、商店が初めて強く動く、もしくは警察にお任せする、といった事になります。
(実際に警察が出て騒動になるような事も起きています)

"任意の協力"について

これも争点の一つですが「【任意の協力】を謳っておきながら{男性に極力乗らないような声かけをするのは}事実上禁止のようなものじゃないか」という意見があります。

先に述べた内容で【差別】という言葉の法的解釈を述べたように、言葉の定義というのは人それぞれブレがあり、そして憲法的解釈による言葉の定義がどういうものかというのは判例などから知る必要があります。

{任意性とはどう考えるべきでしょうか?}

【任意の協力】というワードが出てくる法令には行政法があります。

1:行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。

2:行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。

行政手続法第32条

【行政指導】【任意の協力】であって、そこに罰則はありません。{行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取り扱いをする事は許されません。}
しかし皆様もご存知のことかとは思いますが、それは「指導を無視してよい」というのではなく、無視したり改善が見られなければ【行政処分】となるリスクがあるのです。

つまり法的に解釈するとき、罰則がなければ【任意の協力】と呼ぶことができますし、{努力を求められているものです。※文章修正}

「女性専用車両は任意の協力である」という言葉は、国家(国土交通省)が発信していることですから、同じ国家の発信として定義を揃えて解釈するのが妥当です。

したがって、鉄道会社も裁判所も「女性専用車両は【任意の協力】で行われている」と表現することに矛盾はありません。

☆道徳的解釈

ここまで法令、実際の判例などを用いて説明をしてきましたが……。

私は頭が悪いですし、正直なところ人に説明するのに法令なんてあまり持ち出したくありません

だから道徳的な話を本当はしたいのです。

例えば飲み屋で「トイレを綺麗に使っていただけるようご協力お願いします」と書いてあったりしますよね?
これを「協力だから義務ではないので、応じる必要はない!」といってめちゃめちゃ汚く使ってそのまま放置するとか普通の人間がしますか?

なぜ協力って書き方をするかというのは想像がつくことです。もし一律で「綺麗に使う義務があり、汚した場合は罰金です」としてしまうと「悪意がないけど汚してしまった」お客様にも罰が適用されてしまい、それが不本意だからです。

お客がトイレで吐いて飛び散らしてしまい「ごめんなさい、汚してしまって拭くものを……」と言いに来たら、そんな人を罰するかと言えばお店側もしたくないはずです。

拭くものを用意してくれたり、もしくは「大丈夫ですよ、今こちらで掃除しますね」なんてサービス(サービスアピールも含める)もしてくれるかもしれません。

下手すると「器物損壊」の罪に問われるような事も、悪意がなければ許したいから「協力」という言葉にしているのだと思います。

しかし悪意でトイレに落書きしたりしたらどうでしょう。お店側から訴えられる(弁償させられる)可能性はきっと高くなるでしょう。
店側が「綺麗に使ってください」という信頼を裏切っているからです。


女性専用車両に対してアンケートがちょくちょく行われることがありますが、実はいくつかのアンケートには「間違えて男性が乗ってきた場合許せるか」なんて項目があったりします。
(先の判例で示した記事にもその結果が載っています。その例では5割の人が仕方ないと感じている……とのことで、5割の人間が誤乗車を許せないと感じているのは悲しいなとは思っています)

つまり鉄道会社としては女性専用車両に健常な男性が乗ることは実質認めていませんが"「誤乗車を罰しない」という寛容の理由で【協力】という体裁を取っている"と解釈するに充分だと思われます。

皆様の善意や協力でルールを守っていただくことで成り立っていますから、男性が乗ることに罰則を設けていません。その信頼を裏切り、健常な男性が女性専用車両に無理やり乗ろうとするような鉄道会社への迷惑行為は、とても賛同できません。

その他の訴え


憲法云々ではなく、感情論含むその他の主張はいくつかあります。

「男がまとめて性犯罪者扱い」

この言葉は私は無碍にしませんし、法的根拠で応じるつもりはありません。

女性専用車両が違憲でないとしても、「女性専用車両の存在が、男をまとめて性犯罪者(予備軍)かのように扱った男性差別に感じてしまい息苦しい」という訴えがあれば、それは慮られるべきだと思っています。


しかしながら当然、男性を犯罪者扱いしたものではないと思っています。

≪例えば銀行では金庫に関わる社員は短い年数で転勤させられることがあります。これは「お金の業務に卓越したものが長く同じ場所に居ると横領が容易になる」ため防犯上行っています。

