花色滴る
010522に
少し寒い雨模様のなか、静かに出迎えてくれたフジの木。
入ってすぐのところでは早速お土産の花々が並んでいた。その更に奥のレストランは、丁度昼頃で人々の列ができていてそこに続いた。バラのアーチを時間をかけて進みながら、窓際に通され席に着く。
一息ついてすぐ外に目をやるとバラのような花が咲いていた。いまにもこちらに香りがしてきそうだが隔たれていてわからない。
それでも花がすぐ横にいて一緒にいるような気持ちになった。
食事をしているとついに雨が降ってきた。
白でパークの名前が書かれた深緑の傘がちらちらと見えるが貸出をしているようだ。
パーク全体には花の甘い香りが漂っているらしく、マスク越しに何とか嗅ぎ分ける。
小雨降る明るい曇りの空は白く、花々の本当の色を教えてくれる。
空の光をカーテンのように透過するなか、枝は力強く波打っていた。
藤の花が大々的に注目されていたが、雨に打たれつつバラ?も本当に綺麗に咲いていた。
奥行きがあり素敵な景色だった。
八重藤は花びらが重なり葡萄がなるように重さを感じられる。
移植に成功したと言われるその大木の長いいのちにおそれを抱く。
パーク内はトンネルの形状をしていない藤の木も点在し、そこでは花の様子を間近に見ることができた。
藤の花びらは一つ一つを見ると桜や胡蝶蘭の花びらのようでもあった。
私は足利市の出身で、小学校の校舎に藤の木があったことを思い出す。これだけ素敵に咲くのだから、どこか人々に親しみの湧くところがあるのだろうと思った。
藤を遠くから見上げていると、その淡いグラデーションの先は空とまじわるような、春の静かな花火大会のようでもあった。
これほどまでに多くのフジを一度に見るのは初めてのことで、葡萄をお腹いっぱいに食べたように気持ちが満たされた。
望みとは裏腹に降り続く雨音。道ゆく人々の歩みに合わせて上下する傘。水に打たれて揺れる、寒さに耐え咲き続ける花木たちの彩り。それぞれ生命の営みがリズムとなってうずまいていた。
お土産屋ではフジのブックマーカーを購入した。
私は上部のツルがつながり半円になっていることが気に入らなかったため買うかどうかを長時間迷ってしまった。
ところで、撮った写真を見返していたら、案外近い形でなくもないことがわかった。
寒さでこたえていたが花園を後にするのは名残惜しい。歩きながらも視線は改めて花に釘付けになる。
*
因みに今回あしかがフラワーパークに行くに当たって事前にインターネットで情報を見ていた。
毎日更新されるブログでは、花の様子のみならず、最寄りの駅の様子も抜かりなく掲載されているところが面白いと思う。皆さんも是非一度はご覧になってほしい。
https://www.ashikaga.co.jp/parkdayori/flower.php
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