恐竜デッキの教科書
恐竜デッキを使ってみたい。
そんなあなたに。
1.はじめに
ななしいんく所属の杏戸ゆげさんがマスターデュエルをはじめました。
配信中の言葉の節々から、要領が良くてちょっとへそ曲がりで負けず嫌いで吸収力のある熱心な人柄が伺えます。なんて遊戯王向きなんだ。
杏戸ゆげさんが勉強する気があるうちに、恐竜デッキの使い方について教科書の様なマニュアルを作成致します。リスナーの皆様におきましては恐竜デッキの基礎としてご認識下さい。
筆者は恐竜デッキ専門外ですが最低限の知識はあるので、中級者をぶっ飛ばせるくらいになれるまでの内容をなるだけ簡単に解説します。
2.知っておくべきこと
まずは恐竜デッキについて、「これを知っているかどうかで初心者かどうかの差がつく」といった内容を説明します。
2.1.切り札
恐竜デッキの『切り札』と呼べるモンスターを7枚紹介します。
2.1.1.究極伝導恐獣
通称『アルコン』です。
その名の通り、最強の恐竜モンスターです。
3つの強力な効果があります。
①の効果は相手のモンスターを全て裏側守備表示にする効果で、相手のターンにも発動出来ることが最大の特徴です。
相手がモンスターを召喚したとき、すぐに発動することで、モンスター効果の発動やリンク召喚等を防ぐことが出来ます。
②の効果は相手のモンスター全てに攻撃する効果です。3500という圧倒的に高い攻撃力で相手モンスターを一掃できます。
③の効果は裏側守備表示のモンスターに攻撃したときに発動する効果で、問答無用で相手のモンスターを破壊します。①の効果で裏側守備表示にした相手のモンスターに②の効果で全体攻撃することで、実質、相手の場のモンスターを全滅させることが出来ます。
墓地の恐竜モンスターを2体除外することで手札から生け贄ナシで特殊召喚できますが、多くの場合『進化薬』という魔法カードで召喚することになります。詳細はあとで記載します。
2.1.2.オーバーテスク・ゴアトルス
通称『ゴアトルス』。
白亜紀後期に北アメリカに棲息していた翼竜「ケツァルコアトルス」がモチーフのモンスターで、プテラノドンより大きな史上最大の翼竜です。
『アルコン』が攻めのカードだとすると、『ゴアトルス』は守りのカードです。
効果は2つあって、
①の効果は、相手の魔法罠を1ターンに1度無効に出来る効果です。相手の強力な破壊効果や展開カードを防ぐことが出来ます。
②の効果は、自身が破壊されたときに『進化薬』を持ってくる効果です。
このカードも『アルコン』と同じく『進化薬』で召喚することが多いモンスターなので、覚えておきましょう。
2.1.3.エヴォルカイザー
通称『ドルカ』と『ラギア』。
レベル4の恐竜2体を使って出すことが出来る、強力なドラゴンです。
少し珍しい「エクシーズモンスター」で、エクシーズ素材を取り除くことで相手のカードを無効にする効果を持っています。
『ドルカ』はモンスター効果しか無効に出来ませんが、2回使うことが出来ます。『ラギア』はなんでも無効に出来ますが、1回しか使うことが出来ません。『ドルカ』と『ラギア』どちらを使うべきか、見極めてエクシーズ召喚することになります。
2.1.4.マスカレーナユニコーン
いきなり雰囲気が変わりました。
『マスカレーナ』と『ユニコーン』は色々なデッキで使われる強力なカードです。
『マスカレーナ』は相手のターンにリンク召喚するという特別な効果を持っています。そして『ユニコーン』はリンク召喚されたとき、相手の場のカードを1枚除去する効果を持っています。つまり『マスカレーナ』で『ユニコーン』を出すことで、相手のターンに好きなタイミングで場のカード1枚を除去することが出来るのです。
これが想像以上に強く、この2枚のセットがあるか無いかで勝ち負けが来まることは多いので、是非覚えておきましょう。
2.1.5.スプライト・エルフ
通称『エルフ』。
マスターデュエルでは普通に使えますが、紙の遊戯王では禁止カードに指定されているほどの強力なカードです。
一見すると地味な効果ですが、恐竜デッキで上手に使える様になると、バケモノ染みた恐ろしいカードに変貌します。
①はリンク先のモンスターを守る効果です。
『エルフ』のイラストの左右下に矢印のマーカーがついています。このマーカーの先にいるモンスターは、相手の除去カード等の対象にとられなくなります。ただし「カード1枚を対象にとるわけではない場合」つまり全体除去には弱いので注意が必要です。
②は墓地のレベル2のモンスターを蘇生する効果。この効果の最大の特徴は相手のターンにも使えるというところで、自分のターンに1回、相手のターンに更にもう1回モンスターを蘇生すれば、このカード1枚でカード2枚分蘇生する働きをしてくれます。
2.2.「展開」とは?
