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【レガシー】赤単エルドラージ考察【2020/7/14】

【はじめに】

ご無沙汰してます。DJ IZMAです。
今回は、昨年11月にBIGMAGIC様へ寄稿させて頂いた赤単エルドラージ記事三部作の補足記事になります。

リンクはこちら → DJ IZMAの赤単エルドラージ解体新書・構築編
        → DJ IZMAの赤単エルドラージ解体新書・調整編
        → DJ IZMAの赤単エルドラージ解体新書・実戦編

記事三部作を読んでいなくても分かるように書いてはいますが、予め記事(特に構築編)を読まれた方がより深く理解いただけると思いますので、是非上記リンクから読んでみて下さい。




【赤単エルドラージの現状】

まずはメタ立ち位置から説明します。

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メタデッキ相性表


一番のウリは、Snowkoとも呼ばれる氷雪多色コントロールとの相性の良さです。

主な要因としては、
① こっちの妨害札が効果的に刺さる(特に《血染めの太陽》)
② 《王冠泥棒、オーコ》への対処手段が豊富
③ ロングゲームになっても《罰する火》《目覚めた猛火、チャンドラ》が有効


逆に、同じ《オーコ》を使うデッキでも、RUG Delverは苦手にしています。こちらは《オーコ》よりもむしろ《タルモゴイフ》がひたすらにキツいです。


一番勝率が悪いSnT系デッキですが、一番苦手なスニショ型が減り、UGオムニが増えた関係で、むしろ勝率が上がってます。


【赤単エルドラージにおける固定枠】

ここからは、「構築編」でも触れました固定枠と変動枠について、より詳しく解説していきます。

まずは固定枠から。
赤単エルドラージで土地を除いた固定枠は、以下の30枚になります。

4 《猿人の指導霊》
4 《ゴブリンの熟練扇動者》
4 《難題の予見者》
4 《現実を砕くもの》
4 《罰する火》
4 《血染めの太陽》
4 《虚空の杯》
2 《金属モックス》

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これらの30枚の固定枠は赤単エルドラージというデッキの根幹となるパーツであるため、原則として枚数は変えません。
逆に言うと、この固定枠のカードを使わない場合は、もはや赤単エルドラージである必要はなくなります。
もし、《難題》や《スマッシャー》を使用しないのであれば赤単プリズンを使えばいいでしょうし、《太陽》や《罰火》を使用しないのであれば普通のエルドラージストンピィでいいでしょう。最近では、《むかしむかし》と《エルドラージの寸借者》をタッチした赤緑エルドラージという選択肢もあります。

また、《金属モックス》2枚も固定枠なのですが、これに関しては理論上導き出された枚数ではなく、デッキを潤滑に回すための適正枚数が2枚だったという結果論になります。
詳しくは「調整編」へ


続いて、土地です。
こちらも固定枠で構成されていますが、一部土地は枚数を半固定にしています。

4 《古えの墳墓》
4 《裏切り者の都》
3~4 《エルドラージの寺院》
4 《燃え柳の木立ち》
6~7 《山》《冠雪の山》

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比較的最近まで《寺院》4枚:《山》6枚だったのですが、赤マナが足りずに負けるケースが多かったことから、《寺院》3枚:《山》7枚にすることが流行りです。
このバランスは、変動枠にどの程度の赤ダブルシンボルの呪文を採用するかによって変えるといいでしょう。



【変動枠の候補】

一方で、上記固定枠30枚と土地22枚以外の、残り8枚が変動枠となります。
いわゆるフリースロットというもので、使用者の趣味嗜好が表れる部分でもあります。

三部作の「構築編」「調整編」で紹介した変動枠の候補で、比較的採用率が高いものがこちらです。
《削剥》
《エインジーの荒廃者》
《砕骨の巨人》
《エルドラージの寸借者》
《歴戦の紅蓮術士》
《大いなる創造者、カーン》
《熱烈の神ハゾレト》
《反逆の先導者、チャンドラ》
《焦熱の合流点》
《戦慄衆の勇者、ネヘブ》
その他、サイドボードのカード

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続いて、前回の記事以降に新しく候補に挙がった変動枠のカードを紹介します。


《目覚めた猛火、チャンドラ》

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バント奇跡や氷雪コンへの切り札として活躍。クリーチャーを全て対処されても、《罰火》と《猛火チャンドラ》の紋章だけで勝つこともしばしば。当初はサイドボードのみの採用だったが、汎用性の高さからメイン採用も。



《地盤の巨人》

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書いてあることは決して弱くないのですが、《王冠泥棒、オーコ》に対して特になにも出来ないため、イマイチ活躍出来ず。環境の変化に期待。



《パーフォロスの介入》

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優秀な除去。+2から入った《オーコ》をシングルシンボルの4マナで除去出来るのは大きいです。また、今まで対処しづらかった高タフネスのクリーチャーにも有効なため、痒い所に手が届くカードといえます。最悪本体に投げつけられるため無駄になりません。



《逃れ得ぬ災厄、ゴジラ》

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通称シンゴジラ。4回サイクリングを目指すというよりは、適当にサイクリングしながら素出しでマナフラ受けになるという使い方です。未知数な部分はあります。



《開拓地の戦争屋》

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統率者2020から。死ににくく、シングルシンボルになった《アングラス》といえ、実質上位互換になります。加えてイラストアドもありますが、Foilがないことが難。



