読書の時間


時はしんとしている
チョコクロの食べかすがぼろぼろと落ちても
電子書籍のボタンを逆に押していて

批評性など微塵もない

活字の逸楽は損なわれることがない
日の光に詩が発生している
今日は、こんなに気分がいい
およそ45分の滞在

むこうからマネキンが歩いてくる
それはぶつからない

イヤフォンの向こうで終礼の合図のように
ざわめく音を聴くとき

コートを羽織って
サンマルクカフェの二階をあとにする

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