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3000マイル・イン・サーチオブAS「教会にて」#3噂のシスター

これまでのアスキュ:アスキュは同型のニンジャを探す旅に出てるよ。
廃教会に居るアルジ=サンが23番のシグのシグアージェントだと睨んでエントリーしたけど色々と手違いや思い違いがあった結果、アスキュは教会を手伝う事になったよ。ナンデ?

シンベはあからさまに意気消沈した様子で廃墟を目指している。あの廃墟が彼の通う教会学校である。
彼は習い事が嫌なわけではない。実際"何か習い事をしたい"と親に頼み込んだのは彼自身である。だが彼が期待していたのはショドー教室やタイピングドージョーやカラテドージョーといった将来性や実益に繋がるものであり、教会学校という何をするかわからないものではなかった。

母曰く"実際無料らしいし、教養が身に付くらしいから良い"らしい。何が"らしい"だ。教養はまぁ実際大事だろう。だが母に何をする所か聞いても曖昧な回答が帰ってくるばかりであった。それで行ってみれば神父を自称する男の下手な説教や聖書の読み聞かせときた。たまに小柄なシスターが護身術や説教をしてくれる事もあり、これは実際ためになる。だが神父もどきの男は最悪だ。声がデカイし、威圧的だし、内容をたまに理解していない。
(今日こそ適当に理由をつけてやめよう)シンベはフケる理由を考えながら教会の扉を…神父もどき野郎がしかめ面で修理している扉をくぐり、うんざりと埃っぽい教会にエントリーした。

「ドーモようこそシンベ=サン」自分よりも背が低いシスターがアイサツした。今日は彼女がセンセイなのか?ラッキーだ。
「今日は新人のシスターが料理等を教える予定です。宜しくお願いします」「アッハイ」料理だって?新人が入ったという話は聞いた。その時は用事をでっち上げてたまたま休んでいたが、そのシスターが入ってから2、3日で新規の生徒が増えたらしい。どんなシスターだ?疑問は尽きないがシンベは"実習室"と書かれた部屋に入った。

「ドーモー、アスキュだよー。今日はかんたんに出来るオシ・ズシの作り方を教えるよー」顔つきや言葉遣いは子供めいているが身長の高いシスターがちょこまかと動きながら指導している。
教会学校に来る生徒は多様であり、料理を知らない小学生も居れば料理が下手と自身なさげな女子高生も居る。だがアスキュの指導は適切であり、やり方さえ解れば誰でも実践できるものであった。
料理をあまりしないシンベであったが30分後には見事なサーモン・オシズシが出来ていた。しかも使う物も手に入りやすく、見た目も見事なスクエア状。こんなやり方があったとは…
「おー、上手に出来たねー。すごいすごい」アスキュがシンベの手を取りにへらっとした笑顔を向けて、シンベは思わず赤面した。実際このアスキュというシスターは教えるのが上手である。だがそれ以上に、彼女はカワイイであり、先ほどのシスターも中々だったが…プロポーションが…スゴイ。

「はえ?シンベ=サーン?」「はっ!?スミマセン!」シンベは慌てて寿司をタッパーに入れた。作ったスシをテイクアウト出来る仕組みだ。落ち着いて見回すと小学生や女子高生は少なく、男性が多い。(まあワカル。アスキュ=サンカワイイからな…)

そして次は何をするかと思えばなんとイアイドーの訓練であった。ややハードであったが、シンベは満足していた。これこそ自分が望んでいたものだ。しかしアスキュ=サンは何者だろう?料理は上手いし、イアイドーのワザマエも素人にもわかる位に巧みである…シンベはふと違和感を覚えた。シスターが、イアイドー?

「では、今日はありがとー」アスキュは生徒を手を振って見送った。今日も緊張の1日だったがなんとかやり遂げた。

「サマになってきたようですねアスキュ=サン」横に居たアルジが声をかけた。「なってる…のかなー?」アスキュは首を傾げた。規則正しい生活や立ち振舞いには自信がない。だが料理やイアイドーは得意なため教会学校ではうまくやれてる…と思う。懺悔ルームも何回かやってみたが来客が皆無なためまだ未経験だ。
「やれてるかどうかは別として、あんた中々の人気シスターだぜアスキュ=サン。あからさまに客足も増えたし」
(主に成人男性が多いのが気にはなりますが…)アルジはやや腑に落ちない。(まぁ聖職者としてというより、彼女の人当たりの良い性格等が人気があるのでしょう…む、それはすなわち普段の私は、近寄りがたい…?いや、そもそも…むむむ)

「シンブ=サン、アルジ=サンが反応しなくなったよー?」
「あー、アルジ=サンは考えこむとこうなるんだ。そっとしとけ…よし、これでどうだ?」シンブはドアから手を離した。しっかり立て付けられており、外れることがない。完全な修復であった。

「おー、直った直ったー」アスキュがしきりに開閉してみた。壊れそうな気配は無い。「もう壊すなよ?」「はーい」
「さて、重武装アンタイジーザスボンズ軍」「重武装アンタイジーザス・インディーズボンズ軍団だよーシンブ=サン」「いつのまにしっかり覚えたのかぁ?まぁそいつらが来る前に直ってよかったぜ…」シンブは工具を片付けながら満足げに頷いた。
「重武装アンタイジーザス・インディーズボンズ軍団…実際来ない事に越したことはないのですが…」アルジはそちらも気にしているようだ。

アスキュは嫌な予感がしていた。月1だった襲撃が週1に?人員の増加?大量破壊兵器の導入?(あるいは…)

長方形に整列している重武装アンタイジーザス・インディーズボンズ軍団に乱れは無い。カスミガセキ教区のアークボンズから直々に買い付けた聖なる銃火器、聖なるヤリで武装を新たに整えた彼らはヤルキと使命感に満ちており一刻も早く教会を破壊し、神聖なテンプル要塞を建てたくて仕方がない。
「ハッハハッ…見事に仕上がってるぞ我が軍団は…」満足げに頷くのは重武装アンタイジーザス・インディーズボンズ軍団のジェネラルボンズ(隊長めいた存在)である。その首に掛かる重金属ジュズ・タリスマンは返り血で黒ずんだ赤に染まっている。ボンズ・フードを被り口元はオニを模したメンポで覆われている。然り、メンポである!
「イヤーッ!」彼は背中に背負った鐘を打ちならした。「「「ウオーッ!!」」」神秘的な音が鳴り響くと重武装アンタイジーザス・インディーズボンズ軍団の士気は高まり、心なしかパンプアップしているようであった。彼のジツである。
「ハハ…その意気だ…アンタイジーザス……」彼の名前はブロンズオーガ。然り、重武装アンタイジーザス・インディーズボンズ軍団のジェネラルボンズはニンジャであった。

続く