思い出すことなど(95)

翻訳に関する思い出を「思い出すことなど」と題して、色々と書いていきます。今はだいたい1997年頃の話です...

「夏目さんって、翻訳をされているんですよね」

「はい、そうですけど...」

「あのですね、今、私、ある出版社から本の翻訳を頼まれているんです。でも、私は翻訳のプロでもないし、大変そうだからできれば断りたいんです。夏目さん、代わりに引き受けてくれませんか?」

「はい、もちろん、喜んで!」

「コンピュータ関係の本で、Javaっていうプログラミング言語に関する本ですけど、大丈夫です」

「あ、はい、大丈夫です」

あちこちで言っているとおり、私はこの頃、「やりますか?」と言われたら「やります」、「できますか?」と言われたら「できます」と、即座に、食い気味に返事をする練習をしていた。この時も練習の成果が出た。もちろん、返事をしてしまってから、今、何を言われたのか、自分が何を引き受けたのか、冷静に考える必要がある。もちろん考えた結果、「やっぱりやりません(できません)」と言うことはもうできない。

Java、ねえ...聞いたことはあるな...ちょっと見たことあったかも。会社にいた時はC言語だったしな。なんか似ているという話だったから、まあ、必死に勉強すれば大丈夫だろう。大丈夫にするしかない。

「わー、よかった。じゃあ、出版社に連絡しておきますね」

なんだなんだ、急展開だぞ、どうなるんだ...

―つづく―

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