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助け合い

ハミガキが何の前触れもなく、突然、なくなったのでさっき買ってきた。すごい。こんなに綺麗に使い切れるようになっただなんて。いつの間に。

私の子供の頃は金属製のチューブで、なかなか最後まで使い切れなかった。途中でぼろぼろになったりして。割り箸ではさんで少しずつ押し出すようにしたりとか、色々工夫をしている人もいた。それが小学校の三年生かそれくらいの時期にラミネートチューブというのが出てきた。どういう仕組みか詳しくは知らないのだけれど、とにかく、最後まで綺麗に使い切れますよ、というのが売り物だった。確かに金属製のチューブに比べると使い切れる感じだったけど、それでも残り少なくなった時の往生際の悪さ(言葉が悪いね)は相変わらず。ただ、まあ、そう大きな問題でもないので、こういうものか、と思ってあきらめていたところがあった。

それから40年くらい経っただろうか。もうなんというか、ハミガキのチューブは私の気づかない間に、もうこれ以上はないというくらい高度に洗練されていたらしい。さっきまで順調に出ていたのに、次に使ったら、もう中にはまったくハミガキが残っていない。デジタルな最後。往生際、最高に良い(こんな言葉はない)。まさに「すかっ」と使い切れる。

私がハミガキとはまったく違うことに関心を持って人生を歩んでいる間に、日夜、少しでもチューブを良くしようと努力していた人がいるんだなあ、としみじみ思った、感謝したくなった。手を合わせたくなった。

社会というのは助け合いだねえ。ほんと。ありがとうございます。

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