金融・資本・給与に対する考えのまとめ書き Part3

金融指標を見る

自分がよくチェックする内容としてInvesting.comのアプリで経済指標カレンダーというものをチェックします。
そこにおいて、毎日発表される経済指標のリリースをチェックするわけですが、その内容において自分が気になる内容がありました。
それは「貸出動向」と「家計消費」です。

まず「貸出動向」から見てみます。
貸出動向のグラフを見てみるとこのようになっています。

貸出動向の動向のグラフ

このグラフを見ると、2022年の7月から上昇に転じ、2023年の上半期から3%ずつ上昇しているということになります。少しずつ人々が借りる行動を取り始めているということになるでしょう(この貸出動向は金融機関向けと中央政府向けの貸出は含まれないとなると、企業に対する融資や家計に対する融資を対象にした内容と言えるでしょう)。

以前の自分の書いた内容に従うと、個人の活動においては貸出を利用する分それは消費や資産の形成・貯蓄に回っているということになります。

一方で、「家計消費」のグラフを見てみるとこうなります。

家計消費の動向のグラフ

人々がクレジットの利用などで負債を利用しつつも、それを消費や資産の形成に使っているというのならば、直接的な消費や資産を元手にした消費が盛り上がる可能性だってあるでしょう。
しかし、実際の家計の消費動向は貸出動向ほど盛り上がりません。人々が直接消費に乗り出したり、資産を形成できているとするならば、その内容に対して消費に使うことが出来る。これは「±0」という形で自分が繰り返し述べてきた内容でした。しかし、実際はそうではないと言えるでしょう。

この2つのデータからは家計が借りているが消費が盛り上がらずその効果が資産形成や貯蓄に回っている、もしくは借りているのは企業などであって家計自体は資金の借り出しをそもそも利用しておらずそのため消費が盛り上がらないということのいずれかが言えるでしょう。

※より細かく絞って、家計向けの貸出の内訳はないだろうか探してみたところ、「参考図表 2024年第1四半期の資金循環 (速報)」においてその内容がありました。
毎年前年比2%位で推移しつつも、直近の3期分において3%台に推移しているようです。

「参考図表 2024年第1四半期の資金循環 (速報)」より

キャンペーンの存在

先日とあるDMがカード会社から届きました。
キャッシングリボ払いのお支払いコースのリニューアルについてのお知らせでした。2024年7月31日にリニューアルするようです。
現状ではお金を借りると、その返済のペースは、ご利用可能額によりますが、5000円が最低額でした。
しかし、今回のお知らせによると、より低いお支払い元金のコースが設定され3000円や2000円からの最低お支払料金を設定できるという変更がなされました。

こうした変更はキャッシングリボ払いだけではなく、今年の4月1日に三井住友カードに関する内容であとから分割払いの適用額を10000円から5000円以上の買い物に対しても適用するように、そして分割払いの回数のバリエーションも増えてリニューアルされました。

また、クレジットの分割払いを利用していると最近目にしているのが、分割払いの手数料のキャッシュバック・還元キャンペーンです。
これはある時期から毎月見かけるような内容になりました。
それは一体いつからでしょうか?
auPAYカードでは2023年8月のキャンペーンが見つかりそこからほぼ毎月のようにお知らせが届いていますし、楽天カードでは2022年の3月には3・5・6回払い対象の分割手数料還元キャンペーンがあり、現在においてはその対象は広がっています。

最近でも分割払いに対していろいろなキャンペーンが発動しており、
これを見るに一人の人が先んじて多額を借りると言うよりは、いろんな人に対して「皆さんこうしたサービスを利用してお買い物してみませんか?」というように広く呼びかけているように見えます。

