延伸と乗り入れ

北陸新幹線は3月16日に金沢から福井県敦賀まで延伸開業すると報道されてますが、その先の京都駅、新大阪駅までの路線だと、ルートは決定しているものの、いつ着工し、いつ開業するかの予定は発表されていません。

延伸ルートでいろいろと揉めてるニュースなどを見てると、もし金沢駅より西の北陸新幹線と東海道新幹線を同じ会社が経営するなら、北陸新幹線の敦賀より先のルートの着工と開業の予定は、既に発表されていたのではないかと思います。

敦賀から先の北陸新幹線のルートは西よりに進んで福井県小浜を通り、そこから京都駅に向かって南下し、京都駅からは東海道新幹線よりも南よりに迂回して新大阪駅に達するという予定で、全長140kmのうち約8割がトンネルになる計画とグーグルで検索できます。

トンネル工事にともなって発生する土砂や地下水の枯渇など、建設予定のルートの沿線住民の不安や懸念や反対についての記事が、敦賀より新幹線延伸と検索するといくつも出てきます。

住民に環境への不安を与えてしまい、着工がいつになるかわからないのであれば、敦賀から先は滋賀県の米原駅で東海道新幹線とつなげばいいじゃないかと思いますが、グーグルで検索してみるといろいろ障害があります。

まず北陸新幹線を米原駅で接続させても現在の東海道新幹線は過密ダイヤで、北陸新幹線を東海道新幹線の区間に乗り入れさせることはできないという意見です。

確かに今の東海道新幹線は東京から新大阪まで、常に16両編成の車両が片道だけで1時間に10本近くの頻度で朝から晩まで走行し、ここに北陸新幹線を乗り入れさせるのは無茶かなと思います。

今は無理ですが、時速500kmのリニアが東京から大阪まで開通したらどうでしょう。

これについては、できる可能性もある、無理だ、とネットを見てると意見が分かれます。

私としては東京ー大阪間にリニアが直通すれば、東海道新幹線のダイヤに余裕もできて、1時間に3本くらい北陸新幹線が東海道新幹線の区間を走ることができるのではと思います。

次に北陸新幹線と東海道新幹線では運行管理システムが違い、そのままでは相互乗り入れはできないようです。

これについては滋賀県のホームページで「技術的課題」は技術で解決可能と出てました。

滋賀県ホームページ

新幹線の運行管理システムの違いについては何の知識も持ってませんが、滋賀県ホームページにあるように、エンジニアが真剣に取り組めば、新幹線の運行管理システムが違う区間でも別の新幹線が「乗り入れ」することが可能になる気がします。

もし米原駅で東海道新幹線と北陸新幹線がつながり、リニア全通後にダイヤと運行管理システムの問題が解決されて、北陸新幹線が新大阪駅まで乗り入れることができるようになると仮定したら、新大阪駅から敦賀駅までの北陸新幹線の売上高はどうなるでしょう。

検索してもそんな数字は出てきませんでしたが、国土交通省鉄道局が2016年11月11日に敦賀から先の3つの新幹線延伸ルート別の見積もりを検討した結果1覧がありました。

国土交通省鉄道局

この米原ルートの検討結果は、北陸新幹線の米原駅から先の乗り入れは無いものとして検討されていて、もし「乗り入れ」が可能となればもっと高い効果が期待できるでしょう。

国土交通省の試算による敦賀・新大阪間の所要時間は1時間7分とされてますが、これはおそらく東海道・北陸新幹線では直通運転はせず、米原駅で1回乗り換えをすると仮定しての数値でしょう。

もし北陸新幹線が米原から先に乗り入れできれば、この試算の所要時間は15分以上短縮できるのではないでしょうか。

米原ルートの新大阪駅〜敦賀間の距離は小浜・京都ルートより15kmくらい長くなりますが、「乗り入れ」が可能と仮定したら時間は小浜・京都ルートより5分から10分くらい余計にかかるくらいにすむと思います。

料金については新大阪駅から米原駅までがJR東海、米原駅から敦賀駅までがJR西日本の管轄になるので、JR西日本が1社で管轄する小浜・京都ルートより米原ルートの方が高額になり、この点では1覧のように乗客減につながりそうです。

それでも15分ほどスピードアップできれば、輸送密度も国土交通省の推定数を上回ると思います。

直通効果によって敦賀ー米原間の38100人の輸送密度がやや増えて4万人として、もし乗客がみんな大人で、一覧表にある運賃を払って大阪から敦賀まで米原ルートで乗るとして年間売上高を計算すると、960億円になります。

もちろん乗客がみんな大人で新大阪駅から敦賀駅まで定額運賃で利用するわけでなく、子供の乗客がいたり、団体やネット利用やその他の割引、途中駅までの利用、京都駅や米原駅からの利用があったりで、新大阪駅〜敦賀駅間の北陸新幹線の1年間の売上高は960億円の7割くらいの670億円くらいでしょうか。

距離ですが、新大阪駅〜米原駅106km、米原駅〜敦賀駅は一覧で50kmです。

年間売上高を670億円と仮定して、管轄の違う新大阪〜米原駅と米原駅〜敦賀駅で売上金を分けるとしたら、450億円がJR東海の取り分で、220億円がJR西日本の取り分になるでしょうか。

450億円がJR東海の取り分というのは仮定の話で、実際はもっと少ないかもしれませんが、米原駅で北陸新幹線と東海道新幹線をつなげて、「乗り入れ」を可能にして新大阪駅から北陸まで新幹線を走らせるなら、小浜・京都ルートに比べてそれなりの額がJR西日本からJR東海に移ることになり、JR西日本が米原ルートに乗り気になれないのは仕方ないですね。

JR東海にしてもリニアが全通したと仮定した後も、東海道新幹線は引き続き大きな収益源であることは変わらず、北陸新幹線の「乗り入れ」のために運行管理システムを見直すとなれば費用もかかり、その効果で売上高が増えるとしても「乗り入れ」は歓迎できないということでしょうか。

もし金沢駅以西の北陸新幹線と東海道新幹線の経営会社が同じなら、「乗り入れ」による売上金の分配は問題にならず、運行管理システムの違いも妥協点を見出し、米原ルートで行こうとなったかという気がします。


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