第27回柔道整復師国家試験 柔理part1

27-17 大腿骨骨折で近位骨片が屈曲・外転・外旋転位するのはどれか。
1.上1/3部の骨折   
2.中1/3部の骨折
3.下1/3部の骨折   
4.顆上伸展型骨折

大腿骨骨幹部骨折の転位と関与する筋肉。上1/3部骨折では近位骨片は屈曲(腸腰筋)、外転(中・小殿筋)、外旋 遠位骨片は内上方転位(内転筋群)

中1/3部骨折では近位骨片は屈曲・内転、遠位骨片は後上方転位(ハムストリングス)

下1/3骨折では近位骨片は中間位、遠位骨片は後方(腓腹筋)・短縮転位

斜骨折は再転位しやすいから、整復固定が困難(実際には観血療法の対象なのでこの文言は意味をなさんけど)。「斜骨折は整復固定が容易である。」というフレーズが×で出題される。これは下腿骨骨幹部骨折も同じ。

出題されたついでに大腿骨顆上骨折。これは屈曲型が多く、屈曲型の骨折線は前方から後上方に走り近位骨片は前内方、遠位骨片は後方転位。簡単に覚えるんやったら「上腕骨顆上骨折の反対」と覚えといたらええねん。

答え:1.

27-18 病的脱臼でないのはどれか。
1.反復性脱臼 
2.麻痺性脱臼 
3.拡張性脱臼 
4.破壊性脱臼

反復性脱臼は外傷性脱臼に続発して脱臼を繰り返すもの。ついでに言うと外傷歴がなく、一定の肢位を取ったときに脱臼を繰り返すものが習慣性脱臼。発生しやすい関節は反復性・習慣性とも同じで「顎関節・肩関節・膝蓋骨」。

病的脱臼は関節に何らかの基礎的疾患があって外力なしに発生する脱臼で次の3種類がある。

麻痺性脱臼 片麻痺患者の肩関節
拡張性脱臼 化膿性股関節炎、股関節結核
破壊性脱臼 慢性関節リウマチ(手指の脱臼変形)

基礎疾患と好発部位がちょくちょく出題されてる。

答え:1.

27-19 高齢者骨折の特徴で正しいのはどれか。
1.関節拘縮が少ない。        
2.骨膜の連続性は保たれやすい。
3.海綿骨の多い部位に発生しやすい。 
4.阻血性壊死を生じやすい。

高齢者の骨折言うてもなあ…。話が漠然としすぎていてわからん、という受験生はおらへんかな?そういう時は定型例とか代表例とかを出してきて考えるねん。「高齢者4大骨折」て知ってる?

上腕骨外科頚骨折

コーレス骨折

椎体圧迫骨折

大腿骨頸部骨折

高齢者は関節拘縮を起こしやすいから1.は×。骨膜の連続性が保たれやすいのは幼小児骨折の特徴で高齢者は粉砕骨折になりやすいから2.も×。4大骨折の4つとも海綿骨骨折なのでこれは〇。阻血性壊死を起こすのは大腿骨頸部骨折だけやからこれもあかんよな。

ということで答え:3.

27-20 骨折の合併症とその原因の組み合わせで誤っているのはどれか。
1.化膿性骨髄炎―開放性骨折 
2.過剰仮骨形成―粉砕骨折 
3.脂肪塞栓―骨盤骨折    
4.無腐性骨壊死-肋骨骨折

開放性骨折は骨折部と外界が交通しているもの。中手骨骨幹部「横」骨折、下腿骨骨幹部骨折、中足骨骨幹部骨折が多い。大腿骨骨幹部骨折も開放性になりやすいという。できるだけ早く傷口をキレイにせんと(デブリドマン)細菌感染が骨髄に及んで化膿性骨髄炎を起こす。

仮骨の材料は血腫なので、出血量の多い粉砕骨折では過剰仮骨を形成しやすい。

脂肪塞栓(症候群)は骨折時に骨髄からの出血に含まれる脂肪滴が血行によって運ばれ、肺や腎臓に詰まって悪さをするもの。当然これも出血量の多い骨折で発生しやすく骨盤骨やら下肢の骨折、多発骨折で発生しやすい。予後が悪いので徴候が出現したら(熱発、頻脈、点状出血斑)病院に緊急搬送せんといかんねん。

無腐性骨壊死を起こしやすいのは上腕骨頭骨折、上腕骨解剖頚骨折、手の舟状骨骨折、大腿骨頸部内側骨折、距骨頸部骨折。阻血性壊死、とあっても同じことと考えてええよ。ちなみに骨片が壊死すると骨癒合は起きないから上記の骨折と偽関節の組合せも〇になる。

答え:4.

27-21 関節と良肢位との組み合わせで誤っているのはどれか。
1.肘関節―屈曲90度 

2.手関節―屈曲90度 

3.膝関節―屈曲10度 

4.距腿関節―屈曲・伸展0度

答え:2. 伸展(背屈)10度から20度

参考までに、

肩関節:外転20度から40度、屈曲30度、内旋20度から30度

股関節:屈曲10から30度、外旋0から10度

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