こうした変更を見てみると、金融業界全体が人々にお金を借りやすくする仕組みを整えていると考えても良いと自分は考えます。

自分の体験では、2023年の10~11月にTOTALの分割払いのご利用枠が60万円分ほど減らされたことがありました。カードを作成する度に枠を得ていて、この機会で持って法律で定められた割賦枠の額に厳格に収められたわけですが、今までだったらその枠の額を超えて枠があったにもかかわらずそれが消えてしまったことを受けて、その時に自分は潮目が変わったのではないかと感じました。
もう貸出は十分であり、これからは大量に手元に残っている現金をどのように動かしていくかのフェーズに入ったと捉えました。
そのあと、金利は上昇していき、2024年3月にはマイナス金利政策の撤廃というニュースが入ります。現在では金利の状況は1%を超えています。
現在、日本は円安の状況が続いていますが、この円安は「今存在している現金をどう動かすか」というテーマへ移行していっていると思います。
先についての見通しが金利上昇によって立ったとはいえ、今現在の現金がうごかなければ今において状況は変わらないでしょう。

円安の原因

円安の原因として、日本に資金が集まっているか・日本における現金の「使いたい」という需要が少ないあるいは低いかという2点から見ています。

日本に資金が集まっていることについては「外国人投資家のお金が日本株に集まっている」というニュースがありました。
その一方で、日本の投資参加者は世界株の投資信託にお金を預けています(「オール・カントリー」「S&P 500=米国株式指数」が良い例だと思います)。

根本的な原因としては、「日本人が日本に投資をしない」・日本人が日本の商品にお金を使わないということがメインと思います。
世界が日本に投資をすることで日本人の資産額が上昇したとして、ではそれを何に使うのか?皆さん貯金と言った蓄えのために使っておりますが、それはある意味ではあなたに集まっている購買の権利をそのまま使わずにいるような状態であるでしょう。
これも日本に海外からお金が集まっていてもそれがそのまま円の購買活動による通流につながらず、円安が進行している原因になります。
手元にお金があってもそれを海外の資産に対して預けてしまう。それはそれでいいとして、海外の資産が良い状態になって手持ちの扱えるお金の額が上がってもそれを購買活動に投入しない。ダブルの意味で日本人は日本の【今】や【将来】に投資をしていない。

世界が「日本この先あるぞ!」という判断をして投資が生まれることでお金の猶予領域は広がっているわけです。使えるお金の限界域 Limited は広がっています。しかし、日本の人はというと「お金が無い」という理由から積極的に消費をしようとしません。猶予領域は広がっているのに、実際の商品とお金の交流は盛り上がっていない。
思えば、アベノミクスと呼ばれる金融経済政策は国債を日銀が金融機関から買い入れることによって量的に現金を増加させ、しかもそれをマイナス金利という名目で行う(=現金を保有する金融機関からマイナス金利分お金を取り上げる)ということを行いました。
本来、現金は商品が生産され購入契約により商品と交換されることで実績として記録されます。しかし、自分が見るに、アベノミクスはそれを国債との購入関係でやったということではないでしょうか。
それはどういうことかというと、将来の実績を元手に現在に現金を持って来るという手法であります。将来までの期間において商品の生産によって発生しうる付加価値を現在に持ってくるということです。商品の生産や購買に至るまでの一連のプロセスを介して行われるはずだった価値創造を国債との購入関係で行ったということです。

この約束してしまった額分が将来の時点において履行されないと日本は大変なことになります。よって、そのために労働者にお金を回さずに資本と株と配当益による安定した成長戦略を現在実行していると言えます(これはPart2で詳しく書きました)。

