思い出すことなど(93)

翻訳に関する思い出を「思い出すことなど」と題して、色々と書いていきます。今はだいたい1997年頃の話です...

ただ仕事を頼まれるというだけで嬉しかった一年目。ひたすらひたすら仕事をしていた。ずっとそのままやっていけると思っていた。しかし、2年目になると、ちょっと変わってきた。簡単に言えば、「疲れた」のだ。

それまで人間は好きなことをしていれば疲れないと思っていた。ばかみたいだけど、単純にそう思っていたのだ。もちろん、寝なかったり、食べなかったりしたら倒れるのはわかっていたけれど、一応、ちゃんと寝て、食べていれば、好きな仕事なのだからずっとやり続けられると思っていた。

しかし、当たり前だが、そんなことはなかったのだ。たとえどれほど好きな仕事でも休みなくいつまでも続けられるものではない。さすがに、ばててしまい、息切れを起こしてしまった。不思議なもので、そういう気分は周囲の人たちにも伝わるのか、仕事の受注量も一年目ほどではなくなった。まったくないわけではないけど、だいたい半分くらいになった。収入もそれに伴って半分になったけれど、一年目の蓄えもあるし、問題はないだろうと思っていた。ところが、である。

昨日も書いたとおり、市民税と健康保険料の請求額がとんでもないことになっていた。しかも、一年目についた浪費癖は収入が減っても簡単には治るものではない。そんなこともあって、貯金はあっという間に減っていった。ついには虎の子の定期預金まで解約するはめに。あの時は悲しかったし、情けなかった。1年も経っていないのに解約するなんてみっともないとも思った。ずっとこのままお金の心配をせずに生きていけるなんて考えたのは、とんだ勘違いだった。

このまま同じ調子で変わらない仕事をしていけるかも自信がなかった。何か変化が必要だなあ、と感じ始めていた...

―つづく―

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