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滅びの前のシャングリラ感想


地球滅亡を前に4人の人間が各々の生き方を見つめ生きる意味を見つけていく。

短編のように読める書き方だった。

凪良ゆうさんは家族の形や家族愛をテーマに書かれていたが、今作でも新しい家族の形を表現してくれた。

相変わらず心の描写は丁寧でこちらの心を掴まれる文章。

読む年代を問わず読み手によって得られるもの見えるものは随分違ってくる印象でした。

同じ男性として江那友樹の自己成長に胸が熱くなりました。

いじめられてた最初と最後の方を比べてみたらまるで別人。

信士は自分の暴力を生業として人生コントロールしてきた不器用な生き方。

最期には良い父親になれてたのではないか。

地球滅亡という危機迫る状況の中で自分の価値観を見つめて気づいていく。

最期には望むものが手に入ったのではないだろうか。

友樹の「もう少し生きてみてもよかったと思っている」の言葉に生への執着が伺える。

この作品から現実に置き換えて、残りの人生の時間が多いか少ないかだけで読み手の生き方も問われているようです。

ギュッと凝縮された人間の輝きを描いた作品、強いエネルギーを受け取りました。


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