解決策としては「欲しいものを買いなさい」という再三繰り返し述べてきた内容を各個人が実行するとよいということになります。
それを別の言葉で言い換えるならば、「資産に対する借金」・「株式会社の活動の個人活動化」という前回の記事で書いた内容になるでしょう。
年を取ってから本を読んでも気力が持たないかもしれない。欲しかったあの服は今度は手に入らないかもしれない。あの機器・あの商品・あの設備などなどそうした事をお金がないということで諦めるのではなく【今にお金を使う】ことで脱出する。
受け取った商品を生かして、それで得た成果は自分の活動を通して社会に返していけばいい。まずあなたが活動するための何かを先に得ることが重要だ、という話になります(もしかしたら「リスキリング」の話題もここに含まれるのかもしれないです)。
その消費の場面においてあなたが最大限にその購買を進めるためのレバレッジ(てこ)となりうるものが、収入額と資産額です。
収入はあなたが安定した仕事を持っていて、そして長く勤続することが出来ているなら、あなたはクレジットにおける信用を手にしていることになりますし、あなたが固定した資産を持っているのならば、あなたはその分だけ手持ちの資産を崩すこと無くそれと同じ額をクレジットという手段を通じて購買や消費に用いることが出来ます。
この部分については今まで繰り返し述べてきたことです。
マルクスは、「上部構造は下部構造に規定される」という言葉で、生産様式やシステムが個人の活動を規定するとしましたが、それに対して、個人の活動が社会の有り様を決定するというものの見方でしょうか。
1人1人がミクロに「欲しいものを買う」という欲に沿った行動を実践することで構造が変化する、というのが自分の考えです。
今でも魅力的な商品はあふれるほどあるはずなのですが、そこに対してあらゆる人は積極的に見向きしないのです。

日銀の最新ニュース

先ほど、日銀が国債の買い入れ額を減少させる・具体的内容を7月に決定するということがニュースになっていました。
国債の買い入れ額を減らすということは、市場に投入する現金額を減らすということになります。
おそらく、日銀は、市場に流れるお金が十分に通流しきっていない=景気がよくならない・消費が盛り上がっていないからお金の総量の状況はその消費の状況と乖離する一方である、ということを判断したのでしょう。
商品の値段が上がっていることは、そのままの意味で見ると直接にお金を扱う額が増えるということでもあり、それは現金をアクティベートするためにされているある種の前段階とも言えるでしょう。
これをさらに進めるためには、円安の流れに抗うほどの消費の動きが無ければいけないと考えており、この国債の買い入れ額の減少のニュースはそのアクティベートへの動きへの働きかけと言えるでしょう。

あとがきとして

自分がこのような内容を残さなくても、日銀のこの動き以降の流れによって徐々に経済状態が是正されると思います。つまりは、日銀は良いことをしていると評価しているわけです。
しかし、この記事でどういう風に状況が変わるか?とも思えますし、この内容で経済状況が悪くなるようなら自分のやってきたことやここやXのポストにおいて残してきた経済的あらゆるは失敗だったということになり、そのツケは自分で払うしかなくなるでしょう。
自分の経済的スキルはというと、マルクスの『資本論』の本人執筆部(第1巻)を流れを切らずに追跡して読み進めることができたくらいで、それについては漢数字をきちんと追跡していって読むことが出来たという自負があります。
その続きである『資本論』第2巻・第3巻を読み終えることは叶いませんでしたが、そのおかげで、マルクスのものさしで持って現在の状況に対して考えを進めることが出来ましたし、その点で成果はあったと思います。
自分は、経済的な仕事に関わっているわけでもなく、お金に困っているが故に金融・経済に関心を向けて手に入れられる手段の中で学んできました。
しかし、その理由故に弱みがあることも否定できません。
大きなお金を動かしたことも無ければ、実務で金融や経済に関わってきたことも無い。そういう経験が欠けているのです。しかも、その範疇は個人的な経済についての困りごとがベースになっていて、もしも個人的に何かを追求するのであるならば、それは心理学がより適しているものになるでしょう。
今後、個人的な関心として経済的な何かを追求するとしたら、自分が業務の上で所属している株式会社についてハッキリと知るために「株式会社とはいったい何か?」ということについて簡潔にまとめて書き残すこと・自分の生きている時代は「資本主義社会である」ということであるならば、「資本とはどのような社会的機能を持ったものか?」、つまり「資本とはいったい何か?」ということについて調べて自分なりの結論を持ったり説明を出来るようにしたりするというのが当面の目標です。
現在の流れの中で自分がマルクスのものさしで持ってニュースを読みつつ考えたことをPart1~3までで書き残してきたつもりです。
何かいい方向になることを思いつつ、この記事を終わりたいと思います。

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