見出し画像

ソードワールド2.5 シナリオ「白銀の槍」

はじめに

本記事は「ソードワールド2.5」を遊ぶためのシナリオです。

本記事は「グループSNE」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.0/2.5』の二次創作です。(C)GroupSNE(C)KADOKAWA

レギュレーション

必要なルールブック
ソードワールド2.5『Ⅰ』『Ⅱ』『Ⅲ』
PC人数:2~4人
プレイ時間:5~6時間(ボイスセッション)

経験点:+82000(累計85000)
成長回数:44回
所持金:160000
名誉点:1300
レベルギャップ12
レベルボトム10

アビスシャード:21個

トレーラー


トレーラー

シナリオ概要

「あら!あなた良い男ね。それにとても強そう。私の恋人にならない?」
依頼で吹雪舞うディガット山脈に出向いた冒険者を待ち受けていたのは、この世のものとは思えない美少女からの告白だった。そして次の瞬間、彼女は槍を輝かせ冒険者を貫かんと飛びかかってくる。一体、この少女は何者なのか。

シナリオの真相

 このシナリオは、爆撃の停止と〈白銀の槍〉を守るという2つの依頼を解決する物語です。
 スカジは強者を氷像にしてそれを恋人と呼ぶ異常者です。蛮族のニエルドは彼女に告白され、それを受け入れました。しかし氷像にされるという実態と魔剣〈白銀の槍〉を知り、一方的に支配しようと攻勢を仕掛けています。  
 もちろん一斉突撃することも出来ますが、勝つ可能性を上げるため、魔動機の爆破を用いて氷を溶かし、なるべく有利な状況へ持って行こうとしています。スカジも戦闘はまんざらでもなく、また彼を氷像にしたいため、戦っています。しかし、このままではスカジは蛮族に負けてしまうでしょう。
 冒険者が蛮族を倒すことで〈白銀の槍〉が悪用されることはなくなり、依頼も達成されます。

NPC一覧


1.スカジ(妖精/女/????歳)
本シナリオの被害者にして元凶。はるか古代から強者を“恋人”にしてきた告白魔。なまじ強いためか誰も止められず、ある種の神や怪物として語り継がれて来た。気が強く、押しも強い、活気な印象を相手に与える。

2.ニエルド(蛮族/男/112歳)
ディガット山脈を爆破し、スカジを自らのものにしようとしている蛮族。元々はスカジの求婚を間に受け、単に付き合おうとしていたが、それが”氷像”にすることだと知って、命からがら逃げ出した。しかし落ち着いて考えてみると〈白銀の槍〉は欲しいし、美少女を組み伏せて妻として認めさせるのもまんざらではない。だから、大量のバルバカーグナーを用いて攻撃することを決めた。なお、これを知る部下からは嫌われている。
俺という一人称を使い、力強い断定系で喋る。

導入1.唐突な出会い

「あら!あなた良い男ね。それにとても強そう。私の恋人にならない?」
吹雪舞うディガット山脈、寒さから身を守るため木陰で休憩していた冒険者に白色の美少女が話かけてくる。いや、話かけてくるというのは語弊があるだろう。これは完全に告白だ。最近、ダイケホーンの外は危険で外出など許可されないはずだが・・・。

 以上の導入を読み上げて下さい。なお、回想シーンが後ほど入る、と前置きを置くことをオススメします。また美少女はスカジ(NPC1)です。男性PCがいれば男性PCに、いなければ前衛職のPCに話かけることを意識して下さい。対象が女性の場合「いい女ね」と冒頭を読み替えて下さい。
 スカジは少し会話をすると、以下のことを喋ります。

「そういえば!元恋人が最近しつこくて困っているの。報酬は後で支払うから、追い払うのに手を貸してくれない?」

依頼を受けるかどうか、という所で回想シーンへ突入して下さい。
なお、この段階で「スカディ(妖精)」であることは識別できません。
何故ここに居るのか、ということを確認させるシーンです。

回想シーン


冒険者達は依頼を受け、ダイケホーン族長の家で依頼の情報を確認している所から始まります。冒険者たちは火急の用件ということで、殆ど何も知らされずにダイケホーンまで来ました。

「ようこそ集まってくれた、冒険者殿。依頼というのは他でもない、今も聞こえる、この爆発を止めて欲しいのだ。」
そういうと何処から「ドカーン」と爆発音が聞こえてきます。
「うちの衛兵が発生場所は突き止めている。この地図を見てくれ」
「我々の伝承では、氷の女王が住むと言われる神聖な場所だ。何事もなければ良いが……」
そう言ってディガット山脈の地図を渡してきます。また防寒具も支給してくれます。以上を描写した後、スカジとの会話に戻って下さい。

