10代のころから哲学、という言葉の響き(音感)に、漠然と惹かれる自分がいた。どれぐらい惹かれていたかというと、高校の社会科選択科目で迷わず「倫理/政経」を選んだ程度にだ(そう。大したことはなかった) 日本史や世界史にくらべてあからさまに人気がなく、おじいちゃん先生が繰り広げるけだるい午後の「アキレスと亀」の話に、夏の教室の時空はゆがみ、生徒の99%が深い眠りについていた記憶だけが今も鮮明にまぶたに浮かぶ。 「アキレスは亀に追いつけない」 俗にいう"ゼノンのパラドックス"