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DJ式 外来の極意

他科の事情はわからないが整形外科は基本一人である。

大学などで各疾患や部位における身体所見の取り方や画像所見の読み方を学び、外病院で外来を始めるパターンが多い。その中でスキルを磨いていくわけだが、手術と違って外来は比較的早いうちから一人、なのだ。外来の同じ部屋に医者が二人いることはまずない。すなわち外来での先輩Drのスキル、というのはなかなか盗めないのだ。隣の部屋からする声でだいたいどんな話し方をしている、とかは推測できるが手術の時の様に一から十まで全てを観察できることはないのだ。なのでここではDJ式、外来の極意を記載して以降。極意というとなんか偉そうに聞こえるので外来のコツ、とでも言い換えようか。

まず大前提として「時間をかけてゆっくり患者の話を丁寧に話を聞いてくれる」のがいい外来、ではない。それはあくまでも患者の立場からだけの評価に過ぎない。勘違いしてはいけない。時間は有限だ。その中で最大限の効果を上げるのにはどうしたらいいか、今回の記事ではそこにスポットを当てていく。


★マルチタスクをこなせ

わかりやすくいえば聖徳太子だ。特に耳が大切だ。外来の際中、もちろん一番大切なのは目の前で診察をしている患者。そこに集中。しかし全集中ではいけない。診察室の外では看護師たちが様々な業務をしているのだ。それに耳、あるいは意識の何割かをおくようにするのだ。
・電話対応をしている声。相手は救急隊か?どこから来る? バイタルは?
・外で問診をとっている声。その愁訴は整形外科よりも先に内科じゃない?
・受付のクラークと初診に来た予約外患者がもめてるぞ??

などなど。そしてその中から急ぐものであったり律速段階になるものを優先してチョイスするのだ。地獄耳に近い。

逆にこれは外来看護師側も持っておくべきスキルだ。いわゆる自分の業務をこなしながら外来の部屋でドクターが何を話しているのかを常に意識する。患者に電話をしながらもう一つの耳では他の情報をとる習慣をつけるのだ。治療方針の決定は主治医によってなされるわけで、そこから全ての意志が発せられるのだ。


★患者への言葉使いは必ず丁寧語で

・こんなん当たり前やん!と思うかもしれないが、聞いているとちょいちょいタメ口の医者はいる。研修医で20代の頃は患者の多くは年上だと思うが、自分が年を重ねるにつれて自分よりも年下の患者がちょいちょい出ては来る。しかしそれでも必ず丁寧語で対応することを意識している。親しい間柄になってタメ口が許されるような場面もあるかもしれないが、絶対に丁寧語。タメ口で不快になることはあっても丁寧語でなることは絶対にないからだ。また、これの持つ意味は後ほど出てくる。


★他科には絶対にブーメランを投げるな

総合病院など複数の科を持つ病院では必ずと言っていいほど診療科どうしのいがみあいのようなものはある。Twitterの医クラでもその手の不平不満は非常によく見かける。自分のところへのコンサルトの仕方や他医で見逃された自分の科の疾患の文句など、挙げたらキリがない。このことで言えるのは一つだけ。

「どんなに相手に非があったとしても、他科には絶対にブーメランを投げるな」

だ。投げたら必ず帰ってくる。理不尽なこともあるだろう。失礼なこともあるだろう。でも、グッとこらえて冷静になれ。1日でも2日でも、ブーメランを投げる前に時間をあけろ。
振り返ってみれば大したことじゃないことが多いだろう?

例えば整形外科でいえば、他科ドクターが救急で見た患者が骨折を見逃されていた場合。それを後から見つけて初診医をdisるなど言語道断だ。自分が逆の立場になる可能性があることを想像しないのだろうか?自分が救急担当の時、軽い腹痛患者をお前が帰して後日腹膜炎になって帰ってきてないか?軽い動悸の患者を返してAMIになって帰ってきてないか?めまいの患者をメイロンで返して小脳梗塞の診断が後日ついていないか??

全力で初診医を守るのがお前の仕事だろう?

外来の時間を過ぎてからの他科からの依頼が来た?? そんなん、二つ返事で受けてやれよ。大した問題じゃないだろ??

手紙の中の自分への宛名が微妙に違う?? だから何? どーでもよくない??

どんなに相手がクソだったとしても、絶対に他科にブーメランを投げてはいけない。


★外来患者の来院した目的を察知しろ

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