導入2.スカジからの依頼

回想シーンが終わった後、スカジとの会話に戻って下さい。
「それでそれで。受けてくれるの?受けてくれるのね!ありがとう!それじゃあ元カレを迎え撃つ準備をするから私、お城に戻るね!!」
会話に応じる、応じないを問わずスカジは一方的に会話を行い、吹雪と共に消えてしまいます。冒険者として依頼を受けてもいいですし、受けないことにしても構いません。
どちらにせよ、導入シーンで受けた「ダイケホーンからの依頼」を達成させるように誘導しましょう。

スタート.針葉樹林

 さざめく寒波に木々が揺れる。
 ふと、耳を澄ませば何か、違和感を感じる。

 「聞き耳判定」を行わせて下さい。難易度は20です。成功した場合、Dの地点から、砲撃音がすることわかります。ここでの聞き耳判定は、蛮族が魔動機を射出する音です。爆盤の音でないことに留意して下さい。
また目標値16の天候予測判定によって、Aは吹雪が激しく、Bは吹雪が易しいことを判別できます。

A.木々の迷路

 針葉樹林を冒険者は進む。延々と続く同じ風景に方向感覚が狂っていく。強い吹雪が体温を奪う。方位磁石と地図はあるが、正しい道を進むことは困難かもしれない。

 最初に生命抵抗力判定を行わせて下さい。目標値は18です。失敗した場合「2d+20」点の魔法属性水・氷ダメージを与えて下さい。この効果は魔法や装備による無効を貫通します。
 「探索判定」を行わせて下さい。目標値は17です。失敗した場合メガロケロスの巣に迷い込んでしまいます。敵対の有無は腹具合によりますが、何もしなければ戦闘に突入して下さい。
 また「探索判定」に成功した場合、メガロケロスの情報を開示して下さい。この動物を殺してもスカジや森の機嫌を損ねることはない、と伝えて下さい。

B.雪降る平原

 この辺りは極めて雪が多い。だからだろうか、どうにも足跡が目立つ。何故?先ほど付けられたかのように真新しい。これは…?

 
最初に生命抵抗力判定を行わせて下さい。目標値は17です。失敗した場合最大HPを「10」減少させて下さい。この効果は魔法や装備による無効を貫通します。
 また「足跡追跡判定」を行うことができます。目標値は17です。成功した場合、オーガーとボルグ種の足跡であると分かります。またDの地点から、ドン、ドン、何かを射出する音が聞こえてきます。

C.断崖絶壁

 吹雪の中、進む冒険者は50mの断崖絶壁に遭遇する。ここを乗り切れば、直ぐに爆心地に到達できるはずだが……。

 冒険者たちは断崖絶壁へたどり着きます。危険感知判定を行わせてください。目標値は18です。失敗した場合、落石が冒険者に命中します。「2d+32」点物理ダメージを与えて下さい。
 もしこの崖を登るのであれば、ルールブックⅠ122頁を参考に、目標値10で判定させて下さい。なんら対策をしないのであれば、-12のペナルティを受けます。失敗した場合、落下ダメージを与えて下さい。
 飛行などを有している場合、判定は必要ありません。

D.蛮族の拠点

 雪の中、しっかりと残った轍の後。そして遠くに見える煙。
 間違いない、誰かがいる。それもかなりしっかりとした拠点だ。

このシーンはいわゆるチュートリアル戦闘です。PCたちのスペックを見ましょう。PCたちは木の柵に囲まれた蛮族の拠点を発見します。付近には砲撃の音が1分ごと響いており、戦闘前に魔法を詠唱しても気づかれません。
 また上空に浮遊するマリスバルバの軍団を確認できます。ここからゴール地点への道に沿って疎らに展開しており、彼らが爆発の原因であることは、魔物知識判定に成功すれば分かるでしょう。

襲撃するならば、すぐさま蛮族は対応してきます。また2ラウンド以上かかるのであれば、GMシーンを挟み、爆発や故障などで戦闘を終わらせて問題ありません。PL人数が3人ならマリスバルバを抜いて下さい。

敵前衛
オーガウォーロード×1(Ⅲ 347頁)
ボルグアサシネイター×1(Ⅱ 389頁)
マリスバルバ×2(Ⅲ 400頁)

敵後衛
バルバカーグナー×1(Ⅲ 401頁)

