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バックジャック型ラビュリンス

エリア代表決定戦で使用予定だった、2023年6月仕様のラビュリンスの簡単な解説です。

全文無料です。

1.はじめに

筆者は普段あまり遊戯王をせず、プレイング下手だし、構築もあまり練らないし、運だって良くありません。
つまるところ、店舗代表戦を勝ち残りエリア代表決定戦に参加するほぼ全員が、筆者より強いプレイヤーであると思われました。

そのため、奇襲性の高い勝ち筋のゲームプランで、自分より強いプレイヤーから理不尽に勝利をもぎ取りに行く策を講じました。
本記事はその一端を簡潔に書き出すものです。
ラビュリンスの一案ではありますが、あくまで自分より強いプレイヤーに奇襲をかけるための戦い方と認識ください。

また、実戦での立ち回りには触れませんので、そういった話は以下の記事を参照ください。


2.基本思想

本記事では『白銀の城の火吹炉(ストービー)』及び『白銀の城の竜飾灯(シャンドラ)』を総じて『家具』と記載します。

2.1.デッキの強み

詳細は割愛しますが、2023年4月からの大会環境を一緒くたにしたとき、私は最善の選択肢がピュアリィだと結論しています。
ピュアリィは高い手札誘発耐性と他を圧倒する豊富なリソースが武器のデッキです。先行を渡してしまうと、並大抵のデッキではカテゴリ内で盤面の解答と次ターン手数のケアを両立するのは困難になります。

この記事を読む方の多くはラビュリンスを使用されていると思いますが、罠を多く採用するデッキは、先行展開からの『エクスピュアリィノワール』及び『ピュアリィマイフレンド』の鎮座が絶望的敗因となります。

そんな背景もあって、私はラビュリンスが強いとは考えていません。
使用経緯は様々ですが、それでも2023年6月環境でラビュリンスを使用する最大の強みは、上振れた手札のとき、メインギミックのみでピュアリィ等の先行展開に致命的な打撃を与えることが可能であり、その奇襲性であると認識しています。


2.2.狙いの動き

格上のプレイヤーの練度の高い展開を止めることができ、かつその動きが後続に繋がる、そんなトンデモ動作がラビュリンスは可能です。

その動きは『絶対王バックジャック(以下BJ)』を使用した「0ターン目の罠カードの発動」で、

①家具の効果でバックジャックを墓地へ
 ラビュリンス罠を場にセット
②バックジャック効果でトップ操作
③処理後バックジャック効果でトップをめくる
 次元障壁等の強力な通常罠をセット

というものになります。

3月の末に『次元障壁』が流行した際に各所で発案されましたが、数少ないラビュリンスの命綱となる動きでありながら『家具』と『BJ』の合わせ引きいう現実味の薄い要求値のため、使用数が少なかった動きになります。

後攻では博打性の高い様相を呈するこのギミックですが、『アリアンナ』に加えて『BJ』を召喚権に使用出来ることから、先行での罠カードの布陣は従来の家具型より安定すると考えられます。
その分永続罠がミスマッチになるため制圧力に不安もあるかと思いますが、『トラップトリック』が必要に応じてピンポイントな妨害として機能する点が助力してくれます。
昨今のピュアリィが『ストレイピュアリィストリート』を不採用にして誘発やリソース確保に流れているのも追い風です。

まずはこの動作を極力安定させることを目指しました。

『カオスハンター』は高確率で相手ターンに手札を捨てられることから、7枚目以降の家具としての運用出来ます。一応除外メタ効果もありますが、あくまでおまけ程度に考えます。
『ドラゴンアイス』も相手ターンに手札を捨てる札であり、『センサー分別』下でリンク2を狙い易くなる点が優秀と考えます。
これらのカードは『BJ』から『ビッグウェルカム』を起動出来れば『白銀の城のラビュリンス』の破壊効果まで繋がります。

『魔サイの戦士』『アギド』『ケルベク』は『BJ』を墓地に送る役割で採用を検討出来ます。
『ディメンションアトラクター』等にチェーンして『家具』で捨てられないことや、リンク1で召喚権から能動的な動作が出来ないこと等の理由で完全な『BJ』の代替にはならないため注意が必要です。
『アギド』『ケルベク』で『ビッグウェルカム』『クロック』が墓地に落ちればラッキーです。