恐竜デッキの切り札を紹介しました。
対戦ではこれらのカードを使って戦うことになるのですが、
例えば、この2枚の手札が
こうなります。
2枚の下級モンスターが4枚の切り札モンスターになりました。
遊戯王は1枚のカードから強力なカードにどんどんアクセスしていき、1ターンでフィールドにカードをどんどん増やすことが出来るカードゲームです。これを「展開」と言います。他のカードゲームではあまり見られない、遊戯王が長年親しまれるの最大の特徴です。
恐竜は「展開」がとにかく大事です。
様々なカードの組み合わせから、どんなルートで「展開」すべきなのかを覚えておくことが非常に重要です。
まずはこれを覚えないと、まともに戦うことすら難しくなります。逆に言えば、パワーのあるデッキなら、展開の方法を覚えてしまえばランクマッチ等で簡単に勝てるようになります。
2.3.遊戯王の練習って何をするの?
初心者がレベルアップする際、遊戯王の練習や勉強というと、主にこの「展開」を反復練習し「展開のルート」を自分のものにしていくことを言います。強いプレイヤーの展開例を本記事で紹介しますので、手本や参考にして頂ければと思います。
また、FPSや麻雀もそうですが、自身のゲームプレイを見返すことが上達の近道です。「どんな選択・行動をすれば良かったのか」を見返しながらゲームを行うことが非常に大切です。
更にカードゲームの場合、自分のゲームを見返したとき「その試合で自分の手札の中で機能していなかった手札は無いか」等、突き詰められる部分は非常に多いです。
初心者のうちは1戦1戦を大事にすることで、爆発的な上達の可能性があります。
2.4.展開のコツ
「様々なカードの組み合わせから、どんなルートで展開すべきなのかを覚えておくことが非常に重要」と言いましたが、実際のところ全部の組み合わせを覚えてる人なんてあんまり居ません。ちょっとしたコツがあるわけです。
以下でそのコツを解説しますが、少し難しい話かもしれないので、よく分からなくなったら次の「展開パターン」の項目までとばしても問題ありません。
では解説します。恐竜デッキの場合、
これら『ベビケラサウルス』と『プチラノドン』の2枚が重要で、一部では『卵モンスター』と呼ばれています。
これらのカードは「破壊されたとき」に強力な効果を発動するため、
『アルゴザウルス』と『オヴィラプター』の様に「自分のカードを破壊する」効果を使って、自分の『卵モンスター』を自分で破壊するわけです。
ここからが重要です。
恐竜デッキが強力な盤面を作るためには、
「1ターンで『卵モンスター』を2回破壊する」ことが必要です。2回破壊に成功すると、場に必然的にモンスターが2回特殊召喚されることになります。通常召喚も加えると、1ターンにモンスターを3体場に出すことが出来るわけです。
更に『ミセラサウルス』は1枚で『アルゴザウルス』を場に特殊召喚する効果を持つため、『アルゴザウルス』の効果によって『進化薬』を手札に加えることが出来ます。
このとき、場にモンスターが3体居れば、3体のモンスターを使って2回リンク召喚することで、墓地に恐竜以外のモンスターを1枚送ることができ、『究極進化薬』の発動条件を満たすので、デッキから『アルコン』や『ゴアトルス』を出せる。という、この動きのイメージを持つことが非常に大切です。
まずは手を動かしてみないと分からない部分も多いです。手を動かすことが勿論大切ですが、自分の展開ぎ正しいのか不安になったら、上記の「コツ」を思い出してください。
また、恐竜デッキには「デッキから好きなカードを引っ張ってこれるカード」が沢山あります。
上記で少し出てきましたが、『ミセラサウルス』は①の効果で自身を墓地に送り、②の効果で自身1枚を除外すれば『アルゴザウルス』をデッキから特殊召喚出来ます。更に、もし墓地に既に恐竜が居た場合、自身ともう1枚の恐竜の合計2枚を除外すれば、デッキから『卵モンスター』を特殊召喚でき、『卵モンスター』を2回破壊するという目標の大きな助けになります。
どんなカードを持ってくるべきかですが、慣れないうちは次項の「展開出来る手札の組み合わせ」を1個覚えておいて、その組み合わせを上記のサーチカードで揃えることを意識するといいと思います。
2.5.展開パターン
ここでは展開パターンの紹介をします。
実際にマスターデュエルのソロモードでカードを並べながら読むことをオススメします。
2.5.1.展開出来る手札の組み合わせ
恐竜のメインモンスターは主に5種類です。
それは『オヴィラプター』『ミセラサウルス』『アルゴザウルス』『ベビケラサウルス』『プチラノドン』で、これらの組み合わせで展開の可否が決まります。