倒した後、妖精フラウ(Ⅱ442頁)が近づき、話かけてきます。
「あなた達がスカジ様が仰っていた、恋人候補ですか?」「魔剣の話も聞いています!!さぁ、来て下さい!!こんなに強いならもう安心ですね。」
以上のようなロールプレイをして、氷の城(ゴール)へ道案内させて下さい。また道すがら、山脈の向こうにマリスバルバの群れを描写して下さい。
これは空高くに打ち上げています。群れも止め処なく、壊しても壊しても新たなマリスバルバが飛んできます。

ゴール.氷の城

 元は美しかったであろう氷の城は、今や殆どが溶けていた。門も、尖塔も、城も爆発に曝され、破壊され、城の形を保っていられない。辛うじて、だろうか。僅かに残った玉座の間。そこにスカジは佇んでいた。

PC達はスカジに再度会うことが出来ます。ここで妖精使いは彼女がスカディ(Ⅲ421頁)であることを看破できます。魔物知識判定に成功した場合も同様です。

「は~、やっと来たわね!ちょっと遅いわよ!!」
「それで、依頼の報酬だけど、私の恋人になる権利♡・・・と魔剣をあげるわ!あぁ、心配しないで、貴方たちが死ねば剣は戻ってくるから、返却の心配はいらないわよ。」
 ここで冒険者たちがスカディに対して好戦的な対応を取った場合、スカディをボスとして戦闘を始めて下さい。彼女は冒険者たちを凍らせ、その遺体をコレクションにすることが吝かでは無いと考えています。
なお、彼女を倒した場合〈白銀の槍〉は溶けて無くなります。


一度ここで休憩を挟むと良いでしょう。もしくは日を分けて遊ぶとちょうど良いです。

3.クライマックス

スカジが話しを終えた直後、ドーンと一際大きな爆発音が響く。そして次の瞬間、城の壁を破りドラゴンと蛮族が襲来した「ははは!!スカジよ!氷像になるのはごめんだが、俺様が娶ってやる。ついでにその魔剣もいただこう!」そう叫びながら蛮族は迫ってくる。どうやら戦闘は避けられないようだ。

クライマックス戦闘です。スカディや他の妖精は、なだれ込んできた他蛮族への対応を行っています。魔物知識判定、戦闘準備の後に先制判定を行わせ、戦闘へ突入して下さい。

敵前衛
レッサードラゴン×1(Ⅱ 436頁)
ディアボロキャプテン×1(Ⅱ 352頁)
オーガウォーロード×4(Ⅲ 400頁)

*レッサードラゴンの頭部に剣の欠片を13個、ディアボロキャプテンに剣の欠片を18個を入れてください。

PLが3人の場合、オーガウォーロードは抜いて下さい。

無事に倒し終わると、静寂が訪れます。雑多な蛮族はスカディが全て氷付けにしており、この場所自体が美術品のようなものになっています。

「ありがとう!!新しい恋人として歓迎するわよ。冒険者さん♡」
スカジはそう言って〈白銀の槍〉を渡してくれます。恋人になることを否定すると、残念そうな顔をしながら引き下がります。恋人になることを肯定するなら即座に氷像にしてきます。

また一連の会話が終わると、荷造りをして去っていきます。
*あまりに破壊された&死体で穢れが貯まっているため、別の城を一から建て直す腹づもりです。

ダイケホーンに戻ると「こちらからも戦闘の光が見えたよ。よく頑張ってくれた。報酬はこれだ」と族長が出迎えてくれ、報酬を渡されます。
これにてシナリオ終了です。お疲れ様でした。

シナリオクリア報酬

報酬:1人21000G+戦利品

経験点:15000+魔物レベル合計+ピンゾロ分成長回数:1回
名誉点:(剣の欠片個数×1d6)
称号:「白銀の槍」(名誉点+100点)を与えて下さい。
また、スカディに加勢していた場合、以下のアイテムを得ます。
∮は魔法の武器の印です。

白銀の槍

あとがき

このシナリオは基本ルールブックだけで高レベル帯を遊ぶ、という目的で作成しました。蛮族は何でもよかったのですが、魔剣や妖精の話絡めるために雪山を舞台にしています。あと、書く前に遊んだ「琥珀の城」というシナリオの影響も……。
ともあれ、無料公開ソドワはこれで2作目です。
いいね、コメントなどとても励みになります。
では次回、3月20日をお楽しみに。

出所表示

 地図、トレーラー画像は、佐藤真裸氏がmidjourneyで作成、公開されたものです。


作者:DKP

以上

TRPG。中でも特に『捏造ミステリーTRPG赤と黒』が非常に好きです。