次の拠点はインドネシア

4月末から2024年3月期を年度末にする会社の決算が相次ぎ、新聞やニュースの記事を見てると、どうしてこんな数字を出せたのだろうという決算をたまに見かけます。

兵庫県姫路市に本社をおく大和工業グループの決算も、最初は見まちがいかと感じた数字でした。

大和工業グループ
2024年3月期の連結業績(2023年4月1日~2024年3月31日)
1634億79 百万円
営業利益
172億82百万円
経常利益
992億23百万円
親会社株主に帰属する 当期純利益 
700億18百万円

売上高に対する純利益の割合が約43%、どんな会社かとネット記事や会社情報を見てみました。

大和工業の沿革を見ると、1944年に川西航空機の協力工場として姫路市に工場が設立されたのが始まりで、そこから発展して形鋼、鋼矢板、大型船舶の船尾骨材、鉄道軌道用品などの鉄鋼製品を造る電炉メーカーとなり、1987年にアメリカに進出してから海外拠点を拡大させて、今ではアメリカの他にタイ、韓国、ベトナム、サウジアラビア、バーレーンに海外拠点があります。

2024年3月期の経常利益に占める海外比率は75.2%、タイのSiam Cementは大和工業の連結子会社ですが、アメリカ、韓国、ベトナム、サウジアラビア、バーレーンにある関連会社は大和工業の持分法適用会社となってます。

決算短信の概況を見ると、日本では販売数量が減少したものの、鋼材マージンの改善により増益、タイでは販売数量の減少を鋼材マージンの改善では補えず減益、アメリカでは引き締まった需要のおかげで減益とはなったものの高収益を維持、中東地域では形鋼需要が堅調でフル生産が続き、市況は前期より軟化して減益となったものの高収益を維持、ベトナムでは若干の増益、韓国では減益、そして韓国の関連会社に起きた訴訟提起の件で損失見込額19億68百万円を計上となってました。

連結損益計算書では持分法投資利益が652億68百万円となってます。

持分法適用会社の条鋼製品生産能力を見るとアメリカは230万ton、韓国は85万ton、ベトナムは50万ton、中東地域は2社で100万tonとなっていて、韓国では減益と訴訟に関しての損失がありましたが、規模の大きいアメリカと中東地域で高収益を維持できて、ベトナムは増益だったことから、24年3月期の持分法投資利益が652億68百万円に達し、純利益を押し上げたと決算短信から見て取れます。

それにしても海外の持分法適用会社の投資利益が、日本とタイの子会社の営業利益の約3.8倍とは、鉄鋼業界では他に例がないでしょう。

もし同じような会社があれば、取り上げてみたいです。

大和工業グループの24年度の見通しについては、ベトナム以外は減益を予想してます。

24年度の業績については、大和工業以外も減益を予想している会社が多いですが、大和工業に限らず他の会社も持ち直しが期待できるくらい、市況が回復してほしいところです。

決算短信を見ると23年3月期の持分法投資利益は662億58百万円、22年3月期が403億48百万円、21年3月期が85億21百万円と21年は投資利益が営業利益を下回っていましたが、その次の年から3年間続いて持分法投資利益が営業利益を大幅に上回っていました。

去年も大和工業は他の鉄鋼会社とは全く違う決算を発表してたわけですが、その時は気付きませんでした。

良い決算により集まった資金を設備投資の他に、次の海外進出に使うのを決算短信で知りました。

大和工業の次の海外進出先はインドネシアで、会社のIRニュースの他にM&Aマガジンが記事にしてました。

https://www.nihon-ma.co.jp/news/20230808_5444/

インドネシアに進出するために投じる費用は3億4千万ドル。
新設するインドネシア法人の名前はPT Nusantara Ba ja Profil。
大和工業グループの所有割合は80%
残りのうち15%を阪和興行が、5%をインドネシアの会社が保有。

決算短信では、PT Nusantara Ba ja Profilの株式取得予定は5月末とあったので、もうすぐ取得完了の発表があるかもしれませんね。

インドネシアの経済成長と検索すると、2005年以降に年4%〜6%の経済成長を続けてるようで、これからも市場拡大が見込めそうです。

気がかりがあるとすれば政治情勢でしょうか。

3億4千万ドルの巨額の費用をかけてインドネシアに進出するのですから、インドネシアの政情が安定して、大和工業と15%出資する阪和興業が予定通り新会社に経営権を取得できて、インドネシアの発展の波に乗れるといいですね。

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