〈展開可能〉
『ミセラサウルス』+『卵モンスター』
『アルゴザウルス』+『卵モンスター』
『オヴィラプター』+『ベビケラサウルス』
『ミセラサウルス』+『オヴィラプター』
〈展開不可〉
『アルゴザウルス』+『オヴィラプター』
『アルゴザウルス』+『ミセラサウルス』
『オヴィラプター』+『プチラノドン』
だと覚えてください。
※『卵モンスター』は『ベビケラサウルス』と『プチラノドン』の2種類を指します。
2.5.2.最終盤面
今回は上述した下画像の展開を例とします。
『ゴアトルス』は『アルコン』でもいいし、『ドルカ』は『ラギア』でもいいです。まだカード名がごちゃごちゃなら、とりあえず上の画像の通りに出せば大丈夫です。
使用するカードは以下です。
EXデッキにURが沢山あります。
『ドルカ』『ラギア』は他の「ランク4エクシーズ」でも代用可能ですが、『マスカレーナ』『エルフ』『ユニコーン』は様々なデッキで使うので、多少無理してでも入手すべきと思います。
下記が展開ルートです。
ここでは最初の『卵モンスター』を全て『プチラノドン』にしていますが『ベビケラサウルス』でも問題ありません。
2.5.3.『ミセラサウルス』+『卵モンスター』
2.5.4.『オヴィラプター』+『ベビケラ』
2.5.5.『アルゴザウルス』+『卵モンスター』
2.5.6.『ミセラザウルス』+『オヴィラプター』
2.6.展開したあと
再度フィールドを見てみましょう。
相手のターンにどんな動作をするのか、解説していきます。
『アルコン』『ゴアトルス』は自分のカードを破壊しなければ効果を発動できません。可能であれば『エルフ』で蘇生した『卵モンスター』を破壊したいです。また『マスカレーナ』は自分の場のモンスターを素材にリンク召喚します。そのため効果を使用したあとの『ラギア』や『エルフ』を素材にしたいところです。
なので、相手のターンにすることは
という順番で行動するのが理想的です。
先に『ドルカ』の効果を使って、それにチェーンして『エルフ』の効果を使ってもOKです。
ターンが帰ってきたら、場に残った『ユニコーン』を使ってリンク4のモンスターを出したり、『アルコン』『ゴアトルス』『ラギア』『ドルカ』を追加で召喚したりして、どんどん攻めていきます。
もし『アクセスコードトーカー』を持っているなら、『ユニコーン』からリンク召喚することで非常に心強いアタッカーになってくれるでしょう。
2.7.ベビケラとプチラノ
上記の展開では『ベビケラ』なら展開できるものの『プチラノ』だと展開出来ない組み合わせがありました。なので基本的には『プチラノ』よりも『ベビケラ』の方が便利だと考えていいです。
では『プチラノ』の使い方を少し解説します。
『ベビケラ』はレベル4以下のモンスターをデッキから特殊召喚出来ますが、『プチラノ』は『ベビケラ』と違い、レベル4以上のモンスターしかデッキから特殊召喚出来ません。初心者が誤解しがちですが、レベルの高いモンスターは召喚するために生け贄が必要なため、遊戯王に慣れたプレイヤーからすると普通はデッキにあまり入れたくないカードです。
ですがこの『プチラノ』の存在から、恐竜デッキはレベルの高いモンスターを採用することがあります。上述した展開では『プチラノ』でレベル4モンスターしか特殊召喚しませんでしたが、このカードは本来レベルの高い強力な恐竜モンスターを特殊召喚するカードなのです。
代表的なのは『ダイナレスラー・パンクラトプス』です。
通称『パンクラ』と呼ばれるこのカードはとにかく強力で、①の効果は手札から簡単に特殊召喚出来る効果、②の効果は自身と相手のカードを破壊する効果です。簡単に出せて高い攻撃力で破壊効果も持っていたため、紙の遊戯王では瞬く間に制限カードになったモンスターです。慣れないうちはURということもあって、無理をしてデッキに入れる必要は無いと思います。
『アルコン』『ゴアトルス』は出さないの?と思うかもしれません。
良い疑問ですがここで「召喚制限」について説明します。
赤く囲った部分に注目してください。モンスターの種族と効果モンスターである表記のとなりに「特殊召喚」と書いてあります。
これはこのモンスターが「特殊召喚モンスター」という種類のモンスターで、特定の召喚方法でなければ召喚できない特別なモンスターであることを示しています。つまり、この欄に「特殊召喚」と書いてあるモンスターは『プチラノ』の効果で特殊召喚出来ないのです。
もし『プチラノ』を有効に使いたいのなら、レベル4以上の強そうな恐竜モンスターをデッキに入れてみても面白いかもしれません。