『BJ』の代替にはならずとも、かさ増しとして『ファーファレル』の採用も考えられます。とはいえ『ストレイピュアリィストリート』の対象耐性付与等もあるので、対面次第で機能しなくなる可能性もあり注意が必要です。
『BJ』とは違い運要素が絡まない点と、『BJ』を使用したターンに『魔サイの戦士』『アギド』『ケルベク』に役割が増える意味でも重要な役割で、ほぼ必須枠と思います。

上記カードを駆使して動作の安定を試みます。

単純な確率を計算及びシミュレーションすると分かるのですが、成功率は最大で50%程度まで上げることが可能です。
しかしながら、安定性を重視するあまりデッキ全体の継戦能力が妥協出来ない範囲まで落ちる可能性があるため、この動作に加えて『クロック』+家具のギミックや『G』等の手札誘発の引き込みを加味して構築することになります。


2.3.成功率の考え方

以下は少し話が逸れます。
構築に際し留意すべき成功率の考え方です。

まずこの動作が成立することで先後問わず優勢にゲームが可能と考えた場合、1マッチ3本のゲームを行う想定なら、最低でもそのうち1回はこの動作を成立させたいです。
かといって1/3、つまり33%の成功率を目指してしまうと、メインのラビュリンスギミックへの圧迫が非常に大きくなり、後続の動きが虚弱になってしまいます。

そこで、「確率」ではなく「期待値」で構築することにします。難しい話はよく分からんという方に簡単に下記すると、

1%のガチャを100回やれば1回当たるの?
というと実際はそんなことはない。
1%を100回やって1回は当たる「期待値」は、
1-(99/100)^100=約63%となる。
この最初の1%を「確率」と呼ぶのに対し、
63%をこの場では便宜上「期待値」と呼ぶ。

という感じです。

今回目指す成功率は「1マッチ3本のゲームのうち1回はこの動作が成立する」ことです。計算方法は割愛しますが、簡単にグラフにすると下図になります。

この様に、21%の確率を境に「3回中少なくとも1回成立する期待値」が「1回も成立しない期待値」を上回ることになります。ラビュリンスに限らず覚えておくといいと思います。そんなわけで成功率は最低21%を目指し、Excelで計算しながらデッキを構築します。


3.構築まで

3.1.その他の動き

本型のラビュリンスの留意点を記載するにあたり、少しエピソードを記します。

デッキを仮組みし、友人にピュアリィを使用してもらい、じゃんけん負け想定のフリー対戦をしてもらいました。5本ほど行いましたが、結果として狙いの動きが先行0ターン目に決まることはありませんでした。まあそんなもんです。

ですがフリー対戦で発見がありました。
『クロック』+『家具』による0ターン目の『白銀の城のラビュリンス』の着地が想像以上に強力で、ギミックが回るだけで後攻でも十分戦える感触だったことです。
『家具』との合わせ引きはわざわざ『BJ』でなくても良かったのです。

また、フリー対戦から見えてきた負け筋のうち、明確に『白銀の城のラビュリンス』及び『通常罠』の引き込みが致命的に後攻の動作を鈍くしていました
通常のラビュリンスは『家具』で捨てればいいのであまり気にならないのですが、本構築では恣意的に『家具』で捨てたいカードの割合を増やしてしまっているため、手札のスロットを圧迫する影響が大きかったのです。
合わせ引きを狙うデッキでありながら、40枚構築にこだわる意味が薄い気がしてきます。


この時点までは、メインデッキでのピンポイントな手札誘発の採用も視野に入っていました。機能する対面であればターンスキップの性能を有するし、機能しない対面には『カオスハンター』や『家具』で捨ててしまえると考えていたからです。
しかしながら、フリー対戦を経て手札で腐ることを許容出来ないと考える様になったため、メインデッキでの優先度が一気に落ちます。
特に『ドロバ』はラビュリンスのメイン採用も多く見られるカードでしたが、ここで採用選択肢から姿を消すことになります。


