Who Started Brooklyn Drill ?

先日、HOT 97の看板DJの一人であるDJ Drewskiが、インスタライブにて「Who Started Brooklyn Drill(誰がBrooklyn Drillを始めたのか) 」という内容でBrooklyn Drillのパイオニア達(22Gz,Curly Savv, Bam Bino,Bleezy,Envy Cane,Rah Swish,Sheff G)にインタビューを行っていました。

Brooklyn Drillの起源は諸説ありまして、今までに色んなサイトを読み漁ってはその答えを探し求めてきました。そこで今回は、自分の中でのまとめも含め、改めて「Brooklyn Drillのパイオニアは誰なのか?」について考察したいと思います。


1. Drillとは?

まずDrillの概念をおさらいしたいのですが、wikipediaによるとDrillとは、「2010年初頭にシカゴのサウスサイドで始まったトラップミュージックのスタイルで、暗く、暴力的で、虚無主義的な叙情的な内容と、トラップの影響を受けた不吉なビートによって定義されたHIP HOPのサブジャンル」だそうです。

シカゴのプロデューサーDJ Lは、DrillをGangsta Rapだと定義しました。

DJ L「80年代後半のNWAと何ら変わらないよ。俺達は世界で最も過激で衝撃的なシットを持っていた。」

そしてBrooklyn Drillとは「Trap、Chicago Drill、UK Drill(GrimeとDubstepの影響をもたらしたもの)を組み合わせたもの」だそうです(wikipedia参照)。

22GzはBrooklyn Drillの定義を、「UKビーツ(UK Drillのプロデューサーの音って意味だと思います)、ブルックリンのバイブス、そしてブルックリンについてのリリックが乗る事だ」と、Drewskiのインタビューで語っています。


2. Brooklyn Drillのパイオニアは誰なのか?

次に、諸説あると言った Brooklyn Drillのパイオニアについて、その候補となる人物と曲をフォーカスしたいと思います。

① GS9

wikipediaによると、Brooklyn DrillのパイオニアはBobby ShmurdaやRowdy Rebel等、つまりGS9なんだそうです。そしてBobbyの大ヒットシングル "Hot N*gga" が、Brooklyn Drillの起源だと提唱しています。ちなみにGS9はWoo派閥のギャングチームです。


② NBA Swish Gang

DrewskiのインタビューでBam BinoやRah Swish等は、NBA Swish Gang(Woo派閥)に所属するDah Dahが2015年にリリースした "Gang Gang Gang" が、Brooklynにおける一番最初のDrillミュージックだったと証言しています(後にCurly Savv & Dah Dahのユニットで2018年にリリースされた「1st Quarter」に収録)。

当時ストリートで最も話題となった曲の一つだそうで、"Gang Gang Gang" のヒットを機に、NBA Swish Gang一派は手の届かない存在(つまりスター)になっていったんだとか。

この曲を手掛けたのは、Will Hansfordというニュージャージー出身のプロデューサー。

現在物議を醸している大ヒットシングル、Whoopty / CJ と同ネタの "Exposing Me" を手掛けた事でも有名です。


③ GMGB

Sparkyの「Pioneers of Brooklyn Drill」という記事によると、ニュージャージー出身のGMGBは、 "No Letting Up Pt. 2" という曲で東海岸にDrillを広める事に成功したそうです。

この曲を手掛けているのは、数多くのBrooklyn Drillクラシックを生み出しているYamaica。

Pop SmokeがYamaicaのトラックを使用する遥か前から彼と携わっていて、2015年は東海岸のドリルシーンでこの曲が話題の中心だったそうです。近年TikTokで人気が再燃したんだとか。


④ 22Gz

2016年、まだ無名に等しかった22Gzは、YoutubeでAXL Beatsの「 "Hop Out" Drill Type Beat」を見つけこれを違法ダウンロードし、NBA Swish Gangへの憎しみを込めた "Suburban" を作り上げました。

WooとChoのビーフの加熱に比例して大ヒットとなり、またMVで22が披露しているダンス(Blixky Twirl)がストリートで大人気となりました。

この曲がBrooklyn Drillで最も重要な曲だと、Sparkyの記事には書かれています。


3. まとめ

いかがだったでしょうか?ここからは個人的見解を交えたまとめに入りたいと思います。

まず自分の見解としては、22の掲げるBrooklyn Drillの定義に賛同しています。というのも、Brooklyn Drillが新しいサブジャンルとして確立している背景に、USとUKの融合があるからだと感じているからなんです。ただDrillというのは概念(Gangsta Rap)を指す言葉なので、ブルックリンのギャングが始めた音楽という意味で考えるのなら、Bobbyを筆頭としたGS9をBrooklyn Drillのパイオニアとして捉える事には納得しています。しかし22もインタビューで言っている通り、 "Hot N*gga" はJahlil Beats(ペンシルバニア出身)のトラックなので22の掲げるBrooklyn Drillの定義には当てはまらなくなります。

ではDah Dahの "Gang Gang Gang" はどうか?音は間違い無くUK Drillサウンドですが、プロデューサーのWill HansfordはNJ出身なのでこれもまた当てはまらなくなります。

"No Letting Up Pt. 2" はプロデューサーがYamaicaですが、GMGBの出身はNJなのでこちらも当てはまらない。

そう考えるとやはり、Brooklyn Drillのパイオニアと言うのは22Gzだと自分は位置付けています。今までのBrooklynに全く無かったサウンドを取り入れた事が面白くて新しい、だからここまでBrooklyn Drillが広まったんだと思っているし、自分がのめり込んだ理由もそこです。また22やPopが広めた彼等独自のダンスが曲に合わさった事も、Brooklyn Drillの人気に一役買っていると思います。

長々と書いてきましたが、正直誰がパイオニアなのかを決めるのはBrooklynで実際にサバイブしている当事者達であって、部外者である自分がこの件に関して議論する事自体不毛な訳です。ただドリオタを名乗る以上、諸説あるBrooklyn Drillの起源については一度触れるべきだと思ったので今回の記事を書きました。自分のようにあまり深く考える事はせず、純粋にこのムーブメントを楽しんでもらえれば幸いです。もしかしたらその内消すかも。


DJ MoB

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Brooklyn Drill Mixtape -Mixky The Moo vol.2- on Mixcloud





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