第26回柔道整復師国家試験 柔理1
問題26-17.骨折の癒合に好適な条件はどれか。
1.関節内の骨折
2.骨折部の血腫消失
3.骨折部に働く剪力
4.骨折部に働く圧迫力
総論でよく出る問題やな。1.は関節「包」内骨折でも同じ。骨膜性仮骨が期待できへんから骨癒合には不利やねん。具体例でいうと上腕骨の結節上骨折(骨頭骨折、解剖頚骨折)、大腿骨頸部内側骨折(内側、ていうのは関節包の内側:骨頭下骨折、中間部骨折)、手の舟状骨骨折くらいか。
2.血腫は仮骨のもと。そやから血腫が少ないと仮骨形成には不利やねん。
3.と4.。骨折部に働く力で骨癒合に有利に働くのは圧迫力だけ。その他の力はすべて不利に働く。「圧迫力とその他の力」で覚えといてな。
答え:4.
問題26-18 骨折の後療法開始時期で正しいのはどれか。
1.整復終了後
2.固定施行後
3.仮骨出現後
4.固定除去後
2.固定施行直後から行う。
問題26-19.骨折の合併症で正しい組合せはどれか。
1.偽関節―続発症
2.遷延治癒―後遺症
3.脂肪塞栓症―続発症
4.外傷性皮下気腫―後遺症
合併症、併発症、続発症、後遺症の位置関係を整理しておこうね。
合併症は大きく併発症と続発症に分けられる。例えば骨折の併発症ていうのは「骨折と同時にどこかを怪我した」ものをいうねん。コーレス骨折で舟状骨骨折や月状骨脱臼や神経麻痺を合併したのが併発症な。
それでコーレス骨折が発生してから時間が経って、長母指屈筋腱の断裂がおきたりズデックの骨萎縮が発生したりするのが続発症。「骨折の後から出てきた症状」ていうことやな。
もちろん骨折だけでなく脱臼でも他の傷病でもおんなじことやで。
さらに続発症のうち、永続的に障害が残るものを特に「後遺症」と呼ぶねん。
そういう目で見ると2.と4.とは改善しうる症状なので続発症ではあるが後遺症ではない。1.と3.はどちらも続発症で良さそうに思うんやけど、選択肢が「続発症」か「後遺症」しかない。偽関節は続発症であってかつ後遺症。脂肪塞栓症は続発症ではあるけど後遺症ではない。だから出題者が答えてほしいのは3.だろうと推察できる。
あちらこちらで繰り返しているのだけれど択一式の問題で受験生が答えるべきは「出題者が正解のつもりで出題している選択肢」であることはもう一度強調しておくね。
答え:3.
問題26-20.顎関節前方両側脱臼で正しいのはどれか。
1.開口不能となる。
2.談話不能となる。
3.外側靭帯損傷を伴う。
4.弾発性固定は見られない。
顎関節前方脱臼は過度開口によって発生(あくびする、ゲロ吐く、歯を抜く)。下顎骨は半開口位で弾発性固定される。
1.半開口位、口開いてるんやから「開口不能」のはずがないやん。正しくは閉口不能な。
2.口が閉まらんから、一度口を閉じんと発音できない語(パ行、バ行、マ行:口唇音とか破裂音という)があるので談話は不能となる。
3.4.下顎骨の弾発性固定に関与するのは外側靭帯、外側翼突筋、咬筋。ただし断裂はしない。顎関節前方脱臼で関節包が断裂しないのは知ってると思うけどほかの軟部組織も損傷しない。
答え:2.
問題26-21.鎖骨骨折の固定法で誤っているのはどれか。
1.背8字帯固定
2.セイヤー絆創膏固定
3.ハンギングキャスト固定
4.デゾー包帯固定
答え:3.ハンギングキャストの適応は上腕骨外科頚骨折と骨幹部骨折(ただし横骨折は除く)。
ちなみに鎖骨骨折に限った話ではないけれど「整復位保持が困難である」というフレーズは「再転位しやすく変形治癒しやすい」という意味やねんで。
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