見ざる、聞かざる、嗅がざる2022・12・1

日本語には「耳を塞ぐ」という言い回しがあります。もちろん物理的な騒音に対しても使いますが、「あまりの暴言に思わず耳を塞ぎたくなった」のように、情報を受け取ることを拒否するときにも使いますよね。人間関係にせよその他の要因にせよ、私たちが受けるストレスは広い意味での情報です。自分に対する悪口や誹謗中傷、立場の上の人からの𠮟責、長々と続くつまらない話…。
 
視覚や嗅覚から受け取る情報にもストレスになるものがあります。悪口や中傷は文章の形をとることもありますし、尊敬している人がみっともない格好をしているのを見てしまうとか、自分の書いたとてつもなくヘタな絵を改めて眺める時とか。それから悪臭。ニンニクのにおいは餃子とか食べている人にとっては芳香ですけれど、周りの人間にとってはたまったもんじゃないですよね。
 
だから「眼を覆いたくなるような」とか「耳を塞ぎたくなる」とかいう表現があるのでしょう。「みっともない」も「見とうもない」から転訛したのが語源と言います。
 
それから受け取りたくないような質の良くない情報のほかに、情報の「量」が過剰になってストレスの原因になることがあります。ずっとパソコンやスマホの画面を見続けること、長時間大音量でイヤホンから音楽を聴くこと、大量につけすぎた香水などなど。難儀なことにこちらのほうは情報そのものは必ずしも不快ではありませんから耳を塞いだり眼を覆ったりして情報の受け取りを拒否しにくいです。
 
ただしこちらは許容量を超えてしまうと脳のサーバーがダウンしてしまいます。それで無意識下に脳はそれらをシャットアウトしようとします。過剰な量の情報が入ってこないように眼と耳と鼻を緊張させます。その状態が続くことが、ストレスによる脳疲労ということになります。「疲れが取れない」状態ですね。
 
ストレスによる脳疲労を解消するためには、掌中央のくぼみを眼球に当てる「パーミング」とか、「耳引っ張り」とかが有効です。時間はそれぞれ3分間くらい。
 
鼻の緊張を緩める方法は、左右どちらの手でも構いませんから親指と中指で鼻根(鼻の根元)を軽くつまみます。次に人差し指の腹を眉間にあてます。ちょうどずり落ちた眼鏡を直すような格好。そのまま2,3分鼻根と眉間に指を当てておくと、鼻の通りがよくなります。それまで鼻が詰まっていたことに気が付かなかった、と驚かれたりします。
 
げに恐ろしきは、ストレスにございます。
 

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