《峰の恐怖》

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Magic2021から。まだ試せていないのですが、生きてターンが返ってきたら大体勝てそうです。この手のカードにしては珍しくトークンでも能力が誘発するため、《ラブル》や《パーフォロスの介入》とも相性がいいです。《地盤の巨人》と同じく、《オーコ》をどう対処するかが鍵。




《灯狩人のマスティコア》

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同じくMagic2021から。こちらもまだ試せていないのですが、《罰火》や《エインジーの荒廃者》を捨てればアドは失わないので、デメリットはそこまで気にならないかと。


【いかにして変動枠を選ぶか】

ここでは、変動枠8枚に採用するカードを選ぶ指針について説明します。

まず、変動枠のカードの採用理由は、主に二つあると考えます。

理由① 特定のデッキに対する対策

多くの場合は、トップメタのデッキに対して有用なカードや、メタ群のデッキで採用率の高いカードに有用なカードを順に採用して8枚のフリースロットを埋めていきます。
また、幸いにしてトップメタのデッキが相性的に有利な場合は、苦手とするデッキへの有用なカードを採用することもあるでしょう。

ケース1)デルバーを対策したい

 → 除去を多めに採用する
 → 《削剥》《砕骨の巨人》《合流点》《マグマの陥没孔》《パーフォロスの介入》

 → コンバットで強いクリーチャーを採用する
 → 《ハゾレト》《マスティコア》

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ケース2)コントロールを対策したい
 → PWを採用する
 → 《反逆チャンドラ》《猛火チャンドラ》《創造カーン》

 → 長期戦で強いカードを採用する
 → 《シンゴジラ》《エインジー》《歴戦の紅蓮術士》《ネヘブ》

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ケース3)コンボを対策したい

 → 妨害カードを採用する
 → 《三球》《創造カーン》《破棄者》

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ケース4)ストンピィを対策したい

 → ダメージレースで勝てるカードを採用する
 → 《寸借者》《峰の恐怖》《開拓地の戦争屋》

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理由② 変動枠のシナジー重視

環境初期でメタが流動的であったり、そもそもメタが雑多すぎて対策すべき特定のデッキがなかったりする場合は、変動枠8枚のシナジーを重視してカードを選択します。
理由①が外的要因なのに対して、理由②は内的要因というわけです。

ケース1)《猛火チャンドラ》を使う場合
 → マナ加速により《猛火チャンドラ》を早く着地させたい
 → 《ネヘブ》《反逆チャンドラ》がシナジーあり

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ケース2)《シンゴジラ》を使う場合
 → ドローを増やしてサイクリング4回達成を視野に入れたい
 → 《エインジー》《歴戦》《ネヘブ》がシナジーあり

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ケース3)《峰の恐怖》を使う場合
 → 能力を活かすために高いパワーのクリーチャーを多く採用したい
 → また、5マナ域までゲームを伸ばすため、除去は多く採用したい
 → 《砕骨の巨人》《パーフォロスの介入》がシナジーあり

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以上の二つ理由にそってカードを選んだあとは、全体のマナカーブや、金属モックスを運用する上での赤マナカウントを微調整すれば、バッチリですね。


【固定枠を変えざるを得ない例外】

前述した通り、原則として固定枠の枚数は変えません。しかし、あまりに偏ったメタである場合、例外として固定枠の枚数を弄る必要が出てきます。
ここでは、その例外が発生したケースを紹介します。

例外となったケース:大相棒時代

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A級戦犯

比較的記憶に新しい相棒環境で、《夢の巣、ルールス》《黎明起こし、ザーダ》の禁止前です。
この頃は私も流行りに乗って、とある相棒を愛用していたのですが、この相棒環境に適応した赤単エルドラージのリストについても同時に考案していました。

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掟破りのラブル解雇


絆魂持ちにゴブリンを突っ込ませることしか出来ない《ラブル》を思い切ってメインから抜いて、替わりに《砕骨の巨人》を4枚投入しています。さらに、《ミシュラのガラクタ》を止める《創造カーン》や、横並びを一掃出来る《合流点》を採用することで、《ルールス》を強烈にメタりつつ、《ザーダ》に対するヘイトも高めています。


ここまで明確に特定のデッキ群をメタることは、もうしばらくはないとは思いますが、最近のレガシー環境は何が起こるか分かりません。
一番最近のセットでは、このカードは色々と悪さをしそうです。

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《アロサウルス飼い/Allosaurus Shepherd》

もし、この《アロサウルス飼い》によってエルフが流行れば、またしても《ラブル》を解雇して替わりに《砕骨の巨人》を4枚採り、さらに《削剥》《合流点》《猛火チャンドラ》をマシマシにする構成が考えられます。

《アロサウルス飼い》によってチャリスX=1を突破しようと1マナの呪文を唱えてきても、チャリスの誘発型能力がスタックに乗っている内に《アロサウルス飼い》を除去すればチャリス突破を防いでアドも稼げるため、軽いインスタント火力の枚数が重要になってきます。



【おわりに】

「解体新書」をBIGMAGIC様に寄稿してから半年以上経過しましたが、その間、赤単エルドラージ以外のデッキを開発したり、別フォーマットに手を出したり、そもそもプライベートが忙しくてMOで遊ぶ時間が減ったりと、赤単エルドラージを使う機会は激減していました。
膨大な実戦データと入賞結果を元にした正式な続編を書いて再び寄稿出来ればと思っていたのですが、前回同様のクオリティを維持することが難しく断念した次第です。

今もまだMOで遊ぶのは困難な状況なのですが、また戻ってこれた際は、赤単エルドラージで何かしらの結果を残せるように精進していきます。

それでは、またお会いしましょう。
glhf

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