以上が恐竜デッキについて知っておくべきことです。ここまでの内容を自分のモノにすれば、もう初心者ではないと思います。ランクマッチ等で対人戦の経験をどんどん増やしましょう。
3.実戦で勝てる様になるコツ
ここからは、応用の話です。
展開に慣れてそろそろ強いプレイヤーの顔を歪めてやりたいと思ったら、次のステップだと思って読んでください。
3.1.ゲームを見返すことについて
ゲームを見返すことが大切といった話を前述きました。これに追加で話しておくことがあります。それはソロモードや自主練習ばかりで対人戦を行わないと「妨害」という概念が疎かになるということです。
例えば『ラギア』を出して、相手のカードの効果を1回だけ無効に出来るとします。相手のターン、相手が見たことの無い強そうなカードを発動したとします。止めるべき?止めないべき?と、迷います。最初のうちは迷っていいです。なんなら片っ端から相手のカードを止めるのもアリです。
大切なのは先ほど出てきた「ゲームプレイを見返すこと」で、止めるべきだったのか止めないべきだったのか、正解をしっかりあとから確認する癖をつけましよう。
特に「このデッキ相手のときはここを止めるべき!」という指標がネット上には出回っていますが、正直、人によって言ってることが違ってあんまりアテになりません。
自分でちゃんと見返して、自分で判断することで、様々な知見を得ることが出来ます。これが出来ない人はいつまでも弱いし、出来る人は驚くほど早く強くなります。おすすめです。
3.2.先行と後攻
昨今の遊戯王は先行が圧倒的に有利と言われています。なぜなら「展開」のレベルが年々上がっているため、先行になって相手より先に展開さえしてしまえば非常に有利になるからです。
それを防ぐため、後攻になったときでも相手の展開を止めることが出来るカードが大切になります。そういったカードは「手札誘発」と呼ばれます。手札誘発は相手のターンに手札から捨てて発動することが出来るカードです。
これらのカードをデッキに入れておかないと、じゃんけんで負けて先行を相手にとられただけで非常に不利になってしまいます。そのため、ある程度の実力者同士が対戦する際、手札誘発は必須カードとして扱われています。
しかしながら、手札誘発は基本的に自分の展開で使うカードではありません。相手が展開を終えたあとの後攻1ターン目のドローで引いてしまった際に機能しなくなることが多いです。デッキに入れる際は枚数を十分考えましょう。
3.3.ミセラサウルスの重要性
「手札誘発」について上述しましたが、そういった理由で実戦では展開が上手くいかないことばかりです。なので展開を反復練習するときは、相手に妨害されることを想定しながら練習する必要があります。
恐竜デッキはそういった妨害に対して遊戯王でもトップクラスの耐性があります。その理由が『ミセラサウルス』の存在です。
上の画像の①の効果を読んでみましょう。なんと恐竜モンスターが相手が発動した効果を受けなくなります。これは恐竜モンスターが妨害されなくなるということであり、上述した基本展開で言うと『エルフ』の蘇生効果まで妨害を受けなくなります。
相手が恐竜モンスターの効果を無効にしようとしてきたら、それにチェーンして手札の『ミセラサウルス』の効果を使うと非常に強力です。
覚えておきましょう。
特に恐竜デッキには遊戯王でもトップクラスの後攻最強の動作が存在します。それが『ミセラサウルス』からの『アルコン』です。
『アルコン』は相手の場のモンスターを一掃する強力な効果を持っています。『ミセラサウルス』の効果で安全に『アルコン』の効果を通すことで、相手が展開したフィールドのモンスターを全部ぶっ飛ばすことが出来ます。非常に強力な動きなので、覚えておくといいです。
3.4.自由枠について
遊戯王には様々な種類のデッキがありますが、一般的に恐竜デッキは「手札事故」の可能性が高いことで知られています。遊戯王の「手札事故」とは最初に引いた5枚の手札が展開不可の組み合わせになることです。
そのため恐竜デッキを使う際、デッキ40枚のうちの恐竜カード以外の枠に入れるカードが非常に重要になります。ここでは恐竜モンスター以外のデッキの自由枠によく使われる強力なカード、遊戯王プレイヤーにとってお馴染みのカードを紹介します。
長いのでぼんやりと眺めてください。
3.4.1.後攻で相手をぶっ飛ばすカード
〈メリット〉
不利なゲームになったとき、カード1枚で状況ひっくり返す可能性を秘めたカードです。
〈デメリット〉
先行で展開しようとしたときに、手札で機能しなくなって「このカードが恐竜モンスターだったら勝ってたのに!」ということになり易いため注意が必要です。
『サンダーボルト』『ハーピィの羽根帚』はシンプルに強力な効果です。