でもそこで「犯罪者扱いされて不当に排除(転勤)された!」と言っても、そういう話にはなりません≫

人間は心が弱いですから、【善良な】人間であっても、3つの要素が揃ってしまうと犯罪に至ってしまう、その理論が不正のトライアングルです。

犯罪を発生させないために、「機会」「動機」「正当化」を満たさないようにする取り組みのことです。

つまりあらゆる防犯の取り組みとは犯罪を発生させないことであり、同時に「善良な人を犯罪者にしないように守る」取り組みでもあると言えます。

残念ながら電車内痴漢は見過ごせない件数の性犯罪であり、ほとんどの場合が男女が密着することが犯罪のきっかけになる、というのは頷ける話でしょう。≪(お金に関わる犯罪であればお金に関わる要素で、性犯罪に関わる要素であれば性に関わる要素で対策されていくのは自然なことと言えます)≫

犯罪を発生させないことは社会の取り組みです。被害者を生まないと同時に犯罪者を生まないことですから、男女どちらも救うことです。

男女共に、【善良な】人間を守る方針であることもご理解いただけると嬉しいです。

また導入にも配慮がなされ、アンケート、試験導入、車両数等、セキュリティと利便性の兼ね合いと、慎重に検討がなされているものです。

「女性専用車両は役に立たない」

正直なところ"防犯手段"としては先の項目のように問題があるとは感じませんが、実際の効果としては私も猜疑的なところです。
例えば痴漢を減らす効果がある事に対しては、実際に痴漢はいくらかの減少があるようですが女性専用車両の効果かどうかは不明です。(防犯カメラ導入の効果等と合わさっているので)

しかしながら「安心できる」といった声は男女共に多いです。

過激な意見の中には「満員電車でちょっと触れたくらい騒ぐ冤罪を生むような神経質な一部の女性は、当然女性専用車両に行くだろう。そのような特定の女性に絞った隔離によって、結果的に冤罪減少効果が高く想定され安心だ」的な意見もあり、ある意味幅広い層に支持されているとも言えます。

顧客満足度を高めることは一企業として真っ当な取り組みであると感じます。

「他の車両を混雑にする」

そのように思う感覚は理解できます。
では、実際に計算して見ましょう。

例えば
・女性が全く移動をしないと仮定。
・全ての車両の男女比は5:5であった。
・全部で10両車両。
・全ての車両の乗車率(総人数)は同数。

という前提で単純計算をすると、
1両の女性専用車両が0.5倍の乗車率に減り、溢れた男性たちがその他9両に分散され約1.05倍の乗車率になります

……なんかほとんど大したことないですね。実際には女性が移動しますからその他9両の混雑率は1.05倍よりさらに低くなり1を下回ることも考えられます。仮に乗車率が低い車両を専用車両にするのであればもっと低くなります(後述)。
※もし専用車両は導入前は男性のみが乗車していたという極端な条件を追加したとして、約1.11倍が最高値となります。

ただこれは9:1という差があるから影響が分散されるのであって、一時期「2両編成電車が1両を女性専用車両にした」というのがやりすぎだと話題になりました。

上記ページの中央あたりに、女性専用車両試験導入における混雑状況の検証結果について、というPDFファイルがあります。

結果をご覧いただくと、元より導入前から乗りやすい先頭車両が混雑している状態であったが、期間がたつにつれ(周知が行き届き)その状態は緩和されて2ヶ月でほぼ解消されたという結果になっています。
女性客が後方車両まで歩いて乗りにいくようになり、むしろトータルスコアではより均等な混雑加減に近づいていおり、特筆すべきは1両目と2両目の差が10人以上開く時間帯がなくなっていることです。専用車両が無い状態では誰もが先頭車両に乗っていましたが、空いてる車両を優先車両に指定することで混雑をむしろ緩和したことになります。

基本的に女性専用車両の位置は、そういった混雑の平均化を考えられた位置にされています。

お客さまの流動や滞留状況なども総合的に勘案して、安全性や他路線への乗換えなどに比較的影響の少ない、現在の車両位置に設定しています。

大阪メトロ回答

乗換えなどで駆け込み客がいたりなど最も混む車両を専用車両にする事は避けられています。単純な利便性もそうですが、混雑緩和に結びつかなくなるからです。女性専用車両に乗りたい方は空いている車両まで移動することになります。
先ほどの計算式で言えば10両電車の最も混む車両の乗車率が1.05倍だとすると、誤差はあろうとも1両毎に5%足らずの女性が移動するだけで、導入前より車両の混雑緩和になったと言えます。つまり、ほとんどの場合は混雑に寄与しているとは言いがたいでしょう。

