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冗談じゃないないわ 羊の丸焼き食うデブー

6月某日、おれは羊の丸焼きを食らい、モンゴルの草原の風になった。

というわけで、こんにちは。
皆さんは羊の丸焼きを食べたことはありますか?私はあります。

なぜ羊の丸焼きなんて食えたのか?というと、こちらのオモコロの記事↓

でオモコロの皆さんが行っていたあの店に行き、羊の丸焼きを食べよう!という会の募集をたまたま目にしたのがきっかけだ。
インターネットの不特定多数に顔を晒すリスクは痛いが、この機会を逃したら今後一生羊の丸焼きを食べる機会など訪れないだろう……。というわけで、勇気を振り絞り、裸一貫参加を申し込んだのだ。(説明を忘れていたが、私は珍しい食い物を食いたいという欲求が、たぶん人より少し高い)

そして迎えた会当日、私は胸を高鳴らせながら店へ入店した。
参加者が全員集まり、点呼が取られ、飲み物が全員分運ばれてきたのち、
主催の方の音頭で乾杯が行われる。
一通り飲み会の最初の流れが済むと、お通しのラム串が運ばれてきた。

クミンなどのスパイスで味付けされている

今までの人生でラム肉をあまり食べる機会がなく、まともに食べたものといえば、サイゼリヤのアロスティチーニぐらいのものだった。
もちろんあちらにもあちらの美味さがあることは念頭に置いた上で言うが、見知ったそれとは2段階ぐらい上の美味さがあった。
柔らかくて、味付けのスパイスも絶妙で、この時点で後に続く丸焼きへの期待が大きく高まった。
何やら木の枝のようなものに刺さっているが、これは紅柳(タマリスク)という木の枝で、風邪に効いたり、利尿作用などの薬効があるらしい。
こちらも風味に寄与していた気がした。

そしてお通しのラム串や、各々で頼んだサイドメニューの数々に舌鼓を打っているうち、突然前触れもなく、「それ」は運ばれてきた。

本日の主役のご登場である

「さあ羊の丸焼きの登場ですよー!!」など声掛けがあるかと思ったが、
本当に突然スッ…と運ばれてきたため、少し笑ってしまった。
先に上記の記事を呼んでいたため、まあこんなもんかなというイメージはして行ったものの、やはり実際に目にすると迫力が違う。
圧倒的な雰囲気を醸し出すそれを前に、参加者はそれぞれ、写真を撮ったり、記念に自撮りをしたり、各人が持参したぬいぐるみたちを並べて記念撮影をしたら、なんだか異教の儀式みたいになったりとひとしきり楽しんだ。
リアクションや撮影の時間が終わると、スタッフさんがテキパキと丸焼きを切り分け始める。
慣れた手つきで、大きな包丁とハサミを駆使しながら、丸焼きはあっという間に解体され、はじめは前脚、その次に後ろ脚、その後背中…という風に運ばれてきた。

ここからは興奮して写真がないため、イラストでお送りする。

切り分けられた肉は木彫りの豪華な器に盛りつけられ、手前の参加者から自分が食べたいだけの量を取って後ろに回していく、という形式で配られた。
前脚はほかの参加者がほぼ食らいつくしていたため、後ろ脚と背中の記憶が強い。
全部位に共通していることとして、丸焼きともなれば多少獣臭かったり、パサついているだろうと覚悟していたが、そういったものは一切なく、柔らかくクセがなく食べやすかった。
部位ごとの違いがあるとすれば、後ろ脚は少し締まってねっちりした食感で、背中部分はゼラチン質だったり、脂の乗った部位が多かった印象だ。
あと背中の皮がパリパリでうまかった。
骨付きのままの肉もそれなりにあり、私も骨ごとかぶりついたが、なんだか手で食うとうまみが倍増するような気がしたなあ。
前脚は、自分に回ってくる頃にはほぼ食いつくされていたので、わかりません。
丸焼き自体にもうっすら味がついている、もしくは肉自体のうまみや甘みがあるのか、何もつけなくてもそれなりに美味しかったが、やはり卓上の調味料をつけて食べるとより美味しかった。
調味料は覚えている限りで、黒酢、しょうゆ、塩、クミン塩、辛いペースト、バジルペーストの6種類があり、個人的にランキングをつけるなら、
1位クミン塩、2位バジルペースト、3位黒酢といったところ。

