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【MOVIE】映画の感想

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映画の感想や考察
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#感想

【感想】市子 ※ネタバレあり

良質な作品を観た後は言葉よりも感覚がじんわりと自分の中に残る。市子もそういった作品だった。 ミステリーのように謎がなんなのかを気にしながら見ているつもりが様々な者から観た市子像に自然にスポットライトが当たるように構成されており、市子の謎を追っているつもりが気づいたら彼女自身の実像を追いかけている秀逸な構成。 冒頭のシーン、市子が汗を垂らしながら歩く姿のままならなさ。その存在感に一気に引きこまれる。真夏の海から真っ黒な服を着た市子が歩いてくる。 少し猫背のようにも見える首

【感想】マチネの終わりに - まるで音楽のような人生を ※ネタバレあり

「マチネの終わりに」を観てきた。普段は感動したりドンピシャで良いと思った映画しか感想を書かないのだけれど、賛否両論で色んな意見がある映画なので自分なりに思ったことを書くと面白そうだなと思い感想を書いてみることにした。 書き終えてみて。咀嚼すると色んな味が出てくる映画だった。とても音楽的な映画だった。 「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。」本作のキーのメッセージだ。このメッセージが良いなって思ったのが映画を観に行っ

「おもちゃを大切にする物語」から「おもちゃの人生を尊重する物語」へ 【トイ・ストーリー4】 ※後半ネタバレあり

トイ・ストーリーにおける「ストーリー」とは何か本作の感想を書くにあたってまずは、「トイ・ストーリー」という題名が現すストーリーとは何かについて考えてみた。 トイ・ストーリーが現すストーリーとは「人とおもちゃたちとのストーリー」だろう。 トイ・ストーリー4のキャッチコピーは、あなたはまだ─本当の「トイ・ストーリー」を知らない。だ。トイ・ストーリー4は今までのストーリーとは明確に描きたいストーリーが異なる。トイ・ストーリー4が描くストーリーは「おもちゃの人生というストーリー」

『海獣の子供』は全宇宙の生命を肯定する

予告編を観た瞬間から、映像!半端ない!!米津の歌やばい!!!なんだこの体感したことのない超感覚は!しかも久石譲!芦田愛菜!絶対観る...! となっていた怪獣の子供をやっと観てきた。 まずは、予告編を観てみてください。 少しでも多くの人に興味をもってもらって映画館に足を運んでもらいたい一心でネタバレなしで感想を書きました。少しでも興味をもってくれた方はぜひ映画を観てみてください。まだギリギリ間に合います。尚、映画の神々しさに飲み込まれ一部スピリチュアルな内容の感想となってい

こんな世界だからこそ『天気の子』は正解よりも愛を叫ぶ

平日の夜に1人で足を運んだ近所の映画館、200人のキャパに対して20人くらいのお客さん。もうすぐ日付もまわる頃、映画のラストシーン、RADWIMPSの「大丈夫」を聴きながら「やられた...」と映画館の暗闇の中で僕は一人打ちひしがれていた。新海誠から未来を問われている感覚がした。 このnoteでは僕が天気の子から受けとったメッセージをつづっていきます。 ※本編のネタバレを含みます。 沈みいく東京が現すもの天気の子を観てまず印象的だったのが作中に流れる諦観した空気感だった。

【感想】火花

Netflixドラマ版の火花を観た。本当に傑作だった。観れてよかった。 経験まるで2人の人生を、時分自身が歩んだように錯覚する。 人生において、経験したことは心の片隅に積もっていって、時にそれが自分の糧になったり、恐怖になったりする。それが経験というやつだ。 この作品は、単に物語に触れたいう記憶でなく、まるで経験かのように自分の中に入り込んでくる。 理想と現実圧倒的な才能と凡才の自分。その差の間で何度だって苦しむ。 評価されるためには自分の理想のまんまではいられない