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東京を拠点に最新のトランスを配信するレーベルAscent Recordings

2021年の秋。Ascent Recordingsというインディペンデントのクラブミュージックレーベルが新たに立ち上がりました。

筆者もTrance Family Japanというコミュニティーでのインタビューやレーベルパーティーの製作にかかわらせて頂いたのと、現在活動を共にすることが多いDJやアーティストがお世話になっているのでどんなレーベルなんかその魅力を伝える為の記事を書かせていただきました。


どんなレーベル?

Ascent Recordingsは東京を拠点に世界に向けて最新のTrance (ヨーロッパやアメリカでトレンドのUpliftingやProgressiveスタイルを中心としたトランスサウンド)を主に配信しているレーベルです。2021年9月にリリースされた最初のシングル "BioluminescenceはUKの人気トランスプロデューサーAndy MoorがRemixを手掛けており、この曲は人気コンピレーションシリーズ "In Search Of Sunrise"の最新作にも収録され、大きな話題となりました。


レーベルの関係者やアーティスト


2人のレーベル共同主催者のうちのDerek RyanはSean TyasのRegenerate RecordsやRaz NitzanのAmsterdam Trance Record、Suzy SolarのWe Are Trance、またMonsterやReduxといった人気トランスレーベルからリリースを重ねるアメリカ出身のDJ / アーティスト。

Ascent Recordingsからも既に2枚のシングルをリリースしており、美しいメロディーとアップリフティングスタイルのプロダクションを得意としています。

もう一人の主催者SachはProgressive Tranceを得意としており、好きなアーティストにArty (alpha9)やProffを挙げていますね。Sachがインタビューで答えたリリースのトラックを採用する際の基準というのは哲学的な部分もあり、一見の価値があります。

この両者がリリースを選定していることもあり、レーベルカラーとしてはUplifintgとProgressive系に強いという印象を受けますね。

https://www.ascentrecordings.com/

最新のリリースや情報はオフィシャルサイトからチェックできます。itunesやbeatport, spotifyなどへの各種音楽配信サービスなどもあり。


レーベル主催のパーティー

2021年12月24日(金)に新木場ageHaのBoxフロアでAscent Recordingsプレゼンツのパーティーが開催されます。12月24日当日に発売されるYuri (宇宙飛行士のユーリ・ガガーリンに着想を得た楽曲だそうです)のリリースパーティーとしてオリジナルアーティストのCodeswitchとRemixerのDominant Space, また日本のUplifting系の象徴的なDJであるPandoraなど国内外で活躍するDJ達が出演。私もサポートDJを務めさせていただきます。

ageHa全体の詳細はこちらから
https://iflyer.tv/Top101Producers2021/

インタビュー動画とテキスト

こちらではTrance Family Japanで取材させて頂き、2021年9月末に公開されたインタビューの動画とテキストの内容を掲載しています。

動画でもほぼ同じ内容で公開してありますが、文字の方が楽な方はこちらから。読み応えのある内容となっています。

-Ascent Recordings Interview-

interviewer: Nana Kato
Ascent Recordings : Derek, Sach

TFJ:本日はよろしくお願いします。

まずはレーベルの主催の一人であるDerek Ryanさんについてお聞かせください。Derekさんはこれまでに多くのレーベルから楽曲をリリースされていますね。

NoyzのオーナーMike Koglinは日本でもよく知られているDJですし、これまでに楽曲をリリースされてきたMonsterやRedux,RNMなどはいずれもトランスシーンにおいて人気の高いレーベルとして知られています。

多くのトランスDJやアーティストは興味がある事だと思いますが、これまでのDJやアーティスト活動について是非話をお聞かせください。

Derek: 今までの経緯の中で、色々あったんですが、次の3点が一番影響があったかな…

大学時代にDJ活動を始めて、San Franciscoのプログレシーンで大物だったLooq Recordsでインターンをしましたね。前からダンスミュージックが好きだったのですが、そこに入って始めて「ほんもの」の深みのあるサウンドに触れました。レコードの入荷があると、ディストリビューターへの配達を頼まれたことがあって、その度に、Bedrock、Platypus、Cyber Records、Hoojなどのレコードをくれていろんなサウンドを見つけられましたね。それがなければ恐らくは今はもっとポップスっぽいのを作曲していると思いますね。

後に、Echelon Recordsなどで最初のリリースを出してからは、自分もまだまだだなと思い、Mike Koglin (Noyzレーベルのオーナー)が教師になっていたトランスのオンライン授業に参加しました。そこで、いろんな人と知り合えましたね。Mike自身はもちろんですが、そのほかにFlynn & Denton (Say My Nameで後に知られるようになった)のDarren Flynnとも親友になれて一定の期間一緒にコラボしていました。彼と一緒に始めてMonsterからリリースが出来ました。

Derek: あと、僕にとって結構大きかったのが、長年憧れていたMelissa Kaplanと一緒にボーカルの曲を作れたことですね。彼女は昔Splashdownというバンドで活躍していて、僕がすごく聴きまくっていました。彼女のボーカルはインドとか、中東とか、ブルガリアの歌からも影響を取り入れてて彼女の声には他で全然みつからない神秘さがあって、本当にユニークです。やっと連絡を取れて依頼できてめちゃくちゃ嬉しかったです。今は何回か一緒に曲を出しているのですが、実は彼女の力あってこそRNMでリリースできました。今も新曲を一緒に作っているのですが、今でもボーカルパーツをもらうときは感動してます。

僕の経験から他のアーティストに伝えたいことがあるとしたら、一つ、音楽仲間、メンターなどを作ること。二つ、自分の憧れている人でも意外と身近な存在になれますよ、と。

TFJ:あなたがデモを送ったり、レーベルからオファーがあった制作を行う際に特に気を付けていることはございますか?