そうしてうまいうまいと丸焼きから目を離して、夢中で羊肉にかぶりついているうちに、いつの間にか羊は跡形もなく解体されており、あとにはなんか焼くときに固定するための骨組みだけが残され、それもいつしか片付けられていた。
参加者が20人超と多かったこともあり、30分と少しぐらいで食べつくしてしまったように思う。

何食ってもうまかったなー。

丸焼き以外のサイドメニューも充実しており、当日私が食べた覚えのあるものは上記画像の5種類だ。
どれもおいしかったので印象深いが、特筆するなら、血の腸詰だろうか。
読んで字のごとく羊の血を固めたもので、結構すごい味がするのではないかと予想していたが、予想を反するあっさり味で驚いた。
あとは、羊の陰茎も物珍しい細長い見た目と食感が強烈だった。
ゼラチン質でグミグミしており、味はお通しのラム串などと同じクミン系の味付けでおいしいのだが、これがチンチンだと思うとかなり嫌な食感だなあ。と思いながら噛んでいた。
あと、グループの性質かわからないが、入店するなり水餃子などのオーソドックスなメニューを無視していきなりチンチンを注文している人が多く、なんなんだと思ったりもした。
他の方から分けてもらったまんじゅうは、具のない小さな素まんじゅうだったのだが、全体的に味が濃かったり脂っこいものが多かったので、主張のない味が嬉しかった。
他にもラムチョップや羊の金玉(性器ばっかだな)、ケバブやスープなど多種多様なものが注文されていたが、私の胃の容量が羊の丸焼きを食べ終わった時点でだいぶキていたのもあり、その辺は食べられなかった。(食べたかった……)

私はあまり酒に強くないため、無難なレモンサワーを注文したが、モンゴル料理のお店ならではの変わったお酒を注文している人も多かった。
ベリー系なのに黄色く、後味の印象がなぜかほぼないサージサワー、いい匂いのするハマナスのお酒のソーダ割り、度数がめちゃくちゃ高く、実際酒の味もきついのに後味がなぜかミルキーな馬乳酒など、一口ずつもらったが、どれも面白い味だった。

美味いラーメンのスープになる「前」という感じだった、例えるならイーブイかも。

宴もたけなわ。
注文もあらかた出そろい、会場全体が何となくお腹いっぱいの雰囲気になったところで、本日のもう一個の主役が運ばれてきた。
金属でできた、大きな壺と鍋の中間のような物体がドンと置かれ、スタッフさんが鍋に脂とスパイスを入れて炒めはじめ、しばらく炒めると、ピッチャーから乳白色の液体をドボドボと注ぎ入れた。
そして頃合いになったところで、1人ずつ器に注ぎ分けて配られた。
これは何かというと、モンゴル風のミルクティーだ。
ミルクティーというと、甘いアレやチャイ風のアレを想像するかもしれないが、このミルクティーは全く甘くなく、むしろしょっぱい味付けだった。
まさしく異国風の味わいだったので表現が難しいが、例えるなら、スパイス入りのミルクスープのような感じだろうか。
食べなれたものでいえば、豚骨スープや白湯スープをもう少しまろやかにした感じ?
しこたま飲んで食ったあとの〆にはうってつけなあっさりした味付けでおいしかったが、人によっては物足りないのか塩やしょうゆを足している人もいた。(確かに一味足りない感じはあったので、気持ちはわかる)
ごはんなどを入れてもおいしそうだったなあ。

そんなこんなで会は大盛り上がり、後半はかなり本気の飲み会の様相を呈しながら、楽しい雰囲気で終了した。
時間にしてみれば2時間ほどの短い時間だったが、なかなか得難い経験だったと思う。
単に珍しいものを食べられたというだけでなく、本格的なモンゴル料理をたくさん食べたり、骨ごと肉を食らうという原始に近づく体験ができたというだけでも素晴らしかったのではないだろうか。

6月某日、おれは羊の丸焼きを食い、モンゴルの草原の風になった。
会も終わりの直前にメニュー欄に「スープ餃子」という気になる記述を見つけ、それが非常に心残りのため、機会があったらまた風になりたい。

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