『ライトニングストーム』は相手の場のモンスターを破壊するか魔法罠を破壊するか状況によって選べます。が、自分の場にカードがあると発動出来ないため、機能しなくなることがあって注意が必要です。
『禁じられた一滴』は相手の場のモンスターの効果を無効にすることが出来ます。相手の「破壊されないモンスター」や「なんでも無効にするモンスター」を無力化するので、後攻で安全に恐竜モンスターを展開することが出来るようになります。
3.4.2.手札誘発カード
〈メリット〉
このカードを後攻で引いておくことで、相手の先行展開を妨害することが出来ます。相手に展開されて理不尽に負けるのを防ぐ役割があります。
〈デメリット〉
展開で使えるカードではないので、手札事故の原因になりがちなカードです。
『増殖するG』は最強の手札誘発の1つです。
手札が増えれば増えるほど、他の手札誘発をひくことも出来ますし、ターンが返ってきたとき相手の展開した場を崩しやすくなります。強い人のデッキリストを見ると、大体3枚入ってます。
『灰流うらら』は相手がデッキからカードを手札に加えたり、デッキからカードを場に出そうとしたとき、それを無効に出来ます。なぜか自分のカードも無効に出来る仕様なので、慣れないうちは誤操作で自分のカードを無効にしてしまうこともあります。注意です。
『無限泡影』は相手の場のモンスター1枚の効果を無効に出来るカードです。このカードの特徴は、後攻1ターン目のドローで引いてしまった際にも使えることです。上記の『増殖するG』『灰流うらら』は相手の展開後にはあまり使えませんが、このカードなら引いてすぐ発動すれば、相手の場の厄介なモンスターの効果を無効に出来ます。自分の場にカードを出したあとだと使えないので、そこは注意です。
『ニビル』は非常に長いテキストです。簡単に言うと「相手が5回以上モンスターを特殊召喚したら場のモンスター全部破壊」です。ただし、そのとき相手の場にめっちゃ攻撃力と守備力が高いモンスターを残します。使いこなすのが難しいですが、一応存在だけは頭の片隅に入れておくといいです。
3.4.3.手札誘発を避けるカード
〈メリット〉
自分のターンにいざ展開しようとしたとき、「相手の手札誘発のせいで展開出来ない!」ということを防ぐことが出来ます。
〈デメリット〉
手札誘発と同じく、展開で使えるカードではないので、手札事故の原因になりがちなカードです。
多くの手札誘発は、手札から墓地に送ることで発動します。『墓穴の指名者』は墓地にあるカードの効果を無効にするカードで、相手の『増殖するG』『灰流うらら』にチェーンして発動することで、それらを無効にすることが出来ます。速攻魔法なので、伏せておけば相手のターンにも使える便利なカードです。
『抹殺の指名者』は、自分のデッキに入ってるのと同じカードを無効にします。例えば相手が『増殖するG』を発動したとき、『抹殺の指名者』で自分のデッキの中に『増殖するG』があると、相手の『増殖するG』を無効に出来るわけです。ややこしいですが、なんか無効に出来るんだな、くらいに考えてください。
手札誘発でもある『灰流うらら』は相手の『増殖するG』を無効にすることが出来ます。手札誘発でもあり手札誘発を無効にするカードでもある、多くの役割のあるカードです。これこそが『灰流うらら』が強いと言われる由縁の1つなので覚えておきましょう。
3.4.4.手札事故を避けるカード
〈メリット〉
その名の通り手札事故を避けるカードです。
デッキが安定して展開出来るようになります。
〈デメリット〉
採用出来るデッキが限られます。恐竜デッキの場合は1種類くらいしか無いです。また、後述する「展開の幅を広げるカード」との相性があまりよくありません。
EXデッキにあまり使わないカードがある場合、『金満で謙虚な壺』をデッキに入れることが出来ます。不要なEXデッキのカードを処分することで、デッキの上をめくって好きなカードを1枚選んで手札に加えることが出来ます。処分する枚数を増やせば、その分めくる枚数も増やすことが出来ます。
ちなみにこのカードでEXデッキから除外するカードは、モンスター主体のデッキが相手なら『竜巻竜』『トロイメアフェニックス』、魔法罠主体のデッキが相手なら『ドルカ』『閉ザサレシ世界ノ冥神』の様に、不要なランク4エクシーズやリンクモンスターになります。
3.4.5.展開の幅を広げるカード
〈メリット〉
展開パターンを増やすことで「展開可能な手札の組み合わせ」を増やし、手札事故を避けることが出来ます。しかもデッキのパワーが上がり、より強力なフィールドを展開することが可能になります。
〈デメリット〉
