育種の方向性を定める
どうも、「ん!?まちがったかな…」おじさんです。
果樹と育種に関して勝手に色々と分析してみたので記録に残しときます。
マンゴー以外の果樹から育種を考える
梨
梨で私が今一番推している品種はあきづきなんですが、あきづきの系統図をみると20世紀梨の血がかなり濃く流れています。この20世紀梨はゴミ捨て場に偶然生えていたところ見出されたという逸話があり、今でも鳥取県を中心に栽培されているまさに育種ドリームの代名詞みたいな品種です。
柑橘
柑橘は昔からご当地柑橘で差別化していたように思いますが、最近は生食用途ではなく、加工品に使う土着香酸柑橘への回帰現象みたいので地域ブランド化を図ってらっしゃる感じがしますね。
ブドウ
ブドウはものすごい勢いでシャインマスカットにシェアが入れ替わっている一方で、単一化が進むと全国的に開花異常が起こったり大変みたいですね。ピーキーなオリジナル品種で差別化図ってる方とかもいるそうな。
育種の方向性を定める
単胚珠のマンゴーを育てたらオリジナル品種ができるわけですが、選抜してどういうマンゴーを目指すのかを考えてみます。
自分だけが上手く作れるマンゴー
究極の属人化を目指す方向性の育種ですね。自分の農地の環境にあった品種と管理方法を同時並行で追求し、圧倒的品質で差別化するという。穂木が流出しても栽培が真似できないならダメージがないですし、データは頭の中にあればいいので人に伝えるためにリソースを割かずに済みます。職人気質の人向けです。
ランダム性を売りにするマンゴー
栽培のメインは基本アーウィンで、アーウィンの実生から微妙に好適な環境が違う品種を作るというのも面白そうです。ボジョレーヌーボーみたいに「今年は猛暑の影響でAはイマイチだったがCが最高の出来になった」といった感じで転んでもただでは起きない売り方が出来そう。
地域で囲い込むマンゴー
地域特産のオリジナル品種を作る場合、栽培地域がまとまっていれば気候条件にそこまでの差異はないでしょうし、管理方法と結果を持ち寄って栽培技術の向上とブランド化を進め、安定感で勝負しやすくなるかも知れません。
広く公開するマンゴー
国産マンゴーにおけるアーウィンのシェアをひっくり返そうと思った場合、「品種+栽培技術」をセットで公開して再現性を担保する必要があります。アーウィンが優れているのは先人の努力の結果、国産高品質マンゴーとして栽培技術を含め認知されている点です。『アーウィンから切り替えたけど、微妙なのが出来てしまった…』では誰も幸せになりません。育種するにしてもこれは研究機関とかがやることですかね。
タイムラグを考慮する
とまぁ、それらしいことを書いてきましたが、問題は私が思いつくレベルのことは既にやってる方がいるだろうということですね。
今後数年のうちに爆発的に新品種が導入されて、自分の作った品種が実を結ぶ頃にはなにかの下位互換にならんとも限らんです。
現在色々な産地が独自にブランドアーウィンを販売してますが、舌の肥えた消費者から「地域で差別化してても結局のところ全部アーウィンでは…?」と言われ、差別化のため別の品種を取り入れてみたら、20年後流行が何巡かして「やっぱりアーウィンだよね!」となっている可能性も…
私の中間報告
私の栽培方針としては冬季加温を抑えてエコロジーでエコノミーなマンゴーを作るというものがあり、将来的な育種親を選ぶために20品種程特性を見つつ、実生から育てて経過を観察していました。
今まで寒暖差に強く、強樹勢なマンゴーを作ろうと頑張っていましたが、最近になってよくよくデータを見ながら考えると、省エネ栽培ではもっと別の特性が求められるような気がしてきましたね…環境変化に強くダメージを受けても再生力が極めて高いアーウィン実生が残りましたが、氷点下近傍の環境に耐えられないのはマンゴー側の落ち度ではなく、設備の不足と管理者の怠慢ですな(反省)ちょっと方針を転換します。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
蛇足
最近いろんなAIサービスを試してみています。AIがワードから絵を描いてくれるというのがあったのでマンゴーについて聞いてみました。
育種の方向性を決めるのに役に立つかもしれません。
試しに別のこと聞いてみますか。
今年は軸を定めるのをキーワードとしていますが、未来は不定なので自分の作りたいものを目指すのがこの場合正解ですかね。自分軸と世界軸が一致するとバズるとして、20年後の予想軸に置きに行って、20年後自分とも世界ともズレたものが出来るより、自分軸貫いて完成させた方が少なくとも一人は喜ぶわけですから。