思い出すことなど(88)

翻訳に関する思い出を「思い出すことなど」と題して、色々と書いていきます。今はだいたい1997年頃の話です...

収支内訳書ができたら、今度は収入と所得の計算だ。取引先から送られてきている支払調書をまとめる。すると、あるはずのものがない。全部でいくつ取引先があるかがまずわからない。通帳の振り込み記録で確認する。やっぱり支払調書足りない。家探しする。それで3、4時間は経ってしまう。たった一枚の紙切れに翻弄される自分。情けなくて涙が出てくる。これでも日頃の仕事ぶりを高く評価されている人間なんだけどな、なのに、紙切れ一枚が見つけられない。天下一の無能のような気がしてくる。実際そうかもしれない。

やっとの思いで見つけ出す。結局、最初に見たところにあった。どういうこっちゃ。目の前が見えてへん。やっぱり無能やな。そして、また電卓地獄である。今度は経費よりは項目数が少ないので、なんとか割に短い時間で終わる。もちろん、一回で終わったわけではないけれど。

収入は入ってきた金額、所得はそこから経費を引いた額だ。今度は引き算をしなくてはいけない。うー大変。そして、最後に、すでに支払った税金の額から、本来払うべき税金の額を引く、という作業がある。これが一番肝心。今は、国税庁のページに、数字を打ち込むだけで自動計算してくれるシートが用意されるのだけれど、当時はそんなものはない。ただひたすら、自分で足し算し、引き算する。また法律上、自分が本来、いくらの税金を払うべきかも、自分で調べなくてはいけない。手引書みたいなのが送られてきているけれど、どこにそれが載っているのかが超絶わかりにくい。うわー、もう辛いよー、やめたいよー。何度か絶叫した。本当に終わるのだろうか...

―つづく―

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?