マガジンのカバー画像

【MOVIE】映画の感想

27
映画の感想や考察
運営しているクリエイター

#レビュー

【感想】市子 ※ネタバレあり

良質な作品を観た後は言葉よりも感覚がじんわりと自分の中に残る。市子もそういった作品だった。 ミステリーのように謎がなんなのかを気にしながら見ているつもりが様々な者から観た市子像に自然にスポットライトが当たるように構成されており、市子の謎を追っているつもりが気づいたら彼女自身の実像を追いかけている秀逸な構成。 冒頭のシーン、市子が汗を垂らしながら歩く姿のままならなさ。その存在感に一気に引きこまれる。真夏の海から真っ黒な服を着た市子が歩いてくる。 少し猫背のようにも見える首

「おもちゃを大切にする物語」から「おもちゃの人生を尊重する物語」へ 【トイ・ストーリー4】 ※後半ネタバレあり

トイ・ストーリーにおける「ストーリー」とは何か本作の感想を書くにあたってまずは、「トイ・ストーリー」という題名が現すストーリーとは何かについて考えてみた。 トイ・ストーリーが現すストーリーとは「人とおもちゃたちとのストーリー」だろう。 トイ・ストーリー4のキャッチコピーは、あなたはまだ─本当の「トイ・ストーリー」を知らない。だ。トイ・ストーリー4は今までのストーリーとは明確に描きたいストーリーが異なる。トイ・ストーリー4が描くストーリーは「おもちゃの人生というストーリー」

『海獣の子供』は全宇宙の生命を肯定する

予告編を観た瞬間から、映像!半端ない!!米津の歌やばい!!!なんだこの体感したことのない超感覚は!しかも久石譲!芦田愛菜!絶対観る...! となっていた怪獣の子供をやっと観てきた。 まずは、予告編を観てみてください。 少しでも多くの人に興味をもってもらって映画館に足を運んでもらいたい一心でネタバレなしで感想を書きました。少しでも興味をもってくれた方はぜひ映画を観てみてください。まだギリギリ間に合います。尚、映画の神々しさに飲み込まれ一部スピリチュアルな内容の感想となってい

【感想】かぐや姫の物語 - 人間への全力の愛で、人間と人生を全肯定した国宝級の名作。

国宝的作品日本最古の物語と言われている竹取物語。正に国宝級作品である。それを日本が誇る、いや人類が誇るアニメスタジオのスタジオジブリが10年近くの時間と、50億ものお金と、人間離れした過酷な作業を経て、リメイクして素晴らしい作品にならないはずがない。このく品も文句なしの国宝である。時間もお金もスタッフもすごいけど、実際の所はそんなロジックで語るのは野暮である。どれだけ時間もお金もかけてもできないものがある。それを形にしてしまった。途方もない。 観終わった直後の感想完全に圧倒