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不正のトライアングルから見る表現の自由

クレッシーの法則「不正のトライアングル」というのがあります。
主に「企業倫理」として扱われるもので、金融業や会計事務に関わる方は聞いたことがある可能性が高いかもしれません。

不正のトライアングルとは

不正(主に横領についてこの記事では例えていきます)が起きるメカニズムとして3つの要素が揃ったときに不正が起きる、という考えです。

①動機

例えば「子供の養育費がかさみ非常に困窮している……」という状態。お金が必要であるという状況です。

②機会

例えば、金庫の鍵が開いていて、監視カメラがなく、他に誰も居ない……といった「横領が実行可能である」という状況です。

③正当化

「会社から良い待遇を受けていない」「自分は悪くない」と自己正当化してしまう状況です。(決して犯罪は許されないし、ここでは要因としての話です)

企業が行う対処策②機会

横領不可能な状態にする。監視カメラの設置、金庫室の鍵の管理の仕方、一人では持ち出せないよう二人以上のカードキーを必要とする……などなどですね。面倒くさくなる傾向があるので現場の人間からしたら煩わしいものですが、簡単に実現できる対処策と言えます。

企業が行う対処策③正当化

これは「会社が社員を満足させているか」がポイントです。
会社から不当な評価を受けている、待遇が悪い、周りも悪いから自分も大丈夫……と、「不満が爆発して行為に及んだ」というような状況に陥らせてしまったかどうか。
残業手当はちゃんと付けているか、社員を休ませているか、労働に見合った給料か、社員の贔屓はないか(特定の人間に既得権益ないか)などなど……
福利厚生の観点等から、社員を満足させることが会社の課題となります。

企業が行う対処策①動機

さて、なんとなく察しが着いてると思います。
動機は基本的に企業が対応できません。
家計が苦しくお金が無い……と言われても、労働の報酬以上のことはしてあげられません。動機は防ぎようが無いのです。

つまり不正のトライアングルとは
「動機は生じてしまうのはしょうがないけど、機会と正当化を揃えなければ不正は防げるという理論」であるといえます。

※企業によっては社員管理……社員間のお金の貸し借り、聞き込みなどでお金に困っている人間がいないかどうかで動機の発生チェックすることもあります


本題:性犯罪が起きてしまう流れ


まず性衝動を満たしたい、という動機があったとします。

機会、に関しては色んなシチュエーションが考えられますし対策としてはほぼ不可能でしょう(出来ることは夜道用に電灯や防犯カメラを増やす……等でしょうか)

最後に正当化……これは恨み、妬み、以外に「性犯罪を起こさないと性衝動が消化できないから」という状況となります

表現物は性犯罪率を?

さて、表現物はここにどう入り込むことが出来るでしょうか?
性犯罪を決定付けるものは「性犯罪を行わないと動機が消化できない状態に陥る」事であると上記によって分かっていただけたと思います。
これがもし「性犯罪を行わなくても動機が消化できる」状態になれば、性犯罪は減る……ということになります。
お分かりいただけたかと思いますが、創作物があることで動機を自身で消化できる可能性が高いのです。
表現物の存在は性犯罪率をむしろ下げる効果がある、と私は考えます。

ちなみにこの話はインターネットで「表現規制」「犯罪」「増加」等で検索して頂くと、データとしての話が分かると思います。
(私が選んだデータをここに掲載するのは恣意的な情報になり不公平性があるので掲載はしません、ご自身の目でご確認ください)

何故表現物が性犯罪に影響すると思われているか

日本は漫画アニメゲームが他の国より文化として発展し、それによる同人誌や商業誌によるR18指定作品が非常に多いです。その日本特有の「hentai文化」(外国からこのように呼ばれたりするそうです)が性犯罪を助長しているのではないか、という指摘を国連からされることがあるのです。
確かに日本の突出した文化です、ただそれはイメージから先行するものであって実際に結びつきは証明されていないようです。
 さてそんな国連の話を知って発言する人もおそらくそんなおらず、普通に世の中では「漫画の影響で性犯罪が起きてるのでは」という風潮になっています。イメージ先行です。やはり突出した……変態的な……文化のイメージが悪いのでしょうね(これは否定できない)

結論

表現の自由は守られ、全ての創作物は公開を許されるべきである(諸般の理由で公開停止になるのは致し方ない)
「犯罪を助長するからこの表現を規制するべきだ」は「助長する」という前提から間違っている可能性が高い。

※今回は公開する場所、条件についての話には触れません。

番外:他の犯罪

不正のトライアングルの理論は色んなことに当てはめて考えると良いと思います。つまり「動機」を切り離し「機会」と「正当化」をしっかり考えて検証することができます。

何が問題なのか、理論立てて区別して考え、本質を見通せるように努力していきたいものです。


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