覚えることが増えます。加えて、相手の手札誘発による影響を受けやすくなります。
『スクラップ』は機械のカード群で、恐竜デッキと混ぜて使うことでデッキのパワーを上げることが出来ます。恐竜デッキに慣れてきたら、YouTubeで動画を探したりして参考にするといいですが、慣れるまでは何やってるか分からないと思うので、頭の片隅に入れておくだけで大丈夫です。
『ロストワールド』は展開可能な手札の組み合わせを広げてくれます。上述ほど強固なフィールドを作るのは難しいですが、例として下図の手札のときの展開ルートを記載します。
『オヴィラプター』+『ロストワールド』
上記の展開をしてみると分かりますが、『セキュアガードナー』は『リンクリボー』を墓地に送ることで『進化薬』の発動条件を満たすために使います。
3.5.ランク4エクシーズ
少しだけ雲の上の話をします。
ランクマッチのダイヤ~マスターランクは2023年6月現在、墓地で発動する効果を持つモンスターを主軸にしたデッキが流行しています。筆者もマスター1ランクで恐竜デッキを何度か使ってみましたが、下記が必須カードに思われました。
『ドルカ』『ラギア』のエクシーズ召喚が狙える場面で、あえて『深淵に潜む者』を出すことが非常に多かったです。このカード自体は特別強力ではありませんが、現在流行のデッキに対して非常に相性が良いのです。
このカードも恐竜デッキと相性が良いわけでは無いのですが、『深淵に潜む者』を出しやすくするためにデッキに入れました。
ランク4のエクシーズモンスターには他にも
効果モンスターを無力化する『バグースカ』、
魔法罠を破壊する『竜巻竜』、
ドローしたり、モンスターを蘇生したり、攻撃力を倍にしたりする『デュガレス』といった強力なモンスターが多いです。高いランクではこれらのカードが重要視されており、今後も流行のデッキに対して相性がいいランク4エクシーズモンスターが存在する限り、第一線でも活躍できると思われます。
まあ、あくまで雲の上の話です。まずは『ドルカ』『ラギア』でいいかなと思います。
3.6.盤外戦術
最後に、実戦で使える「盤外戦術」について少し記載します。対戦相手と通話をしながらゲームする場合、会話内容等のゲーム盤面以外の部分で有利に立つことを「盤外戦術」と言います。
そう聞くと卑怯に聞こえるかもしれませんが、例えば挨拶。ゲーム開始時に「それじゃあやるか~」と緩く始まったとき、突然相手に「宜しくお願いします」なんて言われたら多少なり面食らいます。ゲームの前は緩く会話して緩く始めて、いざゲーム開始したとき心の中で自分だけ「宜しくお願いします」なんて呟いて気持ちを高めるなんてプレイヤーも居るくらいです。
勝つために手段を選ぶなとは思いませんが、気の許せる相手であれば色々な方法で揺するのもカードゲームの面白さの一つだと思います。
4.おわりに
長々と書きました。
話が難しくてなんの話してんだろ馬鹿だなって思われたら本望です。
あと一番大切なことを書き忘れていました。
飲酒しながらの遊戯王は最高です。
それと、この記事を見た人は杏戸ゆげさんのチャンネル登録宜しくお願いします。
はい。
以上です。
おわり。
5.追記(7/8):序盤のカードの揃え方
7/8に久々に杏戸ゆげさんのマスターデュエルの配信がありました。ここ数年ドタバタと大変な時期もありましたが、ななしいんくさんは色々な山を乗り越えて、今年の夏はアツいですね。涙が出そうです。
さて、目の保養は置いておいて、遊戯王おじさんは遊戯王の話をしましょう。
配信で少しずつ恐竜デッキに慣れている様子が分かります。ソロモードを進めてジェムを貯めている様です。また、動画や記事を読んで勉強しているとのことで、『ドルカ』等のカードを入手したいとおっしゃっていました。
ソロモードで手に入るジェムには限界があります。数少ないジェムを無駄遣いはしたくないですよね。そこで、序盤のカードの揃え方と恐竜デッキにおける入手したいカードの優先度について、追記していきたいと思います。
5.1.揃える優先度
効率のいい揃え方の話をすると少し複雑になります。なので、一部省略しながらなるだけ簡単に説明します。
まず恐竜デッキに入っているカードには2種類あります。「恐竜デッキでのみ使えるカード」と「どんなデッキでも使えるカード」です。「恐竜デッキのみで使えるカード」が揃わなければ恐竜デッキとして成立しません。かと言って恐竜カードを揃えれば恐竜デッキとして成立しますが、それだけでは全然勝てません。「どんなデッキでも使えるカード」を混ぜることで強いデッキになります。
なので、カードを揃えるときの優先度は、一般的には「恐竜デッキのみで使えるカード」を揃えてから、「どんなデッキでも使えるカード」の枚数を増やしていくことになります。
