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わたしたちはストーリーを欲している

わたしたちが世界を理解しようとするときの手助けとなるものが、物語です。

小説家の村上春樹は自らの仕事を「雪かきみたいな」と表現していますが、まさに物語を物語ることを誰かがやらなければ、たとえそれがおとぎ話や神話の類であったとしても、わたしたちの生の底が抜けたような感覚に陥るに違いありません。

ヒット商品には開発秘話がありますし、伝統企業にはヒストリー、まさに物語、があります。優勝チームの足跡を後追いすることで熱狂を持続させ、歴史上偶然の出来事があたかも物語のように語られて一人歩きするなんてこともよくあることです。

すべてが断片化された世界を想像してみてください。
というより、、、想像できるでしょうか?
ストーリーのない世界に、宮本武蔵という名前が後世に残り得たでしょうか?
吉川英治が宮本武蔵を小説に描かなかったとしても、彼の名前は後世に残ったでしょうか?

もちろん、宮本武蔵が特別なのではなく、歴史上の人物や出来事すべてが、なんらかの物語の中に組み込まれている。
歴史だけではありません。
ビジネスにおいても、アクチュアルな事象においても、そこにストーリーをわたしたちは求めます。
時代劇も、アニメも、朝ドラも、わたしたちのストーリーを求める需要に対応している。

そして、あるストーリーを共有することが仲間意識や帰属意識を生みます。
集団が組織になるとき、必ずなんらかのストーリーが必要となります。
逆に言えば、物語を分かち得ない人は、その組織なり共同体なりから排除される。

わたしたちはストーリーを欲し、大小さまざまなストーリーによって社会や世界を形成し、ストーリーの積み重ねがヒストリーとなっている。
需要があるから供給され、それはビジネスにもなりうるし、ビジネスそのものがあるストーリーの枠内にあるということもできます。
あなたはあなたのいる世界のストーリーに満たされていますか?

Move forward!

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