池波正太郎とフレッド・アステア、ジュディ・ガーランド。
著名な作家でもなかなか読む機会がない作家がいる。人によっては三島由紀夫の戯曲は舞台で鑑賞するが、本は読まない。川端康成は映画は見るが作品は読んだことがない。村上春樹も同様かもしれない。
私にとっては池波正太郎がそれである。『鬼平犯科帳』を数編と食に関するエッセイ数点に目を通したくらいで、基本、『鬼平犯科帳』、中村吉右衛門バージョンが大好きでテレビやDVDで鑑賞するくらいで熱心な読者とは言えない。後は『剣客商売』、『仕掛人・藤枝梅安』等であろうか。後はさいとう・たかをが描いたコミックにも随分お世話になった。小説よりもテレビ、漫画で池波正太郎を知る要素が多分にあったのである。
という訳でほとんど読んだことのない池波正太郎先生と突然接点が出来る。
暑い夏の日に仕事で外を歩いていたら、たまたま池波正太郎記念文庫が目に入ったのである。本や直筆原稿等の貴重な資料を保護する為であろうが、暗がりの館内はまさに宝の山である。
https://www.taitocity.net/tai-lib/ikenami/
台東区西浅草にあるというところが下町ぽくて素敵である。そして館内に入ると池波さんの膨大な著作、初版本、絵画、そして『鬼平犯科帳』の台本まで!そして、書斎が完全再現されている。(館内は写真撮影禁止の為、ネットから画像を一部拾いました)
ファンならば何時間滞在しても飽きない空間であろう。しかし、私が1番魅了されたのは池波正太郎のカセットテープコレクションである。
館内は撮影禁止の為、目視して確認できたタイトルを列挙してみたい。
『スタンリー・ブラック スクリーン・ゴールデン・アルバム』←カセットの背は活字
『フレッド・アステア ハリウッド黄金時代』←正規販売品。
『必殺仕掛人』←池波の自筆か?
『ジュリー・ロンドン全集』←池波の自筆か?
『カラヤン 展覧会の絵 /ボレロ』←正規販売品。
『唖の十蔵 鬼平犯科帳 その1』←池波の自筆か?
『1990 1.7(日)ラジオ図書館 盗法秘伝』←池波の自筆か?
『南太平洋 サラ・ヴォーン/マンディ・パティンキン』←正規販売品。
『キングOFスウィング ベニイ・グッドマン』←池波の自筆か?
『B・グッドマン カーネギーホール』←池波の自筆か?
『トニーベネット 2』←池波の自筆か?
『ジュディガーランド カーネギーホール』←池波の自筆か?
『ザ・F・アステアストーリー』←池波の自筆か?
この素晴らしいバリエーションのあるタイトル。池波は1923年1月25日台東区浅草の生まれ。1990年5月3日に急性白血病で亡くなる。
フレッド・アステアは1899年5月10日生まれ。語るまでもないハリウッドの大スターである。ジンジャー・ロジャースと共演していた時代は1930年代。池波少年は『トップ・ハット』、『有頂天時代』、青年期には戦後の『イースター・パレード』(ジュディ・ガーランドと共演)を胸を熱くして浅草の映画館で夢中に観ていたのだろうと興奮しながら想像してしまう。
ジュディ・ガーランドは1922年6月10日生まれ。池波正太郎とほぼ同年代である。『オズの魔法使』、『若草の頃』、『スタア誕生』を観ていたのだろう。そして、ジュディの屈指の名盤とされるカーネギーホールのテープがある。薬や貧困の中で名曲を歌い上げた名作でライブレコーディングの歴史に燦然と輝いている。
そして『南太平洋』。サラ・ヴォーンの迫力あるヴォーカルは私も大好きで魅了される。
私が好きなスターを愛し、時空を超えて好きな映画で繋がっていた池波正太郎。今度はじっくり作品を読んでみたい。
以下はサイトから引用。
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