5.2.恐獣総進撃
まずは恐竜デッキの主要カードを揃えます。
シークレットパック「恐獣総進撃」は「恐竜デッキでのみ使えるカード」を一式揃えることが出来るパックです。このパックを沢山買うと、恐竜カードを揃えつつ、不要なURのカードを何枚か入手出来ると思います。この不要なURが大切です。
マスターデュエルでは、カードを揃えるにあたりURのカードが圧倒的に不足します。なので不要なURのカードは分解して「どんなデッキでも使えるカード」を生成することになります。
5.3.URの生成
どのカードを分解してどのカードを残すべきか、最初のうちは分からなくなります。YouTubeの配信なんかではコメント欄の意見も合わなくなります。そこでどうすべきかですが、ソロモードでジェムを貯める想定の場合は、とりあえず恐竜デッキで使わないカードは全部分解する気持ちでいいです。ソロモードで手に入るジェムには限界があり、欲しいカードが増え過ぎるけどジェムが足りない…みたいなことに絶対なります。
ソロモードだけでジェムを貯めてデッキを組む場合、ある程度ストイックになる必要があります。もしあとで「分解しなきゃよかった!」ってなったらそれは「撮れ高」だと思いますし、もしどうしても砕きたくないカードがあった場合、ソロモードだけでなくランクマッチ等でジェムを稼げばいいと思います。
5.4.『セキュアガードナー』の存在
ここからは7/8の杏戸ゆげさんの配信を観てピンポイントで考えられた内容です。杏戸ゆげさんの欲しいカードは『ドルカ』と『アポロウーサ』だそうです。
じつはですね…『アポロウーサ』を今のプレイレベルで手に入れてもおそらく使わないと思われます。その理由は『セキュアガードナー』の存在です。
感覚に頼って恐竜デッキを回すと、どうしても
という流れが非常に便利で、頻繁に使用してしまいます。事実、7/8の杏戸ゆげさんの恐竜デッキの展開では、全てのゲームで『セキュアガードナー』を使用していました。
『セキュアガードナー』はその性質上、一度特殊召喚してしまうとリンクモンスターの展開が非常に難しくなります。なので『セキュアガードナー』を使用した展開に慣れてしまうと、『アポロウーサ』の様な強力なリンクモンスターは使用しなくなってしまいます。
5.5.動きの再現
『ドルカ』『スクラップ』『アポロウーサ』等のカード名が出てくるあたり、動画や記事で勉強してくれているのが分かり、遊戯王おじさんは嬉しい限りです。
…でも色んなカードに目移りするとジェムがいくらあっても足りません。
この問題の解決策は動画や記事を「見る」だけではなく、動画や記事の内容を「手元にカードを準備して動きを再現してみる」ということをしてみるといいと思います。今まで自分に無かった視点を養うことで、自分に不足しているのはどんなカードなのか気付きを得ることが多いと思います。
色々と追記しましたが、今後も杏戸ゆげさんが配信したら諸々追記するかもです。
はい。
終わり。
6.追記(7/18):マスター1到達
杏戸ゆげさんはApexの大会が近いということで連勝に励んでいるご様子です。
なので追記内容は箸休めです。ランクマッチでマスター1到達しましたので、その解説をします。
6.1.なんでスクラップ使わないの?
YouTubeで恐竜デッキを調べると、多くのデッキで「先行○妨害!恐竜デッキ紹介!」なんて言ってますが、実際のところ強い恐竜デッキは爆発的な展開はしません。上記の「切り札モンスター4枚」の展開が有力です。これは3.2.項で紹介した「手札誘発」が関係してきます。
詳しく書くと長くなるので簡単に結論だけ言うと、先行1ターン目の自分の展開が無事に終わることは実戦ではほぼありません。ほぼ確実に「手札誘発」で展開を妨害されます。
スクラップ型の恐竜デッキは展開が成功すれば強力な場を作ることが可能です。が、
『スクラップワイバーン』が無効にされたり、多くの「手札誘発」を受けると非常に致命的で展開が不可能になります。
それに対し、本記事で解説した様な展開であれば『ミセラ』の存在から妨害にある程度の耐性があり、相手から「手札誘発」で妨害されてもある程度強力な場を作ることが可能です。そのため実績を残す恐竜デッキは純構築が比較的多いのです。
スクラップ型の恐竜デッキは、今のところフリー戦等で「手札誘発」されないカジュアルなゲームをするときやYouTubeで「先行○妨害!最強!」みたいな謳い文句で見栄えの良い動画を作りたいとき等に有効な構築です。が、ランクマッチ等の実戦では純構築に軍配が上がっているのが現状です。
6.2.どうやってマスター1行ったの?