このような背景がありますので、もし「女性専用車両って比較的空いているね」と感じるのであれば、元から空きやすい車両を指定してるからと言えます。

「男が犠牲、女が得してる」

憲法14条に違反していないことは判例が示していますが、それでも男性側が不遇な目に合っていて女性贔屓であり男女差別だという主張ですが……。

先に述べたとおり、犯罪を減らすことは社会の問題です。痴漢対策も社会として取り組むべきことの一つです。男女共に智恵を絞った結果が女性専用車両であり、男女共に支持を得ていますから、社会問題として適切な措置であり、女性優遇措置などではないと考えます。皆で協力して取り組んでいることです。

「男性専用車両も必要だ」

実はかなり当初の方から株主総会でも議題になっていますが、否決されています。

理由としては「利用者からの要望が少ない現状においては実施すべきとの判断には至っていない」つまり、需要が少ないということです。
今現在にいたっても署名の集まりやアンケートの結果は良い数字ではなく、特に女性より男性側からの票が少ない傾向があります。

BIGLOBEモバイルは、2017年8月10日~17日に「通勤に関する意識調査」を実施。スマホを所有する20代~50代の社会人男女800人を対象にアンケート形式で行ったところ、「男性専用車両の導入を希望しますか」という問いに対し、「希望する」と回答した人が53.8%と半数を超えた。男女別では、男性で「希望する」人が49.8%なのに対し、女性では57.8%と、女性の方が男性よりも男性専用車両を求めている。

上記記事より

上記記事では、その記事上でもアンケートをとっており、記事の性格上、賛成派が多く見に来ていると思われ大分賛成に偏っています。

その中でもパッと見たところ女性より男性の賛成派が多く見えますが、これは男性の投票数の方が圧倒的に多いからです。

賛成率に換算すると男性は85%程度ですが、女性は95%ほどです。

アンケートは色々ありますが、ものによってはかなり低い数字になります。

こちらの記事では男性が38.5%、女性が50.9%となっています。
いずれも女性の方は高いのですが、優先されるべき当事者である男性が低めとなっているため、なかなか実現しません。

オンライン署名もありますから、希望する方は署名なさると良いと思います。

☆まとめ

私の意見を整理して述べます。

女性専用車両は判例もあるように違憲ではありません。鉄道会社が求める【任意の協力】によって成り立つものであり、法的には男性も乗れる=罰則を与えるものではありません。しかしそれは鉄道会社が非協力な顧客に対して寛容である事を認めるものではなく、業務妨害や不退去を実行すれば警察を呼ばれる可能性もあります。
ちなみに国鉄であれば若干話は違っていたものだと推測されます。私人間ではなくなり経済的自由権の主張がなくなるからです)

鉄道会社の裁量によって、女性を主なターゲットとしたサービスを振舞うことは内容、名称、共に問題なく、結果的には男女両方から一定の支持を得ています。過激な意見としては「厄介な女性が隔離されてくれて安心」という声もあります。
また痴漢犯罪という取り組みに対しても、社会問題として取り組んでいく必要があり、今現在の女性専用車両を作る措置は被害が著しく女性に偏った現状に対する措置としては妥当な公平性があると感じています。

ただ一部の「男性差別だと感じてしまう」という気持ちも慮るべきだと思っています。どうか社会的な取り組みとしてご理解いただきたいところですが、女性側にもご理解いただきたいところです。

先に例に挙げましたが「誤乗車を許さない」という女性が5割居ることには少し驚きです。また、女性専用車両に反対する事のみを理由として女性嫌悪者だとレッテルを貼るような言動はどうかお止めいただきたいと思います。

また個人的には、今は必要でも将来的には女性専用車両は不要だとも思っています

あくまで順番的には痴漢犯罪対策が大きく進展することが優先です。私個人としては、防犯カメラが最大の対策と考えていますから、普及率100%、またできればカメラの質も高いものが用意されたら良いなと思います。(公金投入でもよいと思っています)

※動きとしては大変時間がかかったなとは思いますが、義務化にはなるようです。↓


以上をもちまして、女性専用車両に対する解説と、私の主張になります。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

DNF



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