Pop Smoke Meet The 50 Cent

遂に出ましたね、Pop Smokeの遺作アルバム。

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当初6月リリース予定だったこのデビューアルバム(Meet The WooシリーズはMixtape扱い)は、BLM(Black Lives Matter)運動に考慮し延期となっていたものの、先日7/3に無事リリースの運びとなりました。

エグゼクティブプロデューサーには50centが就任。実はPopは生前、50のファンである事をインタビューで公言していました。

50から多くの影響を受け、一緒に仕事をする事を心から願っていたPop。そこで今回は、Popにとって50がどういう存在だったのかまとめてみようと思います。


1. 憧れとしての50 Cent

Popの50好きは作品にも顕著に現れています。彼の1st Mixtape「Meet The Woo」に収録されている"PTSD"は、「50がラップしてるの?」と錯覚してしまう程。

「Shoot for the Stars Aim for the Moon」では、更に50愛が色濃く反映されています。

"The Woo"では、50の2005年のヒットチューン”Candy Shop”のライン「I'll take you to the candy shop」を引用。

”Got It on Me”では、50のデビューアルバム「 Get Rich Or Die Tryin’」に収録されている”Many Men"のフック部分をまんま拝借。


個人的な見解では、オリジナルのフロウと50に寄せたフロウを、曲によって使い分けてるという印象です。50をまんま真似るではなく、飽くまで表現方法の一つとして取り入れているというのがPopの凄さなのだと思ってます。


2. メンターとしての50 Cent

Popは生前、彼のマネージャーと共に50のスタジオに訪れていたそうです。その際、取り掛かっている最中のアルバム(Shoot The〜の事)を50に聞かせていたとか。

50は、Popと交流を重ねていく内に彼が様々なトラブルを抱えている事に気付きます。このままの状況が続けば、死ぬか刑務所に行くかどちらかの道を確実に歩む事になると予見した50は、まず銃で争う事を止めるよう説得しました。「お前の今までの人生と周りの人々の為に必要な事だっていうのは俺も分かってる。それでもこれはやめなくちゃいけない」と。

また50は、争いを止める事だけでなく彼に新たな道を提示します。それは、”自分と同じようになる"事。

「俺は30ミリオンのレコードを売って、金持ちで、映画も作ってる。どんな大物とだって話せる。何でもできるのさ。そしてお前もできるんだ」と、Popを勇気付けました。

50はPopのスター性を誰よりも見抜いていました。だからこそ、ギャング間の抗争で命を落とすような道を歩ませたくなかったんだと思います。

機材トラブルにも一切動じず、最後まで会場を沸かすその姿は正にカリスマそのもの。MigosのQuavoも、「新人とは思えない。業界に3年以上いるような存在感」と評価していました。

謙虚で知られるPopは、メンターである50の助言を素直に受け入れていたようで、Youtubeには俳優のオーディションを受けるPopの姿が見受けられます。

未知なる可能性を秘めた若い才能。しかし50の助言も虚しく、今年2月ハリウッドヒルズの自宅にて黒のフードを被った二人組に襲撃され、そのまま帰らぬ人となってしまいました。享年20歳。奇しくもXXX TentacionやLil Peep、Juice Wrld等と同様、The 21 Club(21歳を越えることが出来ずに死んでしまう人達の総称)から抜け出す事ができませんでした。

Popの死について「強盗目的」「敵対するギャングの報復」「仲間からの裏切り」等、様々な憶測が飛び交うも未だ真相は闇の中。そんな中リリースされた遺作アルバムは、客演にQuavo、DaBaby、Lil Baby、Swae Lee、Roddy Ricch、Tyga、プロデューサーに808 Melo、Yamaica、CashMoneyAP、Mustardという超豪華布陣。Trapあり、歌モノあり、2000年代ネタあり、Brooklyn Drillありと、非常にバラエティに富んだ内容に仕上がっています。

当初起用予定だったVirgil Abloh(Off-Whiteのデザイナー)のアートワークが不評過ぎて、急遽差し替えが発表されるというアクシデントも重なり、リリース前から高い注目を集めていた本作は、Apple Musicのトップチャート上位21曲に19曲全てがランクイン。Billboardのアルバムチャートでも1位になる見込みだとか。

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Brooklyn Drillの枠に囚われる事なく様々なサウンドにチャレンジしたこの意欲作、是非通して聞いてみて欲しいです。

ちなみに、Woo(Popが所属するギャングチーム)の面子をFeatしたデラックス版が近々リリース予定だそうなので、「もっとBrooklyn Drillを堪能したい!」と思った人はこちらもチェックを。

R.I.P Pop Smoke

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DJ MoB

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Brooklyn Drill Mixtape -Mixky The Moo- on Mixcloud















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