ここから先はダイヤ帯以上のランクでのランクマッチで恐竜を使う上での考え方です。初心者向けの内容ではないので注意してください。
ランクマッチは非常に多くのデッキが分布していますが、その中で勝ち残るには「自分のデッキが他のデッキより何なら強くて何が弱いのか」を理解・言語化することが重要です。
シーズン19のランクマッチは「ティアラメンツ」「深淵烙印」「ラビュリンス」「スプライト」が分布しています。あくまで私の私見ですが、これらのデッキよりも恐竜デッキが強いところは「『ミセラ』と『アルコン』で後攻で相手の場を一掃できること」で弱いところは「手札事故が起き易いこと」だと考えました。
そのため注視した考え方は「『ミセラ』と『アルコン』を確実にキメに行ける様にすること」と「手札事故に保険をかけること」でした。
これさえ出来れば環境的なデッキパワーの逆境を意識する必要は薄く、特別なギミックを無理に採用する理由は無いと思います。
6.3.デッキ構築のときの考え方
オーソドックスな構築と比べると『深淵の獣』と『暗闇を吸い込むマジックミラー』が採用されています。結果的に環境に対するメタとして機能することになりましたが、実は採用した経緯は環境デッキのメタではありません。
6.3.1.深淵の獣
ランクマッチで想定された負け筋の中でも強く意識したのは「じゃんけんで負けて展開されてしまった。なので『ミセラ』『アルコン』しようとしたら『G』をされて、突っ張ったところ『進化薬』に『うらら』された」という場面でした。そういった場面で除去カードを持っていても、返しのターンで再展開されて負けてしまいます。なので単体で火力・打点になってワンキルに貢献でき、かつ相手の展開後でも腐りにくいカードを探したとき、『パンクラ』と一緒に採用しました。
実戦では目論見通りライフレースに貢献してくれた他、『ルルカロス』の着地を許さないことで『進化薬』を通すという働きをしてくれました。対面のワンキルを防ぐための壁としても働いてくれます。
6.3.2.暗闇を吸い込むマジックミラー
「手札事故の保険」として採用したカードです。『神の宣告』等と違って数ターン時間稼ぎしてくれます。こちらの『オヴィラプター』や『ゴアトルス』『マスカレーナ』の効果も使えなくなりますが、それでも場繋ぎの性能が非常に高いと考えて採用しました。
実戦では『オヴィラプター』が使えなくても『アルコン』までは行けることが多かったため、『アルコン』の後ろに『マジックミラー』という場面を作ることで相手が苦戦することが多かったです。
6.3.3.アストラム
「ティアラメンツ」に非常に強いので、『マスカレーナ』を採用してランクマッチするなら問答無用で採用していいと思います。恐竜デッキでは『アルコン』で相手のモンスターを全て裏側にすることで『三戦の才』でコントロールを奪われても帰還させることが可能です。
6.4.プレイ中の思考
あくまでシーズン19のランクマッチにおける戦い方の話です。
先行であればあまり考えることはありません。
『ミセラ』を優先して手札に加え、相手の「手札誘発」に耐性を付けながら展開することを意識します。また、対面が不明なとき「ティアラメンツ」を意識して『深淵に潜む者』を出したくなる気持ちもありますが、制限改定で弱体化した「ティアラメンツ」であれば『ドルカ』で十分展開を防ぐことが出来ると思います。あとは『進化薬』で出すカードは『拮抗勝負』を意識して『ゴアトルス』にすることが多いです。
後攻であれば『ミセラ』『アルコン』を狙うことになるで、『ミセラ』の効果を妨害されたときのために、場にリソースとなるモンスターがなるだけ残る様に相手の妨害を踏んでいきます。また『進化薬』の効果を妨害されても困らない様に『進化薬』のあとに『アルコン』を『オヴィラプター』で手札に加えるプレイを心掛けます。あとは『アルコン』は相手の場のモンスターの数が多いほど真価を発揮するため、あまり相手の場のモンスターを減らさない様にします。その上で『深淵の獣』や『ユニコーン』等でライフを削れる様に勝負します。
総じて先行後攻問わず『ミセラ』がこのデッキの心臓だと思います。大事に使いつつ、毎ターン使うくらいの気持ちで優先的にサーチしたいです。『オヴィラプター』でサーチするときは『ハゥフニス』に気を付けましょう。
6.5.初心者を伸ばすコメント欄
以下、お気持ちです。
YouTubeの遊戯王関連のコメント欄は民度が低いです。先日遊戯王の日本選手権がありましたが、日本のトップに対しても的外れな厳しいコメントが飛び交っていました。やべえな。
全国大会の決勝で観戦者が「なんで○○しないんだよ」とか「あ、終わった」とかコメントするあたり、他のゲームやスポーツではあり得ないレベルの民度の低さです。どうしてこうなった。
恐らくコメントしている本人に悪気は無いのでしょうが、どうしても熱が入ってコメントの口調が強くなってしまいます。
コメントするときは、どんなコメントをすれば自分の言いたいことが伝わるか、落ち着いて考えてからコメントしましょう。コメントを受け取る側も、口調に惑わされずに何を伝えたいのか落ち着いて考えましょう。
今回の追記は以上です。
はい。
終わり。
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