思い出すことなど(71)
翻訳に関する思い出を「思い出すことなど」と題して、色々と書いていきます。今はだいたい1996年頃の話です...
「フリーランスになるんだったら最低2ヶ月は暮らせる貯金がないとダメ」とその頃はよく言われていた。今も言っているのかな。私も素直なので(ウソつけ)その言葉を信じていた。ただ、毎月カツカツなのに、どうやってそんな貯金をするんだよー、とも思っていた。これじゃ一生フリーになんかなれないよ(前もそんなこと書いたな。俺の人生こんなのばっか)、と絶望したこともある。
副業で外から受けた翻訳の仕事をするようになって、だいぶ潤ってはいた。それでも、2ヶ月分の生活費を貯める、というハードルは高かった。どうしたものか...だが、ある時、ひらめいた。
売掛っていうのがあるじゃん!
と。ご存知の方も多いだろうが、翻訳会社から仕事を受けると、その料金は、多くの場合、その月の末で金額を計算されて、一ヶ月後とか二ヶ月後の末(25とか27日って会社もあるし、5日って会社もある)に支払われる。だから、副業を始めてからの私は、常に、月末に給料とは別の支払いを受けるようになっていたのだ。つまり、手元に貯金がそんなになくても、退職の月にたくさん副業をしておけば、翌月は何とか生活できる。またフリーランス一ヶ月目も順調に仕事すれば、さらにたくさん稼げるから翌月は安心だ。
...大丈夫じゃん...なあんだ...
なんてことを考えて、あっさり退職を願い出たのだけれど、これってとっても危険な方法なので、良い子はまねしちゃダメだお。
ほんと、若かったよなあ...って思う。それが良かったのかもしれないが、どうだろうねえ...
―つづく―
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