第26回柔道整復師国家試験 柔理6


2018J079 "介達外力による上腕骨骨折で遠位骨片が前上方に転位するのはどれか。2つ選べ。
1.外科頚内転型骨折
2.骨幹部骨折(三角筋付着部より遠位骨折)
3.顆上屈曲型骨折
4.外顆骨折"

1.は遠位骨片は前外上方転位。「前」、「上」に転位するからこれは〇。

2.は遠位骨片は「後」上方転位。残念!

3.屈曲型なので遠位骨片は前上方転位。〇。

4.前腕伸筋により回転転位。前とか上とかは関係なさそう。

2018J080 "上腕骨骨幹部横骨折で偽関節が発生しやすい原因はどれか。
1.接触面積が広い。
2.海綿質が豊富である。
3.整復位保持が困難である。
4.軟部組織が介在しやすい。"

1.わざわざ「横」骨折と書いてあるから当然接触面積は狭い。ちなみに上腕骨骨幹部骨折ではハンギングキャスト法は適応だけど横骨折の場合は不適。

2.長管骨の骨幹部なんやから当然緻密骨。骨癒合には不利やんな。

3.整復位保持が困難、ていうんは「再転位しやすい」と同じ意味。当然骨癒合には不利やわなぁ。

4.こんな話、聞いたことないやろ?こういうのにひっかかる受験生は「見たことのない選択肢は正解と思ってしまう症候群」に罹患している。上腕骨骨幹部骨折が偽関節になりやすい理由は①横骨折が多く骨折端の接触面積が小さい②緻密骨で仮骨形成に不利③転位が大きく再転位しやすいの三点だけ。

ちなみに上腕骨骨幹部骨折の合併症は偽関節(もちろん遷延治癒でも〇)のほかに橈骨神経麻痺と内反変形を覚えといてな。

2018J081 "上腕骨顆上伸展型骨折で正しいのはどれか。
1.内旋転位の残存はリモデリングが期待できる。
2.前方傾斜角の減少によって屈曲制限をきたす。
3.バウマン角の増大は内反肘変形を示唆する。
4.積極的な他動運動によって関節可動域訓練を行う。"

1.内旋転位の残存は内反肘の原因となる。これは回旋転位やから自家矯正はされへん。

2.遠位骨片の後上方転位が残存すると前方傾斜角が減少するねん。結果として肘は十分に屈曲できひんようになるんよ。こちらの方は経時的に自家矯正されることが多い。

3.バウマン角いうのは上腕骨小頭と上腕軸に垂直な線のなす角の補角、上腕骨遠位端の骨端線のマルアライメントを計測するためのもんやねん。それでバウマン角の減少とキャリングアングルの減少はほぼ同意。そやから「バウマン角がが減少してる」ていうたら「内反肘変形が起きてる」ていうことになるねん。なんでそんなことをするのかて言うと、上腕骨顆上骨折整復固定するときって肘関節屈曲位やん?そやから肘を伸展させてキャリングアングルを計測することはできひんのよ。それで固定中に内反変形が起きてるかどうかを知るために上腕骨遠位端のレントゲンを撮ってバウマン角を計測するねん。国家試験的にはバウマン角の減少=キャリングアングルの減少=内反肘、と覚えといたら大丈夫やで。

4.これをやると骨仮性筋炎が起きるんやったよな。上腕骨顆上骨折に限らず肘周りの骨折脱臼の後療法に他動運動とマッサージは禁忌。なんでか言うたら骨仮性筋炎が起きるから。

答え:2.

2018J082 "モンテギア(Monteggia)骨折で正しいのはどれか。
1.伸展型に比べ屈曲型が多い
2.伸展型では尺骨は前外方凸の屈曲変形を呈する。
3.尺骨神経麻痺を合併する。
4.屈曲型では肘関節鋭角屈曲位、前腕回外位で固定する。"

モンテギア骨折の定義は大丈夫かな?「尺骨骨幹部上1/3部の骨折に橈骨頭脱臼を合併するもの」やったやんな。伸展型は尺骨が前外方凸変形して、橈骨頭は前外方に脱臼。屈曲型は尺骨が後方凸変形して橈骨頭が後方に脱臼。そやから見てもろたら分かるように、尺骨の凸方向と橈骨頭の脱転方向は同じやねん。要するに伸展型は「前外方」、屈曲型は「後方」だけ覚えとったらええねん。

発生頻度は伸展型が圧倒的に多い。柔道整復理論で「○○と××があって○○が多い。」ていうフレーズがあるときは多いほうの○○が8割方、くらいのイメージを持っとったらええよ。

合併する神経損傷は(橈骨神経の枝であるところの)後骨間神経。下垂手にはならんけど指の伸展不能。知覚異常はないねん。

固定肢位は「伸展型は屈曲、屈曲型は伸展。前腕はどっちも回外」。ちなみに肘関節を伸展位で固定する骨折はモンテギア屈曲型のほかに肘頭骨折がある。これも前腕は回外位固定な。

2018J083 "手根骨骨折で正しいのはどれか。
1.舟状骨骨折は直達外力によって発生することが多い。
2.小菱形骨骨折に合併する骨折では第1中手骨骨折がある。
3.有鈎骨鈎骨折はゴルファーにみられる。
4.月状骨単独骨折は月状骨周囲脱臼より多くみられる。"

問題を見たとたんに、「え、なにこれ?」て思えへんかった?月状骨単独骨折と周囲脱臼の発生頻度の差なんてオレ知らんわ。それでな、こういうわけのわからん選択肢が並んでる設問の時は必ずだれでも知ってる選択肢が一つかせいぜい二つあって、それが正解のことがめちゃめちゃ多い。

この問題で言うと3.これグリップエンド骨折やんな。野球でファウルボール打ったときとか、テニスの打ちそこないとかでも発生。そもそもゴルファーが地面叩いて有鉤骨骨折言うのんは一回出題されてる。過去問見とったら正解できるていう話やんか。


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