No Suburban -Sheff G-

以前22Gzの特集をやりましたが、そう言えばSheff Gについてまだ書いてなかったなぁと思ったので、今回はBrooklyn Drillのもう一人のGod Fatherとしてリスペクトを集めるSheff Gについて特集したいと思います。

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本名マイケルウィリアムス。1998年生まれの22歳。ハイチとトリニダードの血を引いた(ブルックリンにはハイチ移民がCrown Heightsでコミュニティを形成している関係で、多数のハイチ移民が住んでいます)カリビアンの家庭で育ちました。

Sheffの家ではSoca(カリブ音楽)がいつも流れていたそうですが、ハードなライフスタイルを送っていた彼にはSocaは響かなかったんだとか。代わりにSheffが夢中になっていた音楽は、2010年代に聴き始めたChief KeefやLil Durk等Chicago Drillでした。

特にSheffが影響を受けたのは、G Herboが2012年にリリースした "Kill Shit" だそうです。

Sheff「Kill Shitが俺にとって初めてこの人生が特別なものじゃないと思わせてくれたのを覚えてるよ。こいつらもシカゴで俺達と同じような事を経験してるんだな、俺もこんな曲を作りたい、そう思ったんだ。」

シカゴとブルックリンの生活に共通点を見出したSheffは、Drillの魂と情熱を自分の音楽に投影し始めます。Chicago Drillに出会う前からラップはしていたそうですが、人気も無くフリースタイルをするのみだったそうです。しかしスタジオとのコネクションが生まれ頻繁に通い出したSheffは、徐々に周りからその存在を知られていくようになりました。

そして2017年、初めてリリースしたレコーディング作品 "No Suburban" がいきなり大ヒットを記録。

この曲は、2016年に22Gzがリリースした代表曲 "Suburban" のアンサーソングとしてあまりに有名です。

"Suburban" では「黒のサバーバンで駆け付けてぶっ殺す」とラップしていたのに対して、 "No Suburban" では「俺はサバーバンなんて使わない。歩いて近付いて直接ぶっ殺す」とラップしています。

「Blixky Da Blixky -22Gz-」の記事でも触れたように、22はCho派閥のBlixky Gangに所属しているのに対し、SheffはWoo派閥のMovin Gangに所属しています。そして当然ながら両者は敵対し合っています。

"No Suburban" の大ヒットで全てが変わったというSheff。しかしせっかくキャリアを掴んだにも関わらず、ギャングとのいざこざから曲のリリースどころかSNSの更新までできなくなってしまったと言います。

「俺は当時十代の子供で何も分かってなかった。悪い奴らと一緒にいたんだ。何も話してはいけず、6カ月間曲を作ってもいけず、SNSも禁止だった。ファンたちは俺が消えたと思っていたのが辛かった。俺は曲を作りたかった。」

"謹慎期間" が明けたSheffは、 "Panic Part2" で復活を果たしました。

このPanicシリーズはpt4までリリースされ、そのどれもに盟友Sleepy Hallowが参加しています(現在は "Don't Panic" シリーズがスタートしていますw)。

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完全復活を果たした Sheffは、2019年に自身初のMixtape「THE UNLUCCY KID」をリリース。

このミクステからは、太田裕美さんの "赤いハイヒール" をScrewdサンプリングした "We Getting Money" と、Sleepy Hallowを迎えた "Flows" が大ヒットしました。

そして今年5月、満を持してフルアルバム「One and Only」をリリース(諸説ではミクステとも言われています)。

このアルバムには、"No Suburban, Pt.2" が収録され、Sheff自身最大のヒットチューンとなりました。

作品の評価、ヒットの功績が讃えられ、今年8月にはSleepy Hallowと共にRCA傘下のWinners Circle Entertainmentと正式にサインを交わし、晴れてメジャーアーティストの仲間入りを果たしました。

その後もEP「Just 4 Yall」や、Sleepy Hallowとのコラボ "Tip Toe" をリリースする等、精力的な活動を続けるSheff G。

そんなSheffは、インタビューの最後にこう語っています。

「ブルックリンの素晴らしさにまだ皆が気付いていない。ブルックリンは俺にとって長い間世界そのものだったんだ。だけど今や俺はもっとでかい世界を知っている。ほんの数年前まで、俺にはなにもなかった。だからフッドの中でリスペクトされればそれで満足だった。でも今はもっとでかく物事を見ていて、みんなにDrillフィーリングを味あわせたいと思っている。」


Brooklyn DrillのGod Fatherとして揺るぎない地位を得たSheff G。これからもSleepy Hallowと共にDrillシーンを牽引してくれる事でしょう。今後のSheff Gの活躍に要注目です。


DJ MoB

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Brooklyn Drill Mixtape -Mixky The Moo- on Mixcloud



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