3.2.デッキレシピ

ここでやっとデッキレシピです。

この構築で『BJ』からの「0ターン目通常罠の発動」が成立・成功する確率は31.3%程度、『クロック』+『家具』が合わせ引きされる確率は14.6%程度です。

ご覧頂いている皆様は恐らく自分の構築論をお持ちでしょうから、好きにいじって使用して頂ければと思います。
私も色々試しては切り捨てを繰り返しましたが、そのあたりの採用/不採用の話は個々の考えがあると思うので割愛します。


3.3.サイドプラン

サイドプランについては、この形のラビュリンスにとって難しい問題です。

メインデッキの構築で期待値の計算までしているのですから、ギミックに関連したカードをサイドアウトして期待値を変動させると、計算のし直しが発生します。
ただでさえ期待値とデッキパワーを天秤にかけ、ベストの形を作ったのに崩すのは損です。なにより面倒臭い。

可能な限りメインギミックに関連しないカード、つまり『増殖するG』『アリアンナ』『無限泡影』といったカードをサイドアウトすることになります。また、先行なら『BJ』は召喚権から墓地に送れるため、『カオスハンター』もサイドアウトの候補になります。


一先ず基本プランを下記致しますので、各々でサイドインするカードを試して頂ければと思います。

まずサイドチェンジで行うのは、相性の悪い通常罠を相性の良い通常罠と交換する作業です。

2枚ずつ通常罠をスイッチします。
『パニッシュメント』が抜けることは後述する神碑対面以外ではほぼありません。
各種ウイルスや流行の『同契魔術』よりも広いデッキに打てるであろう『鳳翼の爆風』を採用しています。


続いて先行/後攻に沿ったサイドチェンジです。
ほぼ全ての対面に対し、先行のときは同様のサイドチェンジを行います。

『ビッグウェルカム』に対する『灰流うらら』が敗因になるゲームがあまりに怖いため、『墓穴の指名者』は無理にでも入れるべきだと思います。『ウェルカムラビュリンス』をメインデッキから減らしてギミックの安定をとっているため、一般の構築より『灰流うらら』より弱い点に注意が必要です。
『天獄の王』は、『レディ』と違いタイミングを逃すこと無く通常罠カードをリクルート出来るため、引き込めさえすれば先行では非常に安定した妨害札になります。公開効果で罠を守ることはほぼありません。


後攻では

『アリアンナ』を1枚、有効と思われる手札誘発とスイッチします。メインデッキがかなり後攻寄りなので、あまり多い枚数を入れ換えることはありません。
対面によっては『うらら』や『ニビル』がピンポイントで有効なことがあると思います。
特に、元環境に見られる多くのデッキの先行サイドプランは「クロック+家具」に『うらら』を重ね引きするだけで封殺出来る可能性があります。


『ムドラ』『ケルドウ』は

墓地肥やしに重きを置く対面に『ケルベク』『アギド』をサイドアウトして投入を想定しています。


神碑対面のサイドゲームは可能な限り妥協したくありません。12枚という大量のカードをスイッチし、メインギミックを犠牲にしてでも、万に1つでも神碑にゲームをさせない様にしたいです。
デッキを削られると考えると『トラップトリック』も発動が怪しまれますが、『闇のデッキ破壊ウイルス』は是が非でも引き込みたいため、不安はあるものの残してもいいかなと思います。
神碑対面の『増殖するG』は『センサー万別』下で『ダルク』を経由した『アザレア』や『トロフェニ』に成れるためサイドアウトしません。


4.おわりに

ここまで偉そうに書きましたが、結局結果が伴わない話です。

じゃあ弱いのかというと、エリア代表決定戦の1週間前のこと。

『魔サイの戦士』入りのラビュリンスが遠い地のCSで結果出すと思いませんでした。

こちらの方は結果が伴っているので、私なんかよりよっぽど参考になるかと思います。
是非レシピを真似してみるといいと思います。



ここからは愚痴。

公認やらCSやらに興味がない私にとって、公式の大型イベントはほぼ唯一のモチベでした。着々とエリア代表戦の準備をしていたところ、

は?


現在問い合わせ中ですが、私はエリア代表戦の参加は絶望的です。
店舗予選勝ってエリア戦参加出来ないの3回目だし慣たと思うことにします。

本記事はエリア代表戦の4日前に記載していますが、もしラビュリンスを使う予定の方がこの記事を読むことがあれば少しでも助けになればと思います。

はい。

終わり。

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