Derek: 最近僕はデモを送る前にマスタリングを依頼するようになりましたね。できるだけ最高の状態で曲をレーベルに聞いて欲しいので、コストは多少あるものの、結構有意義かと思います。その過程でマスタリングエンジニアとのやりとりもあり、自分の曲を他の観点から聞いてもらえて、ここを少し調整すればいいとか、事前にミックスに関してのフィードバックも貰えます。今はOutburst RecordsのMark Sherryを利用しています。

あと、レーベルのA&Rには数多くのデモが日々飛んでくるので、その中で返事がきたら、答えはノーであってもそれは自分の曲が群を抜いて返信するだけの価値があった、という意味にもなりますね。そしてノーが来ても、凹まない。前に進むことですね。一つのレーベルの趣味に合わなくてもダメってことにはなりませんからね。

-Ascent Recordingsについて-

TFJ : 今回レーベルを立ち上げられた事でDJやアーティストからデモを受け取る立場にもなられましたが、Ascent Recordingsでは採用にどういう基準を設けていますか? (求めているサウンドスタイル、レーベルの方針など)

Sach: This is hard for us as we both enjoy a wide range of electronic music, but Ascent's sound is very specific and we want to make sure we curate the sound carefully.

It's not about the number of releases, is about the quality and making sure they fit the label.

In terms of Criteria, we have broken it down into 4 elements: Melody, Drive, Journey and Depth

Melody

Melodics are the lifeblood of our label and what represents our sound.

Drive

Grooves and energy should have some 'gas' to them; our tracks have forward momentum and propulsion. This need not imply a particular BPM.

Journey

Ascent tracks tell a story and transport the listener to somewhere new, evolving along the way.

Depth

We aim not for the obvious or loud and punchy upfront sound, but rather for atmosphere and detailed environments.

In addition to that, we are looking to develop long term relationships with artists. So, in the end it's really two things. We are looking for tracks that meet this criteria, and we are looking for artists that we can both grow with over time.

TFJ : ありがとうございます!次にAscent Recordingsからのリリースについてお聞かせください。第一弾のDerekさんの新曲 "Bioluminescence"では RemixをAndy Moorが手掛けていて、この曲はIn Search Of Sunriseの最新作にも収録されていましたね。これらの素晴らしい事柄の実現はどのようにして実現されたのですか?

Derek: Andyの曲にはめっちゃ昔から憧れてきたのですが、初リリースのリミックスが彼じゃなきゃ、と思ったのは、実は東京でのイベントがきっかけでした。コロナ禍の直前に、AVA Recordingsが東京のWombでレーベルナイトを開催していて、そこでAndyに会えたのですが、彼のDJセットの途中でDaydream(Andyの曲)が流れててめちゃくちゃ感動しましたね。後に、その感動を思い出してリミックスを依頼するならAndyが一番だな、と思いました。彼と連絡をしたのは普通にFacebookでマネージャーの連絡先が載っていて、そのマネージャーを通じて依頼しました。そして彼のリミックスが本当に素晴らしくて、普段のスタイルとはかなり違うものの、すんごく深みがあるんですね。

In Search of Sunriseの収録は実はAndyによるもので、リミックス制作の途中で、Markus Schulzから連絡があり、出せる曲はないかと聞かれたときにAndyがそのリミックスを渡しました。もちろんレーベルにとっては最初からすごくいい展開ですが、何よりもAndyのミックスをできるだけ多くの人に聞いて欲しいので願ったり叶ったりです。

TFJ:レーベルとして現在気になっているアーティストはございますか?

Sach: 答え リストを絞るのは難しいですね。(笑) PROFFと何か出来れば大変嬉しいです。

後、最近オランドのOëshaを物凄く興味はありますね。

Derek: Upliftingの方でも、色々と興味のあるアーティストも多くいますね。日本人アーティストももちろんのこと、Rinalyさん、Dominant Spaceさんなどリリースできたら嬉しいですね。

あと、気になっているのが同じくサンフランシスコ出身のNiko Zographos、イタリアのAlessandra Ronconeなども。

TFJ:本日は様々なお話を聞かせていただきありがとうございました。最後に今後の活動などについて話せる内容で構いませんので是非お聞かせください!

Derek: これからもさっきSachが言ってた、レーベルの基準に沿っているならプログレッシブ、アップリフティング、そしてその間の曲にも力を入れたいと思います。ちょっと変わった味の、リスキーな